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【完結】猫娘と化した緑谷出久

作者:炎の剣製
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猫娘と期末試験編
  NO.056 期末試験 考察と二回戦目

 
前書き
更新します。 

 


一回戦で切島と砂藤の二人が虚しくもセメントスの前に敗れてしまい、いきなり赤点が確定してしまった事に対して、

「おいおい、マジかよ……切島と砂藤があんな呆気なくやられちまったぜ……?」

さすがの峰田もこれに関しては真面目に驚いていた。
そして、

「勝たす気があるのか分からないよね……?」

芦戸もそう続くけど、真面目に分析していた出久と八百万は、

「いえ、お二人なら勝つ可能性は十分にありましたわ」
「ヤオモモ……? それって本当なの?」

八百万の言葉に耳郎が半信半疑で聞き返す。
そこに出久も乗る形で、

「うん。八百万さんの言う通りだよ。だけど、今回はセメントス先生に無策で正面から突っ込んじゃったのが二人の敗因かな……?」
「さすが緑谷さんですわ。最初の部分はわたくしと同じ考えです」
「二人とも、どう言う事か説明してくれるかい……?」
「うん、飯田君」

それで出久が説明を始めようとしたところで、

「面白そうだね。あたしにも聞かせてくれないかい、緑谷?」
「リカバリーガール……はい。まずセメントス先生は個性を発動するには少なくともコンクリートの地面に手を振れないといけない。そしてそのセメントを操る効果の範囲はセメントス先生から中心に広がっていく。
だから切島君と砂藤君はまずは個性が届かなくなる場所までなんとか逃げの一手を選択して、セメントス先生の言う通りに消耗戦は避けるべきだったんです」
「なるほど! 戦闘開始前にすでにヒントは与えていたという事だったのか!」
「うん。飯田君、その通りだよ。だけど二人は真正面から打ち破る事を選択しちゃったからあんな結果になっちゃった感じだね」

出久の説明にリカバリーガールは内心で感心しながらも、

「なるほどねぇ……それで、続きはあるんだろ?」
「はい。そしてセメントス先生にも届く範囲がある上に、セメントス先生には失礼ですけど見た目の図体通りなら移動速度は二人よりも遅いうえに、超圧縮重りでさらに動きには制限が掛けられているから逃げの一手はまずは最善だと思いますから」
「「「「「おー!」」」」」

それで聞いていた全員が出久の考察に拍手を贈っていた。

「そうだね。でも、もしさっきみたいにセメントの壁で囲まれちまったらどうするんだい……?」
「そうですね。そこも砂藤くんの個性が役立つと思うんです。今回の演習の条件は一人でも脱出できればこちらの勝ちになりますから、砂藤くんの増強系の個性で切島君を思いっきりゴールまで投げ飛ばせばあるいは……ですね。
もしこれを実戦に置き換えてしまったら、愚策かもしれませんが砂藤君もそんな簡単には破れるとは思いませんから、切島君が応援を呼ぶまではなんとか耐えてくれると信じたいところです。僕の考察は以上です」
「ふむ。まだ少し甘いところはあるけど及第点だね。これからも精進しな」
「はい。ありがとうございます」

そんな時だった。

『二回戦をもうすぐ開始いたします。蛙吹梅雨と常闇踏陰の両名は移動を開始してください』

そんなアナウンスが聞こえてきたために、

「出久ちゃん、あなたの考察……とてもためになったわ」
「ああ。よく考え行動する事を心がけよう」

そんな感じで二人は二回戦の場所へと向かっていった。

「…………今度は蛙吹に常闇か。八百万に緑谷はエクトプラズム先生についてはなにか対策はあるのか……?」
「うーん……それなんだけど、エクトプラズム先生の個性はそんなに把握できていないから、梅雨ちゃんと常闇君の二人が冷静に対処できるかがカギになってくると思うんだ」
「わたくしも緑谷さんと同意見ですわ。蛙吹さんと常闇さんはサポート能力に優れていますからまずは同じく逃げの一手を選択した方が無難だと思います」
「なるほどな……」

二人の意見に轟はとりあえず頷いた。
と、同時にこういう時の出久と八百万の状況分析能力は下手したらここの誰よりも高いのではないかと思わず舌を巻く思いであった。
出久に関しても、轟的には癪だが爆豪との仲も改善できている為に余計な雑念が入ってこない環境で、余計そういう能力が際立っている感じだと思っていた。





蛙吹と常闇の二人はショッピングモール内の様な場所がスタート地点となっていた。
そんな場所で待っていたエクトプラズム。

「ソレデハ……始メサセテ貰オウカ」

片言の様な独特な喋りに二人は警戒しながらも、

『第二回戦、スターーーーート!!』

始まりのゴングが鳴り響き、その瞬間突如として二人の周りにたくさんのエクトプラズムの姿が出現する。
エクトプラズムの個性は『分身』。
よって、複数で二人を包囲しようという事だろう。
常闇はそれを察知した瞬間に蛙吹を黒影(ダークシャドウ)にくわえさせて、

