ハイスクールD×D ~赤と紅と緋~
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第2章
戦闘校舎のフェニックス
第24話 幼馴染みたち、暴れます!
「うふふ。お兄さまったら、レーティングゲームでお嫁さんを手に入れましたのよ。勝ちはわかっている勝負ではございましたが、見せ場は作ったつもりですのよ、うふふふ」
ライザー・フェニックス氏の妹であるレイヴェル・フェニックスさんが他の上級貴族の方々にゲームでの自慢話をしていた。
僕、木場祐斗は現在、朱乃さんと小猫ちゃんと共に部長とライザー・フェニックス氏の婚約パーティーに出席していた。
アーシアさんや明日夏くんたちはイッセーくんの看護に残って出席していない。
・・・・・・それにしても──。
「言いたい放題だ・・・・・・」
「中継されていたのを忘れているのでしょう」
「ソーナ会長」
僕たちのもとに招待されたのであろうソーナ・シトリー会長が歩み寄ってきた。
「結果はともかく、勝負は拮抗──いえ、それ以上であったのは誰の目にも明らかでした」
「ありがとうございます。でもお気遣いは無用ですわ」
「?」
朱乃さんの言葉にソーナ会長が首を傾げる。
「たぶん、まだ終わっていない、僕らはそう思ってますから」
「・・・・・・終わってません」
「?」
続けて言った僕と小猫ちゃんの言葉にソーナ会長はますます怪訝そうな表情をする。
確証もないし、なんとなくだけど、僕たちはこれで終わったとは思えなかった。本当になんとなくだけどね。
そんな中、急に会場がざわめきだした。ライザー・フェニックス氏が派手な演出で登場したからだ。
「冥界に名だたる貴族の皆さま! ご参集くださり、フェニックス家を代表して恩名申し上げます! 本日、皆さま方においで願ったのは、この私、ライザー・フェニックスと、名門グレモリー家の次期当主、リアス・グレモリーの婚約という歴史的な瞬間を共有していただきたく願ったからであります! それでは、ご紹介致します! 我が后、リアス・グレモリー!」
ライザー・フェニックス氏の言葉と共に純白のドレスを着た部長が現れた。
バンッ!
だが、それと同時に聞こえた突然の衝撃音に会場の人たちは一斉に音の発生源の方に顔を向ける。
そこには、倒れた衛兵らしき人たちと衛兵を倒したであろう人物たちがいた。
「あらあら。うふふ。どうやら、間に合ったようですわね」
「ええ」
「・・・・・・遅いです」
その人物たちは、僕らがよく知る同じ部長の眷属の仲間であるイッセーくんと、その幼馴染みたちであった。
―○●○―
さてと。派手に登場したせいか、むちゃくちゃ視線を集めてるな。
まず大勢いる着飾った悪魔たちの中にいた木場たちを見つけ、さらに奥のほうを見ると、そこにライザーと純白のドレスを着た部長がいた。
というか、部長のあの姿、あれじゃまるでウェディングドレスだな。一応これ、婚約パーティーだろ?
まぁ、別にいいか。
「イッセー!」
「部長!」
部長が真っ先にイッセーの名を叫び、イッセーもその叫びに応える。
「おい貴族ら、ここをどこだと──」
ライザーがもの申そうとするが、イッセーはそれを遮って、高々と叫んだ。
「俺は駒王学園オカルト研究部の兵藤一誠! 部長──リアス・グレモリーさまの処女は俺のもんだ!」
・・・・・・最後にとんでもないことを高々と宣言したな、こいつ。
見れば、俺たち以外皆、呆気にとられていた。木場たちだけは面白そうに笑っていたが。
「なっ!? 貴様っ! 取り押さえろ!」
ライザーの指示で多数の衛兵たちが俺たちの目の前に立ちはだかった。
それを見て、木場たちが動き出そうとするが、俺は視線で「手を出すな」と伝える。
「貴様ら! ここをどこだと──」
ドゴッ!
「ぐはぁっ!?」
『なっ!?』
俺たちに近づいた衛兵の一人を俺は掌底で吹き飛ばし、イッセー同様、高々と名乗った。
「同じく、駒王学園オカルト研究部の士騎明日夏だ! 親友、兵藤一誠の道を阻む者は容赦しない!」
俺は千秋たちに「お前らもせっかくだからやれ」と目配せをする。
「えっ!? ええ! え、えっと、その、同じく、士騎千秋!」
まさか自分たちもやるとは思いもしなかったのか、それとも先ほどのイッセーの宣言に動揺していたのか、かなりテンパりながら千秋は名乗った。
「え~と。同じく、風間鶇だよ~」
鶇は相変わらずののんびりとした普段の口調で名乗った。
「・・・・・・同じく、風間燕よ」
燕は若干照れが混じった感じで低い声音で名乗った。
さっきの俺の宣言に衛兵たちは一瞬だけ怯んでいたが、すぐに持ち直して手持ちの得物を構え直してきた。
「怯むな! かかれ!」
隊長格らしき男の指示と同時に衛兵たちは一斉に仕掛かってきた。
それを見て構えるイッセーを手で制し、 俺たちも仕掛けた。
繰り出される槍の攻撃を全て避け、衛兵の一人の懐に飛び込み、掌底で吹き飛ばす。横合いから繰り出された槍を掴み、衛兵ごと引き寄せ、裡門頂肘を打ち込む。背後から来た攻撃は体を回転させて回避し、その勢いを乗せたまま背後にいた衛兵に鉄山靠を叩き込む。すぐさま右隣の衛兵に崩拳を当て、左隣の衛兵に体の捻りの勢いを乗せた拳を繰り出して吹き飛ばす。
