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駄目親父としっかり娘の珍道中

作者:sibugaki
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第84話 何時の時代も上司には苦労させられる その2

 
前書き
今回、シュテルの作った七色ヘルソースが猛威を振るうそうです。そして、そんなシュテルにも危機が迫るそうですww 

 
 銀時が逃げ場のない致死率100%と言うひと昔前にあったラブコメのタイトルみたいな状態に追い込まれている丁度その頃、偵察も兼ねて忍び込んでいたザッキーこと山崎とザッフィーことザフィーラのコンビは軒下からこっそりと忍び込んでいる真っ最中であった。
 昔の時代にはこう言った軒下みたいなスペースがあったらしく、良く時代劇とかでも用いられたりするのがこれである。
 んで、お約束と言えば家主に気配がばれて刀でぶっすりいかれて動物の鳴き声で難を逃れるってのが定番っちゃぁ定番だった筈。

「何か・・・上の方が騒がしいなぁ」
「うむ、会話の内容までは聞き取れないが、どうやら何か揉めているようだな」

 二人とも一つ床の上で起こっている惨劇が気になっているのか、そっと聞き耳を立てて様子を伺い始める。
 もしかしたら、何かしら有力な情報がつかめるやも知れないからだ。
 あわよくばそのまま情報を手土産に退散すれば最悪お咎めはない筈。
 まぁ、あったとしても多少は手加減してくれるかも知れない。
 ・・・多分―――

 「う~ん、凄いもめてる感じがするんだけどどんな風にもめてるのか分からないなぁ。一体何なんだ? 七色粥とか言ってるけど」
「暗号か何かか? もしかしたら俺達の潜入に感づいて暗号で情報交換をしているのか知れんな」

 二人は互いに深読みをし合っているが、実際には全く関係なく、ただ単に七色に発色している不気味な粥を食わされそうになってるだけなんだけどね。
 しかし、幾ら気になるとは言え深入りするのは危険がつきもの。それは此処で密かに聞き耳を立てている理不尽な上司に悩まされている二人にも当て嵌まる。

 ガチャリ・・・ウィィィン―――

 何処かで機械的な音がした。何かが作動したかの様な音だった。
 おかしい。最初に襲って来たのはそんな疑念だった。
 此処は見た限り天人の技術が使われていない江戸の技術のみで作られた古臭い道場の筈。
 その道場の中に何故天人の技術でもある機械の音がするのか。
 それも、先の音はテレビやエアコンと言った家電機器の類では断じてない。
 もっと物騒で、もっと危険で、もっとも聞きたくない類の音の筈だ。

「ザッキー。今の音は何だ?」
「分からないけど、凄い嫌な予感がする・・・とにかく、此処に居たって大した情報は集まらないから一旦安全な場所に引き上げて―――」

 退散しようとしかけたその両者に、それは襲い掛かって来た。
 軒下のあちこちに建ってある木製の柱。家屋を支える上で重要な役割を果たしているこれらの柱の側面部分が突如スライドをし始めた。
 それも一つ二つじゃない。見える範囲にある柱全てのこちら側に位置する部位がスライドをし始めたのだ。
 そして、スライドした後に見えて来たのは、一体どうやって取り付けたのか、それを小一時間問いただしたくなる代物だった。
 小型の高出力レーザー照射装置が其処には取り付けられていたのだ。

「うひゃっ!!」
「うひぃっ!!」

 二人して情けない声を挙げながら照射されたレーザーを回避する。
 だが、回避できたからと言って安心はできない。
 何故なら、高出力レーザー照射装置は一つだけではないのだから。
 侵入者迎撃用に取り付けられた無数のレーザー照射装置から夥しい数のレーザーが二人に向かい一切の容赦なく放たれていく。

「ななな、何じゃこりゃぁぁぁ!」
「これは魔力弾!? 嫌、魔力の類は感じられない。質量兵器か? にしても何でこんな武器が一般家屋に取り付けられてるんだ!?」

 山崎もザフィーラも揃ってパニックになりながら必至に狭い軒下の中をのたうち回りながら器用に放たれる高出力レーザーをかいくぐっていた。
 何度か掠めた箇所があったが、其処を見るとうっすらと焦げ付いているのか煙が少し立ち上っていた。
 あんなのが直撃したらと思うとゾッとする。

