レーヴァティン

「そうするぜよ」
「そうか、しかし御前は甘いものも好きか」
「酒もそっちも大好きぜよ」
　当季は英雄に明るい笑顔で答えた、ここでも右目を瞑って愛嬌のいい感じの笑顔になっている。その笑顔が実にいい感じだ。
「舌の器も大きくなろうと思ってのう」
「色々なものをか」
「食えるぜよ」
　そうだというのだ。
「それで酒も飲めてな」
「甘いものもか」
「大好きぜよ」
「それでういろうもか」
「これから食うぜよ」
「そうか、ではういろうも食おう」
　英雄は鶏肉を食ってから答えた。
「是非な」
「そうするぜよ。しかしのう」
「今度は何だ」
「いやあ、この島はまっこと面白い島ぜよ」
　こうも言ったのだった。
「何かとな」
「様々な意味でだな」
「ああ、食いものでもな」
　こちらでもというのだ。
「美味いぜよ」
「ぞうだな、室町時代や戦国時代を思わせる建物や服が多いが」
「江戸時代や平安時代もあってのう」
「食いものはこうだ」
「まっこと面白いぜよ」
　また言う当季だった、その屈託のない笑顔で。
「この世界が大好きになったぜよ」
「俺もだ、それだけにだ」
「はい、必ずですね」
「救う、救う力が備わっているからな」　
　今度は良太に応えた。
「そうする、その為に呼ばれたのだしな」
「それだけに」
「俺はこの世界を救う、それではういろうも食ったらな」
「それからですね」
「名古屋の街をよく見て回りそうしてだ」
「召喚士ともですね」
「会おう」
　その彼女ともというのだ。
「必ずな」
「この街にいますし」
「必ずな、食った後でな」
「自分達からですね」
「会いに行く、しかしな」
「しかし？」
「いや、俺はこの世界に来てそれなりに長いし術も色々知っているつもりだが」
　それでもとだ、英雄は眉を少しだけ顰めさせて良太に話した。
「召喚の術はな」
「ご存知ないですか」
「時の術や獣の術、踊りは見た」　
　そうしたものはというのだ。
「あちらの世界でな、しかし召喚の術はな」
「ご覧になられたことはないですか」
「あまり強力な術はな」
　召喚の術の中でもというのだ。
「だから全ては知らない」
「そうですか」
「だからだ、実際に会ってもな」
「どういった力を持っているかはですか」
「詳しくは知らない、果たして何処までの力を持つのかな」
「私は一度見たことがありますが」　
　良太はこう英雄に答えた。
「強力な、最高位にある召喚の術を」
「その目でか」
「はい、すると相当に強い」
「神を呼び出せるまでというな」
「実際に神すらです」
　まさにというのだ。