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ドリトル先生と和歌山の海と山

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第二幕その五

「和歌山県もね」
「山が多いんだ」
「それもかなり深い?」
「それじゃあだね」
「高野山もその山の中にあって」
「それでなんだ」
「結構な山なんだ」
「そうだよ、山脈の中にあるんだ」 
 それが高野山だというのです。
「言うならね」
「日本って山が多いけれどね」
「高野山もその中にあるんだ」
「じゃあ行くには覚悟が必要かしら」
「そうしたところに行くって」
「今はしっかりと道があるからね」
 だからだとお話する先生でした。
「直接行ける電車もあるし」
「じゃあ今はだね」
「そんなに不便じゃないんだ」
「山の中にあっても」
「それでも」
「今はそうだよ、それで今からね」
 先生達の今のお話もする先生でした。
「その高野山に行く用意もしようね」
「そうそう、トミーは今お風呂だけれどね」
「トミーも用意をするし」
「先生もだよ」
「ちゃんと用意をしようね」
「わかっているよ、ただ何か僕が用意をするよりもね」
 周りで先生に言いながらせっせと用意のお手伝いどころか自分達が率先してやっている皆を見て思うのでした。
「皆の方が動いてるよね」
「だから先生こういうの駄目じゃない」
「要領悪いし動きも遅いし」
「持って行くべきものもわかってないし」
「だからだよ」
「私達がしてるの」
「いつも通りね」
 そうしているというのです、そうして用意はどんどん進んでいきますがトミーがお風呂から出て来て用意をすると余計にでした。 
 先生の出る幕はなくなって苦笑いで言いました。
「やっぱり僕はね」
「はい、先生はこうしたことは」
 トミーは先生に少し苦笑いで言いました。
「僕達がやりますから」
「見ているだけかな」
「そうなりますね」
「何かいつもだね」
 少し苦笑いで言う先生でした。
「僕はそう言われるね」
「こうしたことについては」
「それだけ要領が悪いのかな」
「先生は得手不得手がはっきりしてまして」
 それでというのです。
「日常の生活のことは」
「からっきしで」
「ですからこうしたことはです」
「トミー達に任せてだね」
「はい」
 そうしてというのです。
「先生は先生のペースでやって下さいね」
「何か悪いね」
「いえいえ、いいですよ」
 優しく応えて言うトミーでした。
「お気になさらずに」
「それじゃあね」
「支度は今夜で終わると思います」
「早いね」
「それで連休になれば」
「和歌山にだね」
「行きましょう、それにしても」
 ここでこうも言ったトミーでした。
「先生も日本のあちこちを回っていますね」
「そうだね、北海道や沖縄も行ったしね」
 先生はトミーのそのお話に頷いて応えました、言われてみますと日本のあちこちを巡ってきています。 
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