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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Epica15-C局員狩り~Flame vs Flame~

 
前書き
つ、い、に・・・キターーーーー!
エースコンバット7が、来年1月17日に発売!
やるぜ~、超やるぜ~・・・!
というわけで、その時期の更新は少し滞るかもしれません。 

 
†††Sideアリサ†††

「はぁ~、今日も疲れたぁ~・・・」

デスクワークに警邏に捜査にと激務を終えて帰宅の途につく。時計の針はもう深夜12時を回ってる。あたしはミッド地上本部の首都防衛隊に所属していて、部下15人のバニングス隊を率いている。んだけど、隊員の中には教会騎士団にかつて勤めていた人も居て、教会騎士団独立の影響で今は休職中。一応、補充要員を回してきてくれたおかげで、まぁ上手く隊が機能してくれてるわ。

(でも言っちゃ悪いけど戦力としてはガタ落ちなのよね・・・)

そんな新生バニングス隊として頑張ってるのだけど、管理局から騎士局員が何百人と一斉に抜けたのはかなり痛い。残業も増えたしさ、チーム海鳴の親友たちともスケジュールがなかなか合わないから、一緒にどこかへ遊びに行けていないわ。

「そろそろまともな休暇がほしいわね~」

なんて文句を独りで垂れながら地上本部の地下駐車場へと降りてきて、自分の車の元へと覚束ない足取りで向かう。早々に家に帰って休もう。とそんな時・・・

――トランスファーゲート――

直感が働いた。無人だった駐車場にあたし以外の誰かが居る。首から提げてる待機モードの“フレイムアイズ”を胸元から取り出す。局員なら足音がするのが普通。わざわざ足音を消して歩く必要なんてないもの。でもこの誰かは足音を消して歩いてる・・・気がする。足を止めて振り返る。シーンと静まり返る駐車場だけど・・・。

(やっぱり誰か居る。しかもかなりの手練だわ・・・!)

疲労で省エネモードになってた頭を戦闘モードへと切り替える。そして「さすがはチーム海鳴の魔導師ですね」って、変声魔法を使っているのか機械的な声色でそう言う、オペラ座の怪人のような「仮面持ち・・・!」があたしの前に姿を見せた。

「お初にお目に掛かる。私は最後の大隊(レッツト・バタリオン)が1人、ルインと申す」

「ルイン? 当然本名じゃ・・・」

「ありませんね。コードネームですよ。意味は、赤い炎、です」

ルインで赤い炎か。ミッド語じゃないのは確かね。コイツを捕まえた後、色んな言語に詳しいルシルにでもどこの世界の言葉か教えてもらおうかしら。

「で? あたしの前に現れた理由は何? 出頭してくれるのなら大歓迎なのだけど?」

あたしがそう聞くと、ルインは何も言わずに学ランのポケットから小さな球体を取り出して、足元へと無造作に落とした。ガラスみたく割れた後、得も言われる何かがブワッと広がって、駐車場が「結界・・・?」のようなものに覆われて灰色の世界となった。

(魔法・・・? にしては魔力を感じなかったわね・・・)

「あなたを拉致にしきました。大人しく投降してくれるのであれば、私としては大変嬉しいのですが?」

「「・・・」」

少しの沈黙の後、あたしとルインは「あはは!」って笑い声を上げた。あたしは「今すぐその仮面を剥ぐわ」と“フレイムアイズ”を起動して、防護服へと変身する。“フレイムアイズ”はニュートラルのファルシオンフォームだ。

「とても残念です・・・と言いたいところですが、個人的にあなたとは1対1で拳を交えてみたかった。あなたを墜とした後は、騎士シグナムを墜とすつもりです。チーム海鳴の二大炎熱使いに勝利する。それが目下わたしの目標です」

