レーヴァティン
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第五十九話 名古屋の街その一
第五十九話 名古屋の街
英雄達は名古屋に着いた、川の波止場から出るとそこに堺や都に匹敵するまでに見事な中央に五層七階の黄金の鯱を持つ天守閣を要している城がある見事な街があった。
その街に入りだ、耕平がまず言った。
「さて、城を観る前にな」
「まずはだな」
「腹ごしらえせえへんか?」
こう仲間達に言うのだった。
「まずは」
「そうだな、ではな」
「何か食おうな」
「名古屋だ」
それならと言う英雄だった。
「きし麺か味噌煮込みうどんか」
「どれかやな」
「両方でもいい、あとは海老だな」
「それに鶏やな」
「菓子はういろうだ」
二人で名古屋名物を次々と挙げていく。
「名古屋も美味いものが多い」
「味噌カツはあるかやな」
「あれば食うな」
「当たり前や、まあこっちの食文化は江戸時代のそれに近いみたいやし」
「流石に味噌カツはなさそうだな」
「そやったらきし麺か味噌煮込みうどんか」
「そうしたものだな」
「鶏や海老も食うて」
「そしてういろうだな」
「自分ういろう好きか」
「きし麺とういろうは大好きだ」
実際にとだ、英雄は耕平に答えた。
「俺はな、だから俺としてはだ」
「まずはきし麺か」
「それを食いたい」
「成程な、ほなそれがしもまずはきし麺にするか」
「それを食うか」
「まずはな」
名古屋に入って最初に食べるものはというのだ。
「それにするか」
「きし麺か」
「味噌煮込みうどんとの二択は厳しい」
耕平は深刻な顔で言った。
「非常にな、しかしな」
「今はか」
「自分の言葉を聞いてや」
英雄のきし麺が好きだという言葉、それをというのだ。
「それがしは決めたわ」
「きし麺にするか」
「最初はな、そしてな」
「その次にか」
「味噌煮込みうどんや」
残るこちらにするというのだ。
「それにする」
「わかった、ではな」
「きし麺食いに行こうか」
「そうするか、ではうどん屋に入るか」
「今から全員でやな」
「そうするか」
こう話してだ、一行はまずはだった。
近くにあったうどん屋に入った、そうしてそれぞれきし麺なり味噌煮込みうどんなりを頼んでだった。
鶏料理や海老の天婦羅を注文した。勿論最後にういろうを注文するのを忘れなかった。そうしてだった。
そのきし麺を食べてだ、耕平は唸って言った。
「この味がや」
「いいというのだな」
「そや、きし麺はや」
まさにというのだ。
「やっぱりええわ」
「平たい麺がか」
「実に美味いわ」
こう言うのだった。
「ほんまにな」
「そうか、御前はきし麺がそこまで好きか」
「大好きや、普通のうどんも好きやけどだ」
それと共にというのだ。
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