レーヴァティン
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第三十八話 オーロラの下でその八
「それをしたらね」
「我々の貴重な食糧です」
それでとだ、順一は淳二に話した。
「ですから」
「餌を放り投げるにはね」
「危険が伴います」
「こうした場所だからね」
「何時食料が手に入るかもわからないので」
「思い切った手段だよ」
「今は」
実際にとだ、さらに話した順一だった。
「止めておきましょう」
「それがいいね」
「はい、ここはやり過ごすべきです」
進太が言う護送船団戦術でというのだ。
「そうしましょう」
「それじゃあね」
「六人で囲んで進もうな」
馬や驢馬達をとだ、正も周囲に話した。
「そうしような」
「じゃあこの連中の縄張りから出るまでね」
源三は縄張りの話をした。
「それで進もうね」
「護送船団でな」
久志がまた言った、そしてだった。
一同は馬や驢馬達を囲んで護りつつ先に進んでいった、アーコル達はわりかし長い間彼等を上から見つつ動いていたがやがてだった。
口惜しそうに彼等から離れていった、源三はその彼等を見て仲間達に言った。
「縄張りから出たね」
「そうみたいだな」
久志が源三に答えた。
「俺達は」
「これで怖くはないね」
「ああ、ただ空を飛ぶ狼か」
「それが印象的だった?」
「この島の生態系の本も読んだけれどな」
それでもというのだ。
「実際に目で見たらな」
「やっぱり違うよね」
「本で読むよりもな」
自分の目で見ると、というのだ。
「実感出来るな」
「百聞は一見に如かずっていうしね」
「この場合は百読か」
「そうなるね、幾ら本で読んでも」
「その目で見るのとは違うか」
「またね」
そうだというのだ。
「違うんだよ」
「そのことを今わかったぜ」
「それはいいことだね」
「ああ、しかし空を飛んでも狼だったな」
「群れを為して人は襲わない」
「それで縄張りの中でしか行動しない」
「羽根はあってもそれは変わらなくてよかったよ」
源三は笑って久志に話した。
「お陰で戦わずに難を逃れられたよ」
「全くだな」
「どうしてもという時以外は戦わない」
「やっぱりそれだよな」
「下手に戦ってもね」
「金は手に入ってもな」
それでもとだ、久志は源三に微妙な顔で話した。
「野生動物だとな」
「こっちを積極的に襲って来る訳じゃないから」
モンスターや悪人達と違って駄。
「戦わないで済んだらいいね」
「ああ、これがマンティコアとかだとな」
「こうはいかなかったよ」
所謂モンスター達はというのだ。
「モンスターは自分達から向かって来るからね」
「ああ、ただ野生動物でも襲って来るならな」
「戦うしかないからね」
「ブロッケン山の大蛇達と戦った時みたいにな」
「そうだね、まあこれでね」
さらに言う源三だった。
「楽に進めるよ」
「北北西にな」
「うん、この森を出たら」
「はい、氷原です」
そこに出るとだ、術を使った順一が話した。
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