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レーヴァティン

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第四十九話 八人目のことその五

「そういうのだね」
「だよな、けれどこっちの世界だとか」
「ソーセージもあるよ」
「美味いのかよ、鯨のソーセージ」
「食べてみる?結構癖あるよ」
「そっちも癖あるんだな」
「鯨だからね」
 普通ソーセージにする豚や羊や牛ではないというのだ。
「だからね」
「それでか」
「癖はあるよ」
「それはどうしてもか」
「うん、ただ食べて結構いけるから」
 このことは確かだというのだ。
「よかったら久志もね」
「ああ、ちょっと貰うな」
 実際に一本食べてみた、そうしてから言った。
「確かにな」
「癖あるよね」
「ああ、鯨の固さはないけれどな」
 独特のそれがというのだ。
「けれどな」
「それでもだよね」
「これはミンチにしてるからだな」
「ソーセージだからね」
 動物の余った、もう捨てる様なものをミンチにして腸に入れたうえで燻製にする。ソーセージはそうした食べものである。
「だから固さはね」
「なくなるんだな」
「そうだろうね」
「成程な、しかしな」
「味はだね」
「ああ、やっぱりな」
「鯨だね」
 その独特の固さはなくともだ。
「そうだね」
「そうだよな、けれどその癖がな」
「いいよね」
「結構な味だぜ」
 つまり美味いというのだ。
「鯨のソーセージもな」
「そうだよね、じゃあね」
「これも食ってな」
「他のも食べようね」
「そうしような、燻製をな」
 北の獣達のそれをというのだ。
「あとクモークサーモンもあるしな」
「これですね」
 順一がそのスモークサーモンを食べていた、楽しんでいる感じで食べている。
「スモークサーモンも名物の様ですね」
「ここのな」
「もっと言えば北の」
 そこで作られているからだ。
「そうなりますね」
「だよな、熊とかセイウチとか鯨とかもいいけれどな」
「マンモスもですね」
「オーソドックスにな」
 彼等の世界の現代の日本の基準でだ。
「こういうの食うのもいいな」
「そうですね」
「スモークサーモンもな」
「猪のハムやソーセージもありますよ」
「つまり豚のか」
 猪を家畜化したものが豚だ、だから久志は今こう言ったのだ。
「それもあるんだな」
「こちらもですね」
「食おうな、あとな」
 久志は盃も見て言った。
「こっちもな」
「ビールもですね」
「飲まないとな、冷えてもな」 
 ビールは身体が冷える、逆にワインは温める。
「燻製に合うからな」
「そうですよね、では」
「ビールも飲もうぜ」
 順一に満面の笑みで応えての言葉だった。 
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