レーヴァティン
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第四十一話 大江山その四
「そうしている」
「そうですね、では」
「俺達もだ」
「このままですね」
「賊共の場所に行く」
まさにそこにというのだ。
「そうしてだ」
「賊をでござるな」
こう言ったのは智だった。
「成敗するでござるな」
「これからな」
「そしてそこで、ござるな」
「合流するならだ」
それならばというのだ。
「そこでだな」
「戦いの中でやも知れぬでござるな」
「そうなるかも知れない、では行くか」
「それでは」
二人で話してだ、そしてだった。
一行は賊達の気と思われる数百の邪な気がする場所に向かった、その途中で歩きつつ山の中の果物を採ってやはり歩きつつ食べて食事にする。
その中の柿を食ってだ、英雄は苦い顔で言った。
「少し渋いな」
「充分熟れている様に見えるでござるが」
智は英雄が手に持っているその柿の色を見て言った。
「違ったでござるか」
「幾分な」
「渋いでござるか」
「どうもな、甘いが」
それでもというのだ。
「渋さもある」
「それは残念でござるな」
「よく見れは端の方がまだ青い」
ヘタの方が緑だった、英雄が持っているその柿は。
「どうもな」
「それ故にでござるな」
「そのせいか、熟れている様に見えてもな」
「端が青いとでござるな」
即ちまだ緑色だとだ。
「渋いでござるな」
「そうだな、こうした木で実っている柿はな」
つまり自然の柿である、商品として売られている栽培された柿ではなくだ。
「青さが残っているものでござる」
「そしてその柿は渋い」
「売っているものは常に赤いでござる」
これを柿色という、独特の橙色だ。
「しかし自然の柿はでござる」
「そこが違う」
「だから柿の見極めも大事でござるな」
「そういうことだな、さもないとな」
「渋い柿にでござるな」
「当たってしまう」
今の自分自身の様にと言う英雄だった。
「柿位見極められないとな」
「駄目というのでござるな」
「自分が渋い思いをする」
その柿の味でだ。
「そうなっていまう」
「ではこれからは」
「気をつけないとな、そしてな」
「柿以外もでござるな」
「人もだ」
そちらもというのだった。
「気をつけないとな」
「人もでござるな」
「柿なら渋い思いをするだけだ、だがな」
「人の場合は」
「渋い思いだけでは済まない」
碌でもない人間を使えばというのだ。
「ことを為すことも出来はしない」
「人をどう見極めるか」
「それが大事だな」
「拙者達はこの島、ひいては世界を救う」
「その為には人が必要だ」
今集めている十二人以外にもだ。
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