異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!
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説明は省かれる
こうして俺は、今回の“敵”に対抗するために、“索敵情報”を“同期”した。
「うう……」
「うぎゅ……」
「……なるほど」
エイダとレオノーラ(人間体に戻った)はまだ慣れていないらしく呻いている。
早く慣れてもらえると、便利に使える技なのだが、まだ時間がかかりそうだ。
ただ、さすがに女神というだけ合ってハデスは特に変化はない。
だから一通り表示の説明をする。
それにハデスは頷いてから、
「この予想される領域が緑色に輝いている、ここに先ほどの攻撃してきた存在が現れやすい場所。この範囲はどうやって算出しているの?」
「俺達を敵が探して移動している間にどれだけ魔力が減ったか、瞬時に全部を使えきれないし、構造上使える魔力の上限を概算して、それが時間あたりに……」
「……細かい説明をありがとう。貴方のチート能力がかなり細かくて、私たち神々の予測すら超えるような力を持っていそうだと分かりました」
「……」
「貴方の手をお借りできることを、感謝します」
そうハデスは頭を下げた。
こうされると俺も、手伝った方がいいかなという気持ちにさせられる。
そして俺のチート能力に関しては詳しい説明はしないようにしようと思う。
魔法自体がある程度俺たちの“意思”によって発動するとはいえ、チート能力の方は、発動のために幾つかの過程があるとはいえ俺の想像力が試されている部分もある。
その想像力の源はというと、勉強といった過去の偉人たちの蓄積だけでなく、漫画、アニメ、小説、映画etc、といった娯楽にもよるものだ。
それはこの世界に一部は存在しない。
それは異質なものとしても捕らえられるだろうし、逆に知らないから何でもできると思われるのも困る。
だからできることはあまり言わない方がいいだろう。
身を守るだけでなく、厄介ごとに巻き込まれるという意味でも危険があり、いうべきではない。
俺のスローライフのために!
それに今はここまでの事が出来るようになったが、一番初めはこんなものではなくて、それでも戦おうとした記憶がある。
ふと感傷的になってしまった俺は大きく息を吐いてから、目の前のあの怪物について意識を戻す。
「それであの怪物は、その範囲内を瞬時に移動して攻撃をする……つまり俺たちの上空や背後に移動して攻撃をするといった代物です」
「移動? 風魔法でも使ってその場から移動するの?」
エイダの質問に俺は首を振り、
「この世界の“外側”に一時的に転移する」
「! それは私たちの領域です。世界の壁を壊すなど……」
そこでハデスが珍しく焦ったようにそういうが俺としては、
「前の世界での敵は、ある程度“世界の壁”についての知識がありました。あの世界を征服したら異世界侵略にまで手を伸ばすところだったのでしょう」
「……私たちの領域に現れたなら、破壊します」
「一瞬で現れてはいなくなるものにいちいち対応はできないと思いますが……前の世界の女神もそう言っていましたし」
その話を聞いてハデスは、心なしか青い顔で黙った。
予想以上に危険な敵だと理解したのだろう。
そこでレオノーラが手を挙げた。
「それで、この怪物の力は有限なのじゃ?」
そう聞いてきたのだった。
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