「ななな、何で新八君の家にこんな厳重な警備が!? しかもこんな軒下何かにぃぃ!?」
「ととと、とにかく此処から逃げるのが先決だぞ! このままじゃ俺達揃って蜂の巣になるのを待つだけだ!」
「ザッフィーの案に賛成って事で、此処は戦略的撤退って事でぇぇ―――」

 最早この後上司に殺されようと構う事はない。後に殺されるか、それとも今殺されるのか―――
 どの道死ぬと言うのならば少し位は長生きしたい。それが良き者の本能なのだから。
 例えどれ程社畜として生きていようとも、どれ程この身を盾にしてまで責め苦を受けたいドMであったとしても、やっぱり死にたくはないのだから。

「ちょっと、なんですか上の下り! 俺は社畜って酷くないっすかその表現!!」
「俺の方が酷いぞ! 何だそのドMってのは? 俺はただ盾の守護獣として仲間達や主を守る役目を担ってるだけであって別に敵の攻撃を受ける事で性的興奮を得るとかそう言う事は断じてないぞ!」

 等と、誰に言っているのか分からない空しい叫びを木霊しながら、二人は急ぎ軒下からの脱出を急いだ。その間にも高出力のレーザーは止む事無く二人に襲い掛かってきているのだから。
 現に山崎のお尻にも数発掠ったしザフィーラの尻尾もちょっぴり焦げてしまったみたいだし。
 
「急げぇ! 急いでこんなとことはおさらばだぁ!!」
「同感だぁ! こんなところで命を落として溜まるかぁ!」

 二人それぞれ同じタイミングで軒下から飛び出し、そして地面に勢いよく手を突いた。

 カチリッ! ピピピピピィィ―――

 ふと、地面の下から嫌な音が響いてきた。
 何処かで聞き慣れたような出来れば絶対聞きたくないような、そんな感じの周波を放つ音。

「この音って・・・・まさか!!」

 山崎がそれを言おうとした正にその時、二人の真下の地面が突如として盛り上がり、凄まじい爆風が起こった。
 余りの威力故に二人は木の葉の如く舞い上がり、そして重力に従って地面に叩きつけられてしまった。

「い・・・生きてる・・・俺達・・・生きてる!?」
「助かった・・・今回がギャグパートで良かったと心底そう思うぞ」

 原作ではまずそんなメタい発言はしないだろうが、此処では銀魂ワールドな為にそんなメタ発言をしても何らおかしくは思われないのは救いなのかも知れない。
 普通に考えれば地雷を踏んで起爆してしまえば最低でも腕か足を失いかねない被害を被るのだろうが、ギャグパートであれば最悪自慢のヘアーがドリフヘアーもとい爆発ヘアーの如くアフロになるだけで済む。
 現に地雷の爆発を受けた山崎とザフィーラの両名の自慢のヘアーは見事にドリフヘアーの如く特大アフロへと変貌を遂げてしまっていた。
 だが、今の二人にそれを気にしている余裕は一切ない。
 今は、とにかくこの罠だらけの恐ろしい家屋を脱出せねばならない。
 その後で上司にどうされようが知ったこっちゃないもんね。

『警告! 警告! 侵入者有り、侵入者有り! 対侵入者迎撃兼抹殺モード発動!』

 突如、辺りから不吉な放送が流れて来た。
 対侵入者迎撃兼抹殺モード!?
 言葉の意味からしてかなり不味い事は何となく分かる。そして、そのターゲットとなる可哀そうな標的は・・・間違いなく此処に不法侵入をした自分達に向けられてるのは明白の事だと言うのはチンパンジーでも理解出来る事だ。
 とにかく、今はこんな目立ちやすい場所に居ては不味い。と言っても軒下は先に食らった無数の高出力レーザーの雨あられが待っている。んで、地面には地雷が敷かれている。
 となれば、跳躍して垣根を上り、そのまま外へ逃れる。それしか方法がなさそうだ。

「ザッキー、此処は跳躍して垣根を飛び越えて逃げるぞ!」
「そ、それしかないですよね。ととと、とにかく今すぐ逃げましょう! そうしましょう!」

 二人は互いに頷き合い、地面にあるかも知れない地雷に細心の注意を払いつつ、ひと跳びに垣根を飛び越えられる位置にまで近づき、そのまま膝のバネと腿と脛とかかとと、とにかく下半身全体の筋肉を総動員して最大の跳躍をし垣根を飛び越える。
 飛び上がった二人の面前に二丁のセントリーガンの銃口が捉える。

