レーヴァティン

「あの毒だな」
「肝に一番多いっていうだろ」
「河豚はな」
「そうした毒はホッキョクグマはないけれどな」
「それでもか」
「ああ、毒は毒か」
「そうなんだよ」
　実際にというのだ。
「だから食うなよ」
「ああ、というかホッキョクグマの肝なんてな」
「食わないよな、普通」
「肉自体はじめて食ってるぜ」
　今現在というのだ、そのハムをだ。
「癖がある味だな」
「セイウチのベーコンもね」
　剛はこれを食べていた。
「癖があるね」
「そっちもか」
「うん、僕はセイウチは炙って食べたことがあるよ」
　その肉をというのだ。
「今その話を聞いて生で食べなくてよかったと思ってるよ」
「というか寒い場所で生肉はな」
「普通ないよね」
「熱いものが食いたくなるからな」
「だから焼いて食べていたんだ」
　そうだったというのだ。
「僕もね」
「そうなんだな、じゃあそうして食ってよかったな」
「そうだね、本当に」
「虫がいるなんてな」
　それこそとだ、久志はセイウチについてもしみじみとした口調で述べた。
「やばいな」
「そうだよね」
「というか今マジで俺達凄いもの食ってるな」
　久志は今度は鯨のベーコンを食べた、これもまたいい味だった。
「これは高いけれどあるけれどな」
「鯨のベーコンはね」
　淳二は鯨のソーセージを食べていた、そのうえで久志に応えた。
「日本にもあるよね」
「今のな」
「ちゃんとその鯨のベーコンだし」
　また言った淳二だった。
「いいよね」
「これが一番食いやすいか？」
「そうかもね」
「一応食ったことがあるからな」
「高いけれどね」
「それでもな、スーパーでも売ってるしな」
「昔は売ってなかったらしいね」
　鯨のベーコンだけでなく他の鯨にくを調理したものもだ、このことは捕鯨反対運動が関係していることは言うまでもない。
「それも」
「アイスランドが売ってくれるまでな」
「ずっと前は安かったらしいけれど」
「俺達の親父の若い頃はな」
「そうだったらしいね、それがね」
「高くなったんだよな」
　捕鯨反対で食べられなくなったからである、言うまでもなく。
「それでまたな」
「食べられる様になったね」
「高いにしてもな」
「あんなものじゃない？まあその鯨もね」
「こっちの世界じゃか」
「食べられるよ、こうしてね」
　淳二は鯨のソーセージを食べつつ久志に話した。彼は今も鯨のベーコンを実に美味そうに食べ続けている。
「美味しいよ」
「そうだよな」
「うん、ただソーセージはね」
「それはないな」
　久志もそれはと返した。
「鯨のソーセージは日本にな」
「ないよね」
「ベーコンにさらしに刺身にな」
「あとステーキだね」
　こうした調理方法とその為の肉はあるというのだ。