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レーヴァティン

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第四十一話 大江山その三

「まさに」
「そうだな、だが今はな」
「賊をでござるな」
「成敗することだ」
 それが第一だとだ、英雄は言い切った。
「それだ」
「では」
「地図が必要だと思っていたが」
「気でわかりますね」
 見れば良太も今は地図を開いていない、彼も気を感じているからだ。
「気が集まり過ぎているので」
「邪な気がな」
 数百ものそれがというのだ。
「集まっているな」
「ですから」
「では気の方に行こう」
「そうしましょう、ただ」
「気がだな」
「ここまで強くはっきりと感じたことは」
 これまではとだ、良太はいぶかしむ顔で言った。
「なかったですが」
「都でも他の場所でもな」
「これは一体」
「大江山は鬼が棲む山」
 謙二はここで静かに言った。
「拙僧達の世界のことですが」
「酒呑童子ですね」
「そうです」
 まさにとだ、謙二は良太に答えた。
「鬼がいた、ですが霊山でもあり」
「確か酒呑童子は比叡山を追い出されていたな」
「はい、そこから天下の霊山を巡っていました」
 謙二は英雄にこのことも話した。
「そして最後に落ち着いたのが大江山で」
「元々は霊山でだな」
「はい、その霊山に落ち着いてです」
 そうしてというのだ。
「そこを拠点としてです」
「何時しか人となくなっていてだな」
「鬼になりました」
「それも強大な鬼にな」
「はい」
 日本において最大最強とも言われる鬼にだ、その酒呑童子も元は人間であり人間が鬼になった存在なのだ。
「そうです」
「だからか」
「はい、この世界の大江山もです」
「霊山でか」
「その霊力の影響で」
「俺達は気を感じている」
「その感じ取る力が強くなっているのでしょう」
 大江山の霊力が影響してというのだ。
「そうなのでしょう」
「それでか」
「賊の気ももう一人の気も」
「感じているか」
「そして私達が感じているということは」
 良太は英雄にさらに話した、四人は山を登りはじめていた。そのうえで賊達の気が感じられる場所に向かっていた。
「何の力もない賊達はともかく」
「四人目だとするとな、もう一人が」
「その方は私達を感じ取っているでしょう」
「そうだろうな」
「間違いなく、しかしです」
「気はな」
 その動きを察しつつだ、英雄は話した。
「こちらに来ていないな」
「同じ場所を目指していますね」
 今度は謙二が言ってきた。
「賊の居場所に」
「そうだな、俺達に合流せずにな」
「そちらに向かっている」
 賊達の方にというのだ。 
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