おぢばにおかえり
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30部分:第五話 彩華ラーメンその七
第五話 彩華ラーメンその七
「あんなのは野球じゃないよ。何処かの将軍様の私物だしさ」
「そこまで言うのね」
新一君はとにかく巨人が嫌いです。おぢばも関西にあるので当然のように巨人嫌いな人が多いです。私も素直にいいマスト巨人は嫌いです。けれど新一君のアンチ巨人ぶりはもう極端です。
「清原もいたし」
「今清原そのバファローズにいるじゃない」
「それも嫌だからあの球団応援しないんだよ」
不機嫌そのものの声で答えてきました。
「あんな奴さっさと引退すればいいのにさ」
「ああ、あまり清原悪く言わない方がいいわよ」
私は新一君にそう忠告しました。
「何で?」
「奥華って大阪にあるわよね」
「うん」
大阪には天理教の教会も信者さんもかなり多いです。教祖が『大阪はおぢばの玄関やで』と仰ったこともあってそうなったんです。近鉄上本町駅に黒門が飾られたこともあったそうです。ここでまた近鉄の名前が出るんですけれど。
「それも堺とか岸和田の方にかなり教会が多いから」
「ああ、清原の地元」
「だからよ。清原は地元じゃ人気あるから」
どうやらそうらしいです。私は知らないんですけれど。
「気をつけてね、そこは」
「そんなの関係ないよ」
けれど新一君の態度は相変わらずです。
「僕は清原が嫌いなんだから。あんな奴の何処がいいんだよ」
「それに人を悪く言うのも」
しかも今新一君完全にはら立ちですし。困った子です。
「よくないわよ」
「俺巨人嫌いだから」
それでも顔を顰めて言います。
「あそこだけはね」
「そういえば新一君って嫌いな相手にはどんどん言うわよね」
彼の悪いところです。普段は悪口なんて言わないのに嫌いな相手には本当にしつこい位に言うんです。私も何回も注意しているんですけれど。
「それよくないわよ」
「よくないのはわかってるけれどさ」
顔を顰めさせて言いました。
「それでも。特にあいつはね」
「清原さんそこまで嫌いなの」
「それに別にいいじゃない」
ふと顔を元に戻して言ってきました。
「岸和田とか堺ならさ」
「何でいいのよ」
また変なことを言います。意味がわかりません。
「どうして?」
「だって先輩神戸でしょ」
「!?」
その言葉に目を顰めさせました。
「神戸だからって何?」
「だから。俺将来は先輩と」
「ふざけてるとミスタードーナツなしよ」
もうそこから先は言わせませんでした。
「いいわね」
「わかったよ。先輩は厳しいなあ」
「厳しいも何もそんな悪ふざけは聞かないわよ」
いつもこんなことばかり言いますけれど。本当にふざけてばかりなんですから。
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