レーヴァティン
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第四十三話 鞍馬山その六
「ここはだ」
「幕府やどうかではなく」
「我々が力をつけてですね」
「治めよう」
是非にというのだ。
「ここはな」
「それではですね」
「頼朝公よりも清盛公ですね」
「あの方を手本にされますね」
「悪い面もな」
こちらは反面教師としてというのだ。
「そうしたい、しかし清盛公の方が俺から見ればな」
「頼朝公よりもですね」
「優れた為政者に見えますね」
「確かに公家政権のままだったが」
その一族を殺す姿を見てである。
「それでもだ」
「頼朝公よりは参考になる」
「左様ですか」
「一番はやはり徳川家康か」
彼だというのだ。
「あれだけの幕府を築いたからな」
「だからですね」
「あの方が第一ですか」
「そう思った」
こう仲間達に話した。
「俺はな、どう思うか」
「はい、やはりです」
「優れた統治というとです」
「江戸幕府が一番です」
「最も完成された武家政権です」
鎌倉、室町の長所と短所を学んだかの様なというのだ。
「奈良や平安期の律令よりもさらに整った」
「非常にいい統治です」
「そうだな、個人的には徳川家康は好きではないが」
それでもとだ、英雄はさらに話した。
「しかしだ」
「統治者としてはいいですね」
「それもかなり」
「日本第一だろう」
そう言っていいまでだというのだ。
「だからな、俺としてはだ」
「この島の統治はですね」
「徳川家康を参考にされますか」
「そうしたい、そちらもしていかないとな」
これからはというのだ。
「戦い仲間を集めるだけではない」
「そうなっていくでござるな」
智もこう言った。
「我々は」
「そうだな、今は旅をしているが」
「十二人集まったらでござる」
「そこから一つの勢力になってな」
「そしてそこからでござる」
「冒険から統治と戦か」
「その二つを進めてでござる」
そのうえでというのだ。
「島を統一してそのうえで」
「海の魔神を倒さなければならないな」
「その通りでござる、ですから統治もでござる」
このこともというのだ。
「忘れてはならないでござる」
「その通りだな」
「では」
「統治も学んでいこう、これまで以上にな」
「書を読み各地を見て」
「そのうえでな」
旅をしつつというのだ、こうした話をしつつ五人で鞍馬山の奥に進んでいく、そうすると不意に木々の間からだ。
幾つかの影が降り立ってきた、そのうえで一行の前に出て言ってきた。
「峰夫は知っているが」
「後の面々は見ないな」
「見れば悪い者達ではない様だが」
「お主達は何者だ」
「俺達か、俺達はだ」
英雄が彼等に答えた、見れば山伏の服を着て烏の顔と翼がある。烏天狗達だった。英雄はその彼等に自分達のことを話した。
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