異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!
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予想通りなら、面倒な敵
燃え上がる紅蓮の炎。
水分を含んでいるだろう森の木が音を立てて燃え上がる。
先ほど俺が立っていた場所に正確に攻撃をしているようだった。
そう思っていると今度はそこの俺がいた場所に、氷の魔法攻撃がされる。
吹きあがっていた炎が氷によって消失した。
消火活動をした、というよりは炎による攻撃が防がれた時用に、次の攻撃をあまり時間をおかずにする、といった意味合いが強いのだろう。
俺はそんな風に考えながら、警戒しする。
以前、前の世界でそういったものに遭遇した記憶もある。
もしも予想通りなら、面倒な敵だ。
むしろ俺一人で戦った穂が被害は少ないかもしれないか?
いや、そこですぐに自分一人で戦うと考えず、できる限り俺の実力を隠し通さねばならない事実を思い出さないといけない。
そう、俺はスローライフがしたいのだ。
できるだけ俺自身の実力を示さず、魔法を使わない方がいい。
いざという時は使う準備をしないといけないが、まだまだその段階にはない……と思う。
それにやはりこういった場所では、全員で力を合わせて危機を打開すべきだろう。
……ここにいる人たちの本当の実力も幾らか見ておかないと、いざという時に俺が守れないような状況では死んでしまうのかもしれないのだから。
幸いにも前の世界では、俺と友好的な関係にある人物たちはほとんど死なずに済んでいた。
途中からあの世界でも“規格外”の人間と付き合うようになったからかもしれない。
だが、その代わりに俺は無茶な攻撃を仕掛ける彼ら、彼女らによって、別な意味で命の危険に晒された。
そういえば前の世界でも一緒に召喚された友人は、俺ほど大変な思いをしていないようだった。
純粋にそれは羨ましかった。
とはいうものの、必要な後方支援をやってもらっていたので、彼の助力無しでの戦闘は、大変だった。
だが、この世界に彼が来たら今度こそは俺の大変さを味わってほしいと思う。
俺ばかりが大変な目に合うのはフェアではない、そう思う。
などと一通り考えた所で、俺は周囲に満ちる“視線”のようなものを肌に感じる。
“敵の領域”に入ってしまったそんな感じだ。
移動可能なタイプ、しかも動きもそこそこ早い。
即座に俺は“索敵”を開始する。
この周囲の、“敵”と“敵の領域”だ。
後は、“敵”の移動速度だが、
「……見る意味はあまりないか? 借りの……数秒単位での大まかな移動範囲の領域予測も一緒に表示させるか? それとも余分な情報はない方がいいか……」
「ちょっと、頭の中で考えているばかりで、私達にはまったく分からないわ」
そこで腕を引いていたエイダに俺は言われてしまう。
怒っているらしい彼女。
ちなみにレオノーラはなぜか俺に手を繋がれて静かだったが、その話は端に寄せて置き、
「移動速度がとにかく“速い”敵がいるんだ。“索敵”表示を、以前のように“同期”して“共有”したいが構わないか? それで戦略を練りたい」
「あれね……分かったわ。危険な敵なのね」
「そうだ。……そして、もしかしたなら俺をおびき寄せるために仕組まれているかもしれない」
「そう。それなら警戒しないといけないわね」
エイダは俺の言葉をあっさりと受け入れた。
そして、“同期”させようとしてそこで俺はハデスにはその説明をしていないと気づく。
「えっと、“同期”について説明した方がいいだろうか」
「いい。今は戦闘が大切。実際に体験をしながら学ぶ」
というありがたい答えが返ってきたのはいいのだが。
この時俺は、もしかしてハデスは説明書を読まずにゲームを起動させるタイプなのだろうか? と思ったのだった。
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