――炎纏人――

そう言ってルインは足元にベルカ魔法陣を展開して、噴き上がる炎の渦に飲み込まれた。渦が消えると、ルインは全身を炎を纏った状態で構えを取った。炎に包まれた中で怪しく光る2つの目がスッと細められた。来る。そう思った瞬間・・・

「参る!」

あたしに向かって駆け出してきたから、こちらも“フレイムアイズ”の柄を両手で握り締めて交戦に入る。繰り出される左拳に「バーニングスラッシュ!」と炎の斬撃で迎撃。ルインの燃える拳が刃面と激突。剣身と拳が纏っている炎が周囲に散らばるんだけど、結界のおかげか車への引火は防がれてるわ。

「おおおおおおッ!」

「むううううう!!」

あたしは燃え続ける“フレイムアイズ”を振り続け、ルインは燃える拳や蹴りであたしの攻撃を迎撃してきた。それだけでコイツが高レベルの騎士であることが判る。まぁシャルやルシル達から、大隊のメンバーにはヤバイくらいに強い騎士が多く居る、っていう話は聴いていたけど。

「でもま、チーム海鳴内での模擬戦で鍛えたあたしにはまだ足りないわ・・・!」

――タイラントフレア――

“フレイムアイズ”の剣身に纏わせている炎の最大火力を引き上げさせると、ルインは「っ・・・!」その衝撃に後退した。アイツが体勢を立て直すより早く接近する。繰り出される上段蹴りを身を屈めるで躱した。利き足を踏みしめ・・・

「タイラント・・・フレアッ!」

「むぐぅ・・・!」

全力の火炎斬撃をルインの横っ腹に打ち込んでやったわ。全身を炎で包んでるアイツを、今度はあたしの炎で覆ってやって、さらに爆発させてやった。吹っ飛んだアイツは誰かの車に突っ込み、他数台を巻き込みながら駐車場の壁に突っ込んで、その車の下敷きになった。やりすぎ、とは思わないわ。手応えからして今の一撃で終わったとは考えられない。

「はっはっは! いやぁ、なるほど。確かにこれは強い」

――爆乱覇――

スクラップと化した車の山が大爆発を起こして、バラバラに吹っ飛んだ機械部品や炎の礫が全方位へ向けて飛んだ。さすがに車の残骸は受けきれないって判断したあたしは回避行動に入って、炎弾だけは“フレイムアイズ”で斬り伏せた。

――紅狼駆――

その中でルインが姿勢を低くした状態で高速突撃してきた。前に向かって突き出され、開いた指を直角に曲げた両手は、まるで犬か狼の口を思わせるわ。でも突進攻撃ならせめて「アインスの速度を超えなさい!」って無茶なことをあたしは叫んだ。チーム海鳴において陸戦・空戦共に最速のアインス。あの子の突進だけは完全には避けられないわ、あたし。

「せぇぇぇぇい!」

“フレイムアイズ”を野球のバットに見立ててフルスイング。速度はともかくルインの突進力はかなり強くて、腕がへし折られるかと思ったけど、「とぉりゃあああああ!」とアイツをまた吹っ飛ばして、車の列に突っ込ませてやったわ。

「フレイムアイズ、バヨネットフォーム」

≪応!≫

“フレイムアイズ”を銃剣形態へと変える。刃に高熱を付加するフレアブレードを発動して、戦闘スタイルを中距離へと変更。ひしゃげた車の山の中から「素晴らしい、実に素晴らしい!」って興奮気味なそんな言葉が。車1台を両手で持ち上げながらルインが瓦礫の山から姿を見せた。

「直進的な攻撃ではカウンターの餌食ということですか・・・!」

放り投げられる車を横っ飛びすることで躱すと同時、「獄火拳!」と拳の形をした火炎弾を6発ほど撃ってきたけど、横っ飛びからの側転でそれらも回避。負けじと「フレイムバレット!」と連射。

「ふんっ!」

ルインは足元の車を直立になるよう蹴り上ることで盾とした。火炎弾が車の腹下に着弾したことで大爆発して、ルインがまたも爆炎に飲み込まれた。ま、どうせ何ともないのでしょうけど。