「「ゑっ!!」」

 思わぬ伏兵に二人の思考は真っ白になり、全く身動きせずにそのまま重力に従い徐々に地面へと真っ逆さまに落ちるのを待つ体制を取ってしまった。
 そんな二人に向かい、二丁のセントリーガンが火を噴く。1秒間に数十発もの弾丸が二人に向かい放たれる。
 断末魔の悲鳴すら聞こえなくなる程の大音量で放たれる鉛玉の雨。
 全身これ正に蜂の巣と言わんばかりの状態にされた後、二人は真っ逆さまに地面に落下し、その下に設置されていた地雷をまたしても踏んでしまい爆発! そして空高く舞い上がりセントリーガンの正確無比な射撃を食らい地面へと落下しそして爆発。
 以上の事が敷地内に設置されている地雷が全てなくなるまで行われ、それら全てが終わった後、山崎とザフィーラは二人揃って虫の息の状態だったと後の二人は語ったそうな。




     ***




 外での騒がしい爆音や銃撃音は銀時達の耳へと入るのにそう時間はかからなかった。

「な、なぁ・・・この音は何だ?」
「恐らくは不法侵入をした輩を発見した自動防衛システムが起動したのでしょう。ご安心下さい。不法侵入者がデリートされればシステムは自動停止されますから」
「へ? 何それ。何でそんな物騒なシステムが新八の家にあるの? あいつん家貧乏じゃなかったのか?」

 新八の家は元は道場だったのだが、廃刀令によって門下生は瞬く間に居なくなり、資金も枯渇寸前の状態となっているのが現在の志村家だ。
 そんな志村家にさっきの音を出せる程の防衛装置なんて取り付けられる筈がない。
 仮に設置しようとしたらそれこそとんでも級な位の金が飛ぶ羽目になる。
 一体誰がそんな酔狂な事をしたのだろうか。

「私が暇つぶしついでに設置しまくりました」

 元凶は目の前に居た。
 ってか、暇つぶしついでに家中に迎撃装置やらトラップやらを設置するなんて、最初に覚醒したのを見た時にはもっとマシな性格だと思ったんだが・・・相当ぶっ飛んだ性格だったようだ。

「お前・・・何でそんな事したんだよ?」
「いえ、お父様が以前仰っていたように、私はただお姉様の振りをしているだけなのですが。何処か間違っていましたか?」
「いや、色々と間違ってるけど、まず一言言わせてくれ。なのははまずそんな事しねぇよ」

 銀時の知っているなのはは体力馬鹿ではあるが対照的におつむは超が付くほど残念な仕上がりになっている。
 万事屋の仕事はガキの頃から行ってきた為に難なくこなせていたが、一般的な教養に関してはほぼ絶望的レベルだし、前のテストでは赤点ばっかりとってた位だ。
 そんななのはが自動防衛システムなんてご大層な代物を取り付けるなんて事出来る筈がない。
 それを知らないシュテルはそこらへんで大いに勘違いしていたらしい。

「お前さぁ、なのはがどんな性格してるか分かってるか?」
「えぇっと・・・とにかく予測不能な事をするとか・・・ですか?」
「まぁ、予測不能っちゃぁお前も十分予測不能だけどさぁ」

 言葉に困った銀時は無造作に頭をかきながら、ため息をついた。
 なのはの内面を一から口伝えでシュテルに教えるにしてもそれはそれで面倒だし難しい。
 何しろシュテルはまだ生まれたばかり。なのは以上に一般常識は欠落しているかも知れない。
 まるで言葉を覚えたての赤ん坊に早口言葉を教えるような荒業だ。
 まぁ、幸いなのはこのシュテルは結構高い知能を持っているみたいだし、後はその知識の中に世間の常識やなのはの内面とかを叩きこんでいけばまぁ何とななるだろう。

