レーヴァティン
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第四十六話 忍の者その三
「ですからよかったのです」
「そうなるな」
「はい、それが政というものです」
「そういうことだな、ではな」
「はい、これからです」
「俺達もだな」
「そうしたことを考えて何事もしていきましょう」
仲間を集めること、統一の為の戦や政をというのだ。
「是非」
「そういうことだな、ではな」
「これからですね」
「六人目に会いに行くか」
「そうしましょう」
「ではです」
今度は謙二が言ってきた。
「これよりです」
「六人目のことを聞くか」
「そうしましょう」
「ではその辺りにいるな」
「忍の者、いえ里の者にです」
この里の者が全て忍の者であることから言い換えた。忍というとここでは誰もがそうなってしまうからだ。
「聞いてみましょう」
「そうするか」
「近くの」
こう話して実際にだった、謙二が彼等が今歩いている道の横で畑を耕している若い男に声をかけた。この男も一見ごく普通の百姓だがよく見ると動きが俊敏で目も何処か抜け目がない感じがしている。
その男に声をかけて聞くとだった。
「この村に来た人ですか」
「はい、おられると聞いたのですが」
「浩平さんですね」
男はここで名前を出した。
「あの人ですね」
「その浩平という人がですか」
「そう言われていて、この村の外れの家に住んでいまして」
「外れの」
「そこで田畑を耕して奥さんと一緒に暮らしてますよ」
「奥さん?」
「棟梁、いえ庄屋さんの娘さんの一人を貰って」
妻にというのだ。
「暮らしています」
「庄屋さんのですか」
「不思議な人でふらりとこの村に来ていきなり巨人を三人倒しましてね」
「巨人を」
「あんな迷惑な連中をあっという間にですよ」
忍の者達ですら倒すのに苦労するのが巨人だ、しかしその巨人達をというのだ。
「三人倒して村を救ってくれて」
「それで、ですか」
「庄屋さんもえらく気に入りまして」
その者をというのだ。
「そしてなんです」
「今はですか」
「村の外れに家を建てて」
そうしてというのだ。
「住んでいますよ」
「そうですか、わかりました」
「では今から」
「その方に会いに行きます」
その外から来た者にというのだ。
「そうしてきます」
「わかりました、それでは」
「教えて頂き有り難うございます」
「いえいえ、耕平さんは一見難しい方ですがお話しますと」
「いい方ですか」
「ですからご安心下さい」
彼の人柄のことも話すのだった。
「お話されるとやがてです」
「打ち解けて」
「親しくなれますよ」
「そうですか、それでは」
「はい、行かれて下さい」
若い男は一行を笑顔で送った、一行は男と別れそのうえで里の外れに向かった。その者がいるという場所に。
その途中にだ、英雄は先程の若い男についてこう話した。
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