「しかしながら私はご存知のとおりベルカ式の使い手。真っ直ぐが心情・・・です!」

片手でそれぞれ車を持ち上げたルインは「行きます!」と車をまた放り投げてきた。あたしは短距離高速移動魔法の「フォックスバット・ラン!」を発動して、飛んでくる車を避けながら「フレイムバレット!」を連射。

「炎奪者・・・!」

両手に炎を纏わせたルインは、防御も回避もせずにあたしの火炎弾を真っ向から受け止めた。あたしの火炎弾は爆発することなく、アイツの手の中に「吸収・・・!?」された。

「私は灼熱をも呑み込む業火の騎士。すべての炎は、我が炎の前にひれ伏す。そこに例外は無し」

「力説どうも」

対炎熱魔法の騎士というわけね。相性的には悪いのでしょうけど、吸収するのにも限界はあるはずよ。だから「フリンジングボム!」とバスケットボール大の火炎弾を3発と連射。ルインは「燃料ありがとうございます!」って燃える両手の平を火炎弾に向けた。吸収されるより早く「ファイア!」って号令を掛けて3発動時に炸裂させた。アイツが爆炎に飲み込まれたのを確認。

「フレイムアイズ、クレイモアフォーム!」

≪応よ! 一気に片を付けるんだな!≫

炎熱魔力を半実体化した大剣形態へと変形させて、上段に構えつつカートリッジを4発連続ロード。伸ばした剣身に僅かに炎を纏わせ、爆炎の中から飛び出してきたルインへと向けて・・・

「ヴォルカニック・・・スカッシャァァァァーーーーッ!!」

振り落とした。ルインは斬撃を受け止めることなく走り続けながらも半歩分横に軌道変更して、あたしの斬撃を躱した。吸収しなかった、吸収できなかった、2つの考えがあるけど、今はそんな事は横に置いておくわ。

「でぇぇぇぇいッ!」

振り下ろした“フレイムアイズ”の軌道を、ルイン目掛けて横へと切り替える。ほぼ振り下ろし終えていたこともあって、アイツの膝くらいの高さになったけど。とにかくジャンプして避けたところで斬り上げてやるわ。というあたしの考えを、アイツは魔力刃を踏みつけるっていう方法で斬撃に対処した。

「(なら・・・)バーストアップ!」

半実体化を解除して、純粋な炎へと戻して爆破させた。足元からの爆発にルインは、炎を吸収することなく何度目かの炎塗れに。爆発の衝撃波でアイツが天井に叩き付けられたのが判った。力なく黒煙の中に落下して、少しの間の静寂の後・・・

「これは驚きましたよ。いやぁ痛い痛い」

マントや学生帽、さらには仮面すらも原型を留めてないほどのダメージを負っているようだけど、声色は未だに余裕に満ちているわね。それに目出し帽がある所為で素顔は確認できないけれど・・・。

「結構ボロボロね。吸収するには何かしらの条件があると見たわ」

「そうですね。それはあなたご自身で考えてください・・・!」

――炎纏人――

ルインがまた全身を炎で覆うモードに入った。あたしも爆破した魔力刃を再展開させて、突進してきたアイツへ向けて斬撃を繰り出す。アイツは避けることなくあたしの薙ぎ払いを両手でガキィンと受け止めて、グッと鷲掴んだ。

「ふぅん!」

「ちょっ・・・!」

そのままあたしをジャイアントスイングのように振り回した後、ルインは「あなたも一度、車に突っ込んではいかがですか?」って言って、あたしを車の列へと放り投げた。ルインは飛行魔法を使えないのかしら。ぶつかるより先に飛行魔法を発動してしまえば、宙で制動を掛けることが出来る。