「さぁ、それよりもお父様。お粥が冷めてしまいますよ」
「あ・・・あぁ・・・」

 なのは(シュテル)に言われて、銀時は改めて自分の手の中にある七色粥を眺めた。
 お椀の中では絶えず七色に変色を続ける不気味な粥らしき物体が盛られている。
 正直、こんなの食べて俺の体は大丈夫なのだろうかと、疑念すら抱いてしまう。
 最悪胃袋が化学反応を起こしてなんやかんやで大爆発を起こさないか不安で仕方がない気がする。
 だが、食べねばならない。これもシュテルを教育する為なのだから。
 意を決し、銀時は七色粥を一口口の中へと運んだ。
 最初に口内を駆け巡ったのはとてつもない苦さだった。
 例えるならゴーヤの200倍はするだろう苦みが口全体を覆いつくし、それに続いて今度はメキシコ産唐辛子を軽く凌駕するであろう辛みが襲い、今度はレモンや梅干しなどが甘く感じる程の酸味。
 まるで胃酸に匹敵するかの様な酸味が襲い掛かり、生魚が入っていないにも関わらず何故か生臭い味がその後に続き、海水の如き塩辛さが舌を痺れさせ、油くどい味で口中が粘着きまくり、最後に口の中を支配したのはただひたすらに不味いと言う感覚しか残らなかった。
 
「おヴぇぇぇえええええええええええ―――――!!!!!」

 それらの味覚が導き出した結果は、食べたお粥ごと中身を全てリバースすると言う惨事だった。

「どうですか? 結構美味しく出来たと思うのですが?」
「て、てめぇは・・・今俺がリバースしてるのを見てそんな事聞けるのか?」
「おかしいですね。栄養配分的には全く問題はない筈なのですが。先ほど味見をしたのですが特に問題はなかった筈ですのに・・・・これは再度レシピを練り直しておくとしましょうかね」
「た、頼むからよぉ・・・次に作るときはもっとマシな味にしてくれよな・・・・・・うっぷ!!」

 頭の隅に残ってるあの味を思い出した途端また吐き気がしてきた。さっきの一口の味の中にお粥の甘みや旨味などは一切感じられなかった。
 それらの薄めで優しい味を全て付け加えられた七色ヘルソースが上書きしてかき消してしまっているのだろう。
 この、ただひたすらに苦くて辛くて酸っぱくて生臭くて塩辛くて油くどくて不味い・・・正直こんなソースを他の人間がまともに食べれるとは到底思えない。

「さぁ、どんどん食べて下さい。おかわりも有りますよ」
「え? これ・・・全部食べなきゃ・・・駄目?」
「どうぞ、お粥は温かい内が美味だと味見した時に知りましたから」

 つまり、シュテルはあの七色ヘルソース入りのお粥を食った事になるのか。
 となれば、考えたくはないのだがシュテルの味覚は多分絶望的に一般人とはかけ離れた位置にあるのかも知れない。

「くそっ・・・こうなりゃ毒を食らわば何とやらだ!」

 覚悟を決め、銀時はお粥を一息に平らげた。そして、思わずリバースしそうになるのを必死に口を両手で抑えつけて我慢する。
 銀時の顔が七色に変色していく。最初は赤い色からそれに続いて青、緑、黄色、茶色、紫、灰色。
 それらの色へと変わった後に、元の色へと戻っていく。

「ぶはっ!! く・・・食った・・・食ったぞ!!」
「お粗末様です。お父様・・・はい、おかわりを持ってきましたよ」

 其処には何時頃用意したのか、巨大な寸胴鍋一杯に並々と作られたお粥(七色ヘルソース込み)が銀時の目の前に姿を現す。
 それを見た銀時の顔が蒼白色へと変色し、目元には隈が出来上がり、その瞳はどんよりと濁っていき、その顔や体全体から絶望のオーラが漂いだす。
 しかも、逃げられないようにと目の前でシュテルがとても輝いた目でこちらを見ている。
 小さい子供が自分の作った料理を親に食べて貰って美味しいと言って欲しそうなそんな類の目だった。
 そんな目をした子供の前で「こんな物食えるかぁっ!」と言って料理をひっくり返そうものなら一生もののトラウマを植え付ける事になりかねない。
 だが、今銀時の目の前に置かれているのは業務用の巨大な寸胴鍋に並々と盛られた七色ヘルソース込みお粥が銀時の行く手を阻んでいる。
 これを食べなければ明日を迎える事は出来ない。

「ぐうぅぅぅぅぅぅうおおぉぉぉぉぉぉぉ―――――!!!」

 最早怒号なのか、はたまた絶叫なのか、それとも断末魔の悲鳴なのか。とにかく判別し辛い奇声を挙げながら銀時は寸胴鍋に頭を突っ込み、そしてお粥を口に含み、大して噛みもせずに胃袋の中へと押し込んでいく。
 決して舌の上に少しでも触れさせないように口に入れては呑み込んで胃の中に押し込む。
 それをひたすら繰り返し続けるその光景をシュテルはとても楽しそうに、そして嬉しそうに眺めていた。
 しかし、そんなシュテルにもまた試練の時が迫ってきていた。

