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インフィニット・ゲスエロス

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6話→山田麻耶の学園生活+太郎の計画

 
前書き
IS着けてなくても外面アイアンフェイス、山田太郎。 

 
「すごぉい!」

私、山田麻耶は、今年度から入る学校を一目見ただけで感動しました。

まるで漫画の世界のような、白亜で彩られたお城のような校舎。

広場には遠目から見える滝のような噴水があり、その回りにはド○ールなど有名な喫茶チェーンやスイーツ店が立ち並んでいる。

更にびっくりするのは、部活用に用意された広大な敷地。

野球・サッカー・ハンドボールなど種目ごとに(校舎からある程度離れるものの)校庭が整備され、文化部も他校では考えられない設備が用意されるそうです。

更に輪をかけて凄いのは、この学校、このような設備が用意されたのが2年前からだということ。

そして、その要因は、たった三人の生徒だということです!

それこそ冗談に聞こえますが、これ、この高校のパンフレットにも書いてあるんですよね……

そもそも、私が個人的に、広報部の女性部員の方にこうやって学園案内をしてもらっているのも、その内の一人、太郎さんのおかげですし。

嬉しさと申し訳なさを抱えながら先輩である女性の後に続くと、先輩の足が止まる。

おや、と思い顔を上げると、目の前の先輩が、自慢げに真横の柱を指す。

先程見た学園パンフレットを引き伸ばしたらしく。読んだばかりの文面が、目の前に広がる。

曰く、この学園には三人の『頂点』がいる。

一人は篠ノ之束先輩。

高校三年までに取得した特許で、三回生まれ変わっても遊んで暮らせるという巨万の富と、それ以上にそれを生み出す頭脳とで、世界中の研究機関からラブコールを貰う『発明王』

二人目は織斑千冬さん。

武術全般、特に剣の腕は東洋、西洋問わず並ぶもの無しと言われ、未だに公式戦にて一度も負けたことのない『武術王』。スポーツ関連の雑誌では、千冬さんの話題がでない日はない。

私も太郎さんの紹介で仲良くなりましたが、本当にスゴい人で、雑誌の徒名『戦乙女』が誇張ではないと実感します。

なぜか千冬さん本人には不評ですが、何故でしょう。

最後の一人が、はい、同じ山田姓というだけで光栄ですが、私の面倒を見て頂いてる山田太郎さんです。

渾名は『ビジネス王』

先二人に比べて分かりにくい渾名ですが、太郎さんは本当にスゴい人です。

幼い頃から取り続けた資格は数えきれず、友人の束さんのために、高校一年で税理士と弁理士(特許等を国に登録する資格者)を取ったらしく、テレビで紹介されてました。

太郎さん本人はわざわざ口に出しませんが、財布にポイントカードレベルで免許が入ってるんですよね……

勿論、太郎さんも世界的に名だたる企業から山のようにオファーを貰っているらしく、最近では、国の機関からも依頼を受けているらしいです。

確か最近ですと更識?さんという方が良く家にいらっしゃいます。

「~でね、この三人、小学校時代から一緒にいるからなのか、凄く身内意識が高くて、なびかないから、何とか興味をもって貰おうと、色々な企業がお金を直接渡そうとしたんだけど、『学生の頃から大金を持つのは良くないので、このお金は母校に差し上げてくださいって』山田先輩が代表して断ったんだって!クールよねぇ……」

それは太郎さんからも伺いました。

太郎さん曰く、『大金積まれて、後でとんでもないもの請求されたら嫌だから適当に返したら、勝手に深読みして学校に金を入れた』という事らしいのですが……

「本当にマンガみたいですよね……」

実際、その結果をみると笑うしかない。いったいどんな額をかければ、普通だった校舎が劇的ビフォーアフターになるのか。

「お陰で、私たちはこんな良い学校で学べるって訳よ!」

「……そうですね」

案内してくれた先輩は、素直に喜んでいるが、本人達は大変らしいんですよね。

最近は、大学入試の赤本の横に六法全書が。

学校のノートの横に、企業向けのライセンス契約用紙があるという学生?と疑問符がつく生活。

本人が言うには、『成績さえ良ければ、三人とも学校に来なくても出席扱いになる』から平気とは言ってますが、私には到底できません!

分かっていても、コンプレックス感じちゃいます……

でも大丈夫!太郎さんからは、『辛い時には、甘えても良いかな……』って最近は弱音を言って頂けるようになりましたので、私ができる精一杯を、太郎さんにしてあげるつもりです!

「よーし、頑張るぞー!」

「ふふ、やる気一杯で良いわね」

……つい口から言葉が漏れてちょっと恥ずかしかったけれど、私これから頑張ります!

所変わって、その偉人(笑)の山田太郎。

「いっきし!誰か噂してんのかな」

鼻をすする太郎に、幼いながらも整った顔立ちの少女が少しだけむくれた。

「ちょっと、れでぃの前で失礼じゃなくて」

「悪いな、刀奈」

「ふふんっ、特別に許してあげるわ」

そう胸をはる少女、更識刀奈に、太郎はニヤリと笑う。

Q→なんでこんな所で少女と二人きりでいるんですか?

A→大体柳韻さんのせい。

まあ、高校からは潰しがきくように取得した、多数の資格とかでちょいとメディア的に有名になったのは確かだよ。

だが、日本の名家たる更識家から声がかかるなんて、普通なら無かった。

柳韻さんが昔の知己である更識家現当主に次期当主の家庭教師に相応しい人を聞かれて俺の名前を出さなきゃな。

急に呼ばれて、家庭教師を出来ないか打診された俺は驚いた。

最初はマジでどうやって断るかを真剣に考えていたのだが……

相手の写真を出されて思ったね。こいつは良さそうだと。

幼いながらも利発そうな姉と、気弱そうな妹。

この二人を教育することは、キットニホンノタメニナルトオモイマシタ。

ん、言い方がおかしいって。

気のせい、気のせい。

まあ、俺には俺の目的があるんだが、まあ良い。

とりあえずは目の前にいる可愛い弟子を教育しますかね。

「さてと、古典についてはここまでだ。次は体術の訓練といこう」

そう言うと、刀奈は悪戯っぽく胸の前で手を交差しながら言った。

「ちょっとぉ、変なところを触らないでよ!」

「ふふ、大丈夫さ、(今はまだ)そんなことしないよ」

そっと刀奈の頭を撫でながら、太郎は答えた。


 
 

 
後書き
山田太郎「源氏物語って、面白くね」 
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