――紅狼駆――

「劫火拳!」

とそこに、炎の塊となって突進してきたルインによる掌底が繰り出された。シールドを張るより早く魔力刃の腹で防御したけど、突進力も加味されてるから「重!」い一撃だった。だからあたしは宙での踏ん張りも効かず、「きゃああ!?」車の列に背中から突っ込んだ。直前に“フレイムアイズ”が背中にバリアを張ってくれたおかげで、ダメージは軽微だったけど・・・。

≪追撃くるぞ!≫

「ん!」

その警告に従って、あたしを取り囲んでる車を魔力刃の腹で薙ぎ払う中、目前までルインがすっ飛んで来ていた。振りかぶられていた燃える右拳があたしの顔目掛けて繰り出される。ここはルシルのやり方を真似てみようかしらね。左手に魔力を分厚く纏わせて、アイツの拳を覆うように優しくキャッチしつつ、受け止めるんじゃなくて後方へと流すように引っ張る。

「とりゃぁぁぁぁぁ!!」

そして右手に持つ“フレイムアイズ”の柄尻をアイツの鳩尾に打ち込んで、ルインを宙で前転させるように放り投げた。アイツが宙で体勢を立て直して着地するより早く振り返って・・・

「ヴォルカニック・スカッシャァァーーーーッ!」

アイツの・・・その、男の人にとって大事なところ目掛けて“フレイムアイズ”を振り下ろした。アイツはまともに斬撃を受けて、車を大きく潰しながら沈んだ。手応えからして未だに、勝った、って断言できないわ。クレイモアフォームの魔力刃は、シールドやバリアなどを魔法無しで破壊できるようになってるんだけど・・・。

(コイツの防御力侮りがたし、ね)

カートリッジを3発ロードして、いつでも再攻撃が出来るようにスタンバイ。全身を覆っていた炎は完全に消え失せていて、ルインも仰向けに大の字で倒れてる。たとえ起き上がったとしても、そこで容赦なくでトドメを撃ち込ませてもらうわよ。

「く・・・う・・・ぐぅ・・・!」

「投降してもらいたいのだけど?」

呻き声を上げながら寝返りを打とうとしてるルインにそう勧告すると、アイツは「ご冗談を・・・」って断った。だから「そう。残念よ」とあたしは“フレイムアイズ”を振り上げる。

「ヴォルカニック・・・スカッシャー!」

もう一度斬撃を直接お見舞いしてあげた。ただでさえすでにスクラップ状態だった車が、今の一撃でバラバラに吹っ飛んだ。さっきまでは妙な手応えだったけど、今の一撃で“フレイムアイズ”から伝わる手応えは、勝った、と思えるものだった。“フレイムアイズ”を肩に担いで、完全に伸びてるルインを見下ろしていると、体の輪郭が崩れ始めた。

「・・・。ん?・・・ちょっ、はぁ!?」

細い体格だったルインが、それはもうゴツイ体格へと変身(というよりは戻った?)した。ザフィーラの人型モードのように筋骨隆々で、服装は信じられないことに「神父服・・・!」だった。しかもあたしは、この男に見覚えがあった。

「名前は確かそう・・・ガリホディン、・・・ガリホディン・ダムマイアー」

聖王教会騎士団の騎士であり、さらに言えば脱退したルミナの代わりにパラディンへと繰り上げ昇格した拳闘騎士だ。頭の中で最悪の展開が次々と浮かんでくる。仮面持ちの正体が現役のパラディン。となると、他の仮面持ちの中にも教会騎士団に関係する人間がいるかもしれない。

「早くみんなに報せないと・・・!」

とはいえ、騎士ガリホディンが気絶してるのに結界は解除されていないのよね。どうやったら解除できるのかしら。辺りを探索してみるけど、結界解除に至る術を見つけ出すことが出来なかったわ。

「あー驚いた。ワタシの魔法と魔力だけしか使ってないとはいえ、ワタシのロードを倒しちゃうなんて。あまりの威力にワタシまで一時ダウンしちゃってたし。あなた、強いのね♪」