「な~~のは~~」
「な~のはちゃ~~ん」

 何処か気の抜けた声と共に全く無防備なシュテルに向かいフェイトとはやての二人が同時に飛び掛かって来た。
 二人の接近に全く気付いていなかったシュテルは二人の熱烈タックルを諸に食らう羽目になってしまった。

「ぐふうっっ!!」

 全く予想外の襲撃に思わず声を挙げるシュテル。そんなシュテルの事など気にも留めないかの様にフェイトとはやてはシュテルに絡みつき、そして締め上げる。

「なのは~~。さっきの爆発が怖くて一人じゃ寝られないから今日は一緒に寝よう。ねっ」
「フェイトちゃんずるいわ。なのはちゃん、私も実は怖いんやわぁ。だから私と一緒に寝ようよ」
「あ・・・あの・・・離れ・・・息が・・・苦し・・・」

 フェイトもはやても二人して引き離されまいと全力でしがみついて絡みついて締め付けている。とてもシュテル一人ではどうする事も出来ない。
 頬を赤く染めながらすりすりする二人の間で、シュテルの顔は徐々に青く染まり始めていく。
 唯一自由に動かせる右腕だけが空しく、そして弱弱しく空を掴むかの様に辺りをばたつかせているが、そんな程度で離れるフェイトとはやてではない。

「はやて、貴方本当は怖くないんでしょ? だったら一人で寝れるでしょ?」
「そう言うフェイトちゃんだって本当は怖くないんやろ? 本音はなのはちゃんと一緒に寝たいだけなんやろ?」
「それを言ったらはやてはヴィータが居るじゃない! 私は一人なのよ。一人で寂しく寝るなんて嫌だもん!」
「何言うとるんや! ヴィータは一緒に寝とると寝相が悪すぎて何時も布団の外に蹴飛ばされるからちょっぴり嫌なんや! だから今日はなのはちゃんと一緒に寝るんや! ヴィータは今日は銀ちゃんと一緒に寝ればええやろ!」

 二人して醜い争いが勃発していた。要するに、誰がなのは(シュテル)と一緒に寝るかと言う事で争いを始めてしまっていたようだ。
 んで、そんな修羅場を前にして、他の面々はと言うと。
 神楽はすっかり興味を無くしたのかジャンプの朗読に勤しんでおり、お妙は「三人共仲良いわねぇ」と微笑ましくその光景を眺めており、新八は我関せずとばかりに漫画を読みふけっており、ヴィータに至ってはまるで自分の家の如くふんぞり返ってせんべいを齧りながらやはり漫画を読んでいた。
 それで、我らが銀時はと言うと―――

「も・・・もう・・・食えねぇ・・・・ガフッ!!」

 寸胴鍋の半分位お粥を食べた辺りで撃沈したそうです。




     ***




 その後、命かながら逃げのびた山崎とザフィーラの二人であったが、肝心の報告内容がちぐはぐな上肝心な所が抜けてたと言う事もあってお互いの上司に相当ひどい目に合わされたのだと言う。
 因みに、シグナムとザフィーラの二人はこの後はやてに「なのはちゃん達を疑うなんてどう言う事やぁ!」とかなり怒られたそうな。
 そんで、あの後結局フェイトとはやての板挟み状態で床につく羽目になったシュテルは少しだけ二人が苦手になってしまったと言うそうだ。
 今でも二人が近くに居ると妙に不安になって銀時に視線を送って助けを求める程だったのだと言う。
 それで、そんな我らが銀時はと言うと、七色ヘルソース入り粥を食べた影響なのか、その後数日間の間はとても体調が良かったと言うそうだ。
 どうやらあの七色ヘルソースは味はともかくとして体にはとても良いと言う検証結果が出たらしい。
 まぁ、幾ら体に良いからって好き好んで食べる輩は恐らく出ないだろうけど。
 尚、シュテルの作ったこのヘルソースではあるが、今からそう遠くない未来で唯一美味しく食べる強者が現れるのだそうだが、それはまたその時にと言う事で―――




     つづく 
 

 
後書き
久しぶりに書いたせいかギャグが難しく感じてしまう(汗
でも、気楽に書けるからしばらくはこの調子でギャグパート続けていくつもりです。 
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