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レーヴァティン

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第三十八話 オーロラの下でその九

「そこに出ます」
「そしてそこにだね」
「オーロラがあり」
「六人目もいるね」
「見えました」
 彼らしき姿がというのだ。
「大柄なアジア系の斧を持った方が」
「氷原だと見渡しもいいしね」
「吹雪にならないと」
 彼等が以前三日三晩足止めされたそれがなければというのだ。
「容易に見付けられるでしょう」
「よし、じゃあ行こうな」
 正は前を見つつ応えた。
「そこまでな」
「若し吹雪になったら」
 淳二はあえてその時のことを話した。
「答えは一つだね」
「その時は仕方ないな」
 久志もこう返す。
「やっぱりな」
「またテントの中だね」
「そこでやり過ごすしかないな」
「吹雪が止むまでね」
「ウォッカを飲みながらな」
「またあの退屈な時間になるね」
「あまり過ごしたくないぜ」
 久志は吹雪についてやや憮然とした顔で述べた。
「ああした時はな」
「そうだね、けれどね」
「吹雪になったら仕方ないか」
「その時はね、だって目の前すら見えなくなる位雪が降って風も台風みたいで」
 そうしたものだからだというのだ。
「どうしようもないから」
「もうそれこそだよな」
「テントの中でウォッカを飲んで食べるものを食べて」
 そうしてというのだ。
「やっていくしかないから」
「トイレに行くのも苦労するとなると」
「どうしようもないから」
「もうここにいる間二度と起こって欲しくないぜ」
 久志は心から言った。
「六人目を仲間にしてもな」
「それでもだね」
「北を出るまでな」 
「本当に吹雪が嫌なんだね」
「嫌になったんだよ」
 三日三晩テントの中にいて何をすることも動くこともなくウォッカばかり飲んでいる状況がというのだ。
「だから二度とな」
「そうだね、けれどね」
「そうそう上手くいかないな」
「世の中甘くないから」
 この世界でもと言う淳二だった。
「仕方ないよ」
「ああ、天候のことはどうしようもないか」
「諦めるしかないよ」
「それじゃあそこは覚悟してな」
「氷原の先行こうね」
「六人目らしき奴がいるところまでな」
 久志はこう言ってだった、氷原を進んでいった。もうそこは昼だというのに空は夜であり淡い青や緑に輝くオーロラがあった。
 その光のカーテンを見つつだ、正はこうしたことを言った。
「遂に見られたな、オーロラ」
「奇麗なものでござるな」
 進太もそのオーロラを見つつ言う。
「噂には聞いていたでござるが」
「ああ、ようやく見られたって感じがするぜ」
「北の果てのカーテンでござるな」
「言われているだけはあるな」
 その美しさはとだ、正はオーロラを見上げ続けながらまた言った。
「来た介があったぜ」
「全くでござる、そしてでござるな」
「果ても見えてきたな」
 島のそれがだ、空に浮かんでいる島なのでその先は崖になっている。とはいって今は崖までは見えていない。 
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