「蛙吹! 投げるぞ!!」
「ケロっ!!」

投げ飛ばされた蛙吹はすぐさま常闇にカエルの舌を伸ばし、キャッチして自分のところまで引き寄せる。
二人はこの狭いエリアの中ですぐさまに逃げる選択をしたのであった。
それを見ていた一同は、

「うまい! 梅雨ちゃんと常闇君はやっぱり逃げの選択をしたんだね」
「そりゃそうだなー。あんな狭い中で複数の敵を相手取るのはさすがにきついもんな」

出久の言葉に上鳴がそう答える。
そう、ただでさえ数が多いのに、それが同じような速度で迫ってくるのは多対戦闘向けである。
力量も分からない以上はまずは逃げの選択は最善である。
それに二人に襲い掛かってくるエクトプラズムは分身のために常闇の黒影(ダークシャドウ)による中距離攻撃、同じく蛙吹の舌による同様の攻撃で容易く形を崩していっている為に力も分散されている事が伺える。

「だけど、二人の課題ってなんなんですか……? 特にエクトプラズム先生の個性は天敵とは思えないんですけど……」
「普通はそう思うだろう? だけどね、常闇の強みは間合いに入らせないのがいいところだけど、逆に言ってしまえば間合いに入りさえしてしまえば途端に脆くなる」
「あー! だからそのためのエクトプラズム先生の個性なんですね!?」

お茶子が分かったように叫ぶ。
そう、黒影(ダークシャドウ)にも捕捉できる数には限界がある。
それゆえに多人数で攻めれば途端に弱さが露呈してしまうのだ。

「その通りさ。そして蛙吹梅雨だけど、彼女に関しては課題らしい課題はない優秀な生徒だよ。だから彼女の従来持っている冷静さでどこまで常闇の弱点を埋めるためのサポートができるかが今回の目的って言えば目的だね。彼女はいいと思うよ。きっと将来は精神的支柱になりえる子だね」

リカバリーガールからそう絶賛される蛙吹。
それを聞いて一同も思う。
特に出久と峰田の二人はUSJで実感していた。
いつも、ここぞという時に蛙吹の冷静な判断で助けられてきたと……。

「梅雨ちゃん、とっても周りを視野広く見れるもんね」
「うん。そこはウチも同意かな? 蛙吹にはいつも助けられているからね」
「そだねー」

みんながモニター室で話し合う中で、モニターの向こうの二人はなんとかエクトプラズムの攻撃を凌ぎながらもゴールへと向かっていく。
ゴール前にはおそらく本人であろうエクトプラズムが待ち構えていた。
エクトプラズムは二人がここまで凌げた事に関して褒めるような物言いをしながらも、

「ナラ……コレナラドウダ?」

突如としてとても巨大なエクトプラズムの顔が出現して二人は抵抗も出来ずに飲み込まれてしまった。
そして表面に二人は捕らわれるように浮かび上がる。

「うえっ!? 分身ってあんな事も出来るの!?」

芦戸が思わずと言った感じで口に手を添えながら叫んでいた。
このままだと時間一杯まで捕まったまま終わってしまうだろう。
常闇が黒影(ダークシャドウ)をなんとか飛ばす事をしてゴールを潜ろうとさせているが、さすがのプロでもあるエクトプラズムの前には黒影(ダークシャドウ)も何度も弾かれてしまう。
万事休すかと思われたが、

「あ、あれ!? いつの間にかエクトプラズム先生の腕にカフスが巻かれている!?」
「あれって……どう言う事?」
「あれは、蛙吹の個性だね。ちょっと時間を巻き戻して映像を二人に焦点を当てて見てみると分かるけど、蛙吹はエクトプラズムに捕まる前に咄嗟にカフスを飲み込んでいた。そして、エクトプラズムに気づかせないように慎重にカフスを口から出して黒影(ダークシャドウ)に持たせてさりげなく攻撃させながらもカフスをはめさせた……やっぱりあの子はやるねぇ」

やはりリカバリーガールに絶賛されていた蛙吹であった。
そして、

『蛙吹・常闇ペア、条件達成!』

と、アナウンスが鳴り響いた。

「やっぱり梅雨ちゃんはすごいなぁ……」
「そうだな。ではみんな、次は俺と尾白君の番だ……」
「なんとかやってみる。行ってくるよ」
「頑張ってね。二人とも!」

飯田と尾白の二人は一同にグッと親指を立てて出て行った。


 
 

 
後書き
今回は前半は出久による一回戦の考察、後半は梅雨ちゃんと常闇視線より見ているみんな視線と言った感じの展開でしたね。
特に原作と変更点はありませんからこれからもモニター視線と考察が多くなると思います。
うまく私も考察を描けているか不安ですけどね……。ここは変だと思う点はどんどん指摘してくださって結構ですので。 
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