幼い女の子の声が、倒れ付したままの騎士ガリホディンから聞こえてきた。バッと振り返ると、ゆっくりとだけと起き上がってく彼の姿が。気になるのは声だけじゃなくて、髪の色が青から紅色に変化していた。もうこの段階で声の正体が何か察することが出来た。

「融合騎・・・!」

「どうもはじめまして。最後の大隊(レッツト・バタリオン)所属の融合騎、ゼヒツェーンテです! 融合騎がいるっていうのはとっても秘密なので、誰にも口外しないでね~!」

騎士ガリホディンの閉ざされた口から聞こえてくるゼヒツェーンテ(意味は、16、か・・・)の陽気な声。口外するなって言っておいてあたしに名乗るということは、「あたしを生かして帰すつもりはない?」ということになりそうね。

「殺すことはないよ。ただ捕まえて、ちょっとの間眠っていてもらうだけだよ」

「それだけで十分恐ろしい話よ。アンタも騎士ガリホディンと一緒に逮捕するから、大人しく投降しなさい!」

「ダーメ。閣下からの命令だもの。ちゃんと果たさないと怒られちゃう」

「残念よ」

――リングバインド――

本体である騎士ガリホディンの4つのバインドで簀巻きのように拘束する。防護服を着用していないし、攻撃魔法にするといくら非殺傷設定でも重傷を負うことになるもの。ゼヒツェーンテは「ほら、起きて、ロード! 捕まっちゃう!」なんて今さら言い出した。起こしてからあたしと話せばよかったのに・・・。

「とにかく、最後の大隊の一員であるあなた達を逮捕します。ので、結界の解除をすぐに行うように」

通信も念話も上手く繋がらない以上は、やっぱり現実に戻るしかないわけで。でもゼヒツェーンテは「おーい、おーい!」ってあたしの話を聞こうとしないし。もう壊しちゃおうかしら。“フレイムアイズ”のマガジンを交換して、カートリッジを新たに3発ロード。魔力刃に防御魔法以外の魔法破壊効果を付与させたそのとき・・・

――トランスファーゲート――

ギュィーン!と聞き覚えのある駆動音がフェードインしてきた。振り向くとほぼ同時、もうすぐそこまで来ていた新たな仮面持ちを視界に収めた。円形の仮面と目出し帽と黒のセーラー服。何より目が行くのは、両腕に装着された“リボルバーナックル”と、両足の“マッハキャリバー”。左腕にも“リボルバーナックル”が装着されているのが妙だけど、背格好からしても・・・

「スバル・・・!?」

としか思えない仮面持ちだった。だから「スバル! スバルなんでしょ!」って呼びかけながら、スバル?の攻撃を捌き続ける。

「せぇーい! やぁー! とぉー!」

「変声魔法も使っていない、まんまスバルの声じゃないの! あんた、何やってるの!」

「ス、スバルじゃないです! 最後の大隊の1人、アングです!」

「動揺してる時点でそうでしょうが! ゼヒツェーンテ! あんた達、スバルに何をしたの!?」

スバルが最後の大隊(そっち)側に付くなんて絶対×100でもありえない。まず連中に洗脳みたいなことをされたに違いないわ。ゼヒツェーンテは「ワタシは何もしてな~い」って答えた。わたしは、か。ゼヒツェーンテ個人は関わってない、って話で良いのよね。

「魔導師アリサ・・・さん! あなたを確保します! お覚悟を!」

「・・・はあ。もういいわ、やってあげる。その代わり痛い目に遭う覚悟はしておきなさいよ、スバル! フレイムアイズ、ヴァラーフォーム!」

≪おいおい、後輩相手にヴァラーはやり過ぎだろ!?≫

“フレイムアイズ”がそんなことを言うけど、スバルって普通にバリア貫通の一撃を打ってくるのよね。だから防御より攻撃を優先していかないと、変なところでカウンターを食らって撃墜なんてこともある。

