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ドリトル先生と奈良の三山

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第十幕その十

「昔は名物料理とか美味しいものはないって言われたけれど」
「今は違うのね」
「この天理ラーメンだってそうで」
「他にも名物がある」
「お菓子だってそうね」
「そう、お菓子も名物が増えて」
 そうしてというのです。
「食べものも美味しい場所になったよ」
「お素麺もあるしね」
「西瓜だって」
「そう考えると奈良も変わったね」
「歴史だけじゃなくなったのね」
「そうだね、食べものも楽しめる」
 本当にというのです。
「いい場所になったよ」
「全くだね」
「聖徳太子さんも喜んでくれてるかしら」
「奈良に美味しい食べものが増えて」
「鑑真さんもね」
「ははは、そうだといいね」」
 笑顔で応えた先生でした。
「皆が喜んでくれてるなら」
「美味しいものも増えて」
「そうしてね」
「当時は絶対になかったけれど」
「奈良時代のお料理も楽しめるしね」
 その頃のお料理もです。
「あの蘇だってそうだし」
「昔のチーズもね」
「昔のお酒も今のお酒も飲めるし」
「そちらもいいわね」
「全くだよ」
 皆も笑顔で応えます。
「じゃあ今はね」
「このラーメン食べましょう」
「二杯目もね」
「そうしましょう」
「是非共ね」
 先生も笑顔で応えてそうしてでした。
 その二杯目も食べて満足したうえでお店の外に出ました、すると商店街にも法被を着た人が行き来していまして。
 あるおばさん達のお話を聞いて先生は言いました。
「あの人達は津軽の人達だね」
「法被に津軽大教会って書いてるわね」
「本当に津軽の人みたいね」
「あちらのね」
「うん、あの方言はね」
 まさにというのです。
「津軽だよ」
「青森県よね」
「青森の北ね」
「本州の北の北」
「そこね」
「そこの方言だね、あとね」
 今度は別の人達の方言も聞きました。
「熊本の人達もいるね」
「熊本大教会ね」
「今度は法被にそう書いてあるわ」
「九州の熊本の人達もいるのね」
「そういえば高知の人もいるわよ」
「高知大教会って書いてあるよ」
「日本全国から人が集まる場所だからね」
 この天理市はというのです。
「方言もそうだね」
「いや、津軽に熊本って」
「全然正反対の場所だけれど」 
 日本の中で、です。それぞれ南北にかなり離れています。もっと言えば東西でも結構な距離になっています。
「この街では一緒におられるのね」
「それぞれの人達が」
「そうなのね」
「うん、日本全国から信者さんが集まる場所だから」
 それ故にというのです。
「ここはね」
「こうしたこともあるのね」
「滅多にないことよね」
「津軽の言葉も熊本の言葉も同じ時に同じ場で聴ける」
「高知の言葉も」
「高知の言葉も独特だね」
 そちらの方言もというのです。 
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