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ドリトル先生と奈良の三山

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第三幕その十

「やっぱり見ているとね、僕もね」
「動きそう?」
「そう思う?」
「先生にしても」
「大仏さんが」
「精巧でもあるからね」
 人間の姿もよく再現しているというのです、写実的に。
「だからね」
「そうだよね、やっぱり」
「動きそうだよね」
「何かね」
「それで立ち上がってね」
「日本のピンチの時は」
「それで日本を救う」
 皆もこぞって言います。
「そんな感じがするよね」
「見ていると」
「もう今にもって感じで」
「そんな風よね」
「そうだね、色々な災害とかからね」
 地震や雷や火事や台風からです。
「防いでくれそうだね」
「そんな感じ本当にするよね」
「この大仏さんって」
「ただ大きいだけじゃなくて」
「そんな風だね」
「そうだね、僕もそう思うなんて」
 ここでまた笑った先生でした。
「何か不思議だね」
「違うって言っていてもね」
「そう思えるなんてね」
「確かに不思議よね」
「この大仏さんって」
「そうだね、それとね」
 さらにお話した先生でした。
「柱の一つを見てくれるかな」
「柱?」
「この大仏殿の?」
「ここの柱の一つをなの」
「見るの」
「うん、そこにね」
 その柱の一つにというのです。
「穴があるけれどね」
「あっ、あそこね」
「あそこの柱ね」
「そういえば穴があるわね」
「結構大きな穴が」
「何でもあの穴を潜るとね」
 そうすればというのです、他にも大仏殿の四隅にはそれぞれ四天王という仏様達の像もあります。
「病気をしないっていうんだ」
「へえ、そうなんだ」
「あの穴を潜るとなんだ」
「病気をしない」
「そう言われているんだ」
「そうだよ、まあ僕はね」
 ここでまた笑ってお話した先生でした。
「無理だろうけれどね」
「あっ、先生の体型だと」
「やっぱり太いから」
「だからだね」
「潜られない」
「そうだっていうんだ」
「そうだよ、やっぱりね」
 それはというのです。
「無理だろうね」
「試しに潜手ってみたら」
「そうしてみたら」
「中につっかえて」
「抜けなくなるかもね」
「そうなりそうだから」
 それでというのです。
「僕は止めておこうかな」
「やってもいいんじゃ」
「そうだよね」
「ものは試しで」
「結構大きな穴だしね」
「いや、それはね」
 どうしてもというのでした。 
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