「だから先手必勝!」

≪しゃあねぇな! いくぜ!≫

スナイパーライフルのような長い銃身の両側に反りの無い直刀が2つある、1m半くらいの長さの実体ある大剣と、1mくらいのソードブレイカー状の魔力剣の二刀流というスタイルになる“ヴァラーフォーム”。直接攻撃系魔法と射砲撃魔法を一度に行える、あたしの切り札よ。

「フレイムバレット!」

大剣にある銃口から火炎弾を連射。スバルは“マッハキャリバー”の運動性能をフルに活かして右に左にと回避しつつ、余計切れないものはシールドを張って防御。そのままあたしに向かって突っ込んでくる。けど、近接特化のあんたを懐に近づけるほどあたしは馬鹿じゃないわ。

「イジェクティブ・ファイア!」

火炎弾に混じって砲撃を発射。最初に火炎弾でスバルの軌道に制限を掛けて、左右に避けられないようにしてからの火炎砲。スバルはギリギリで「ファイアプロテクション!」を前面に展開して防御した。爆炎と黒煙に呑まれるそんなスバルへ向けて・・・

「ヴォルカニック・スカッシャー!」

2つの直刀に展開した数mの半実体化魔力刃による横払いの斬撃をお見舞い。でもあたしの一撃は空振り。それは何故か。その答えはすぐに見ることが出来た。あたしの斬撃によって黒煙が晴れる中・・・

――ウイングロード――

魔力で構築された道が駐車場内を走った。ソレを疾走してくるのはスバル。なるほど、あたしの斬撃をジャンプして躱すと同時にウイングロードを発動したわけね。ウイングロード上を疾走するスバルの移動速度は速く、あたしの射砲撃じゃ追いつけない。となれば、「ウイングロードを破壊するだけよ!」と、あたしは「フレイムバレット!」をウイングロードへ向けて発射。

「あわわ!」

スバルの行く手を先に破壊すると、あの子は慌てながらもジャンプして下を走るウイングロードへ着地しようとした。だから着地を狙って火炎砲「イジェクティブ・ファイア!」を撃ち込んだ。

「ちょっ、待っ、まぁぁぁぁーーーー!?」

対炎熱魔法防御を発動することなくドォーン!と直撃。でもスバル自身の防御力も侮れないから、あの子が墜落した場所へと大剣の銃口を向ける。

「私との戦闘も再開と参りましょうか!」

スバルへと意識を集中しすぎていた。まさかの伏兵があの子だったって事もあって・・・。あたしの背後に迫ってきていた騎士ガリホディン。振り向き様に視界の端に捉えたアイツは、燃える右拳を今にも繰り出そうとしていた。

――劫火拳――

「くっ・・・!」

体を捻りながら後ろへ向かって飛びのく。目の前を通り過ぎる騎士ガリホディンと目が合った。追撃に注意しながらも、スバルの動向にも警戒する。黒煙の中から飛び出してくるあの子を視認。1対2の、若干旗色の悪い戦闘。さぁどうしようかって考えていたところで・・・

――トランスファーゲート――

「シューット!」

――クロスファイア・ツインバースト――

これまた聞き覚えのある声、そして魔力光があたしを襲った。スバル、騎士ガリホディンだけだって考えていたあたしが間抜けだった。まさか「ティアナ・・・!?」まで敵の手に落ちていたなんて・・・。ティアナの砲撃の直撃を受け、さらに騎士ガリホディンとスバルの拳打を受けたあたしは、意識を繋ぎとめることが出来なかった。
 
 

 
後書き
エースコンバットインフィニティは、いつの間にかサービス終了していましたし。
キャンペーンモードをクリアしてからは触れていなかったんで、気付かなかったですよ。
ストーリーの続きを知りたかったんですが・・・。
むぅ、これだからオンラインゲームは・・・はぁ・・・。 
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