「すぅぅはぁぁぁぁぁ──」
残心で呼吸を整え、改めて衛兵たちを睨む。
「もう一度言うぜ──邪魔する奴は容赦しない」
俺の圧力に衛兵たちが怯んでいるうちに千秋たちのほうを確認する。
千秋は大丈夫そうだな。
俺と同様に相手の攻撃を避け、スキができた衛兵を蹴りで倒していた。避けれない攻撃も足技を駆使して捌いていた。
問題は鶫と燕だが・・・・・・。
「そ〜れ〜!」
「うわぁぁぁっ!?」
「おいおい・・・・・・」
鶫が豪快に衛兵の一人の足を掴んで振り回して衛兵たちを吹っ飛ばしていた。
そして、それに呆気に取られている衛兵たちを燕は背後から不意討ちで倒していた。
どうやら気配を隠し、派手に暴れている俺と千秋と鶫に衛兵たちの意識を向けてスキを作っているようだな。流石は忍、といったところか。
さて、そうこうして戦っていると衛兵たちはほとんど倒されていた。残りの衛兵たちは完全に俺たちの戦いぶりに尻込みしている。
「ちっ! おまえら!」
そんな衛兵たちを見かねたのか、ライザーが自分の眷属たちに指示を送った。指示を出されたライザーの眷属たちは『僧侶』の二人を残し、俺たちの前に立ち塞がる。
「行きなさい!」
『女王』のユーベルーナの指示で、『兵士』たちを先頭にいっせいに飛びかかってきた。
「鶇! 燕! 残りはおまえらに任せる!」
俺はそう言うと、千秋と共に駆け出す。
『兵士』たちは構えるが、俺はそいつらを素通りし、『騎士と『戦車』の四人目掛けて駆け出す!
『なっ!?』
『兵士』たちは素通りされたことに一瞬呆気に取られるが、すぐに俺を追撃しようとする。だが、千秋がそれを妨害する。
そして、俺はいまだに呆気に取られている『|戦車《ルーク』の一人、イザベラに拳を突き出す!
「くっ!?」
イザベラは即座に腕でガードする。
「ハァァッ!」
右側からもう一人の『戦車』が蹴りを放ってきたが、俺は右腕でガードする。
「「ハァッ!」」
背後から『騎士』の二人が短剣で斬り掛かってきた。
俺はそれを背負っている雷刃の鞘で防ぐ。
攻撃を防がれた三人はすぐに距離を取り、イザベラも同様に距離を取る。
「・・・・・・まさか、『兵士』たちを素通りして、いきなり私たちのほうに来るとはな・・・・・・」
「意表を突いて私たちのうちの誰かを倒すつもりだったんでしょうけど、残念ね。失敗に終わったわね」
『戦車』の一人、春蘭の言葉を俺はすぐさま否定してやる。
「確かに、いまあんたが言ったことは狙いはしたが、成功しようが、失敗しようが別にどっちでもよかったことだ。元々、あんたたち四人は、俺が相手取るつもりなんだからな」
「・・・・・・『騎士』二人と『戦車』二人を一人で? しかも、見たところ、あなたたち、人間でしょう? あっちの子も『兵士』八人を一人でなんて。私たちを舐めてるのかしら?」
俺の言葉を侮辱と受け取ったのか、春蘭が苛立った表情を見せる。
「まさか。あんたらの強さはゲームでじっくり見させてもらったからな」
俺の不敵な物言いにイザベラが口を開く。
「何か秘策でもあるのかな?」
「さあな」
俺が口元をにやけさせながら言うと、イザベラも口元をにやけさせた。
「雪蘭、カーラマイン、シーリス──私たちのほうが舐めてかからないほうがよさそうだ」
「もちろんだ。その目は本気で私たちを倒そうとしている者の目だ。おそらく、その不敵な佇まいはハッタリではないだろう」
カーラマインも口元をにやけさせながら、短剣を構える。
ゲームでも思ったが、この二人は相手をきちんと評価したうえで戦いに臨むようだ。
「・・・・・・俺的には舐めてくれたほうが楽なんだけどな」
「あれだけの戦いぶりを見せたうえにその目だ。舐めてかかるのは失礼というものだ」
「そりゃどうも」
「無駄話もこのへんでいいだろう──では行くぞ!」
イザベラの掛け声と同時に四人は一斉に仕掛けてきた。
―○●○―
すごい。素直にそう思えるほど、明日夏くんの戦いぶりはすごかった。
『騎士』二人、『戦車』二人の四人を相手に互角以上に戦いをしていた。
「ぐぅ、なんなのこいつは・・・・・・!?」
「・・・・・・攻撃が通らない・・・・・・!?」
明日夏くんは攻撃のほとんどを完璧に受け流していた。たまに当たる攻撃もあるが、それも確実にガードして大きなダメージを避けていた。そのことに『戦車』の二人が焦燥に駆られた表情をする。『騎士』の二人も同様だった。
それにしても、少し疑問だった。いくら明日夏くんが強いといっても、ここまで相手の攻撃が通らないものなのか?
いまだに攻撃しない明日夏くんだが、攻撃できないというよりも相手のスキを伺って、あえて攻撃していないように見える。
「くっ! ガードも崩せないか! おまけに余裕さえも感じられるな・・・・・・」
「別に余裕ってわけじゃないけどな」
「そのわりには苦を感じてなさそうだが?」
相手の『戦車』のイザベラの言う通り、本人の口ぶりに反して、明日夏くんからは余裕が感じられた。
「ま、あえて言うなら──状況が俺にとって有利だった、かな」
「何?」
「さっき言ったはずだぜ──あんたらの戦いをじっくり見たって」
「「「「っ!?」」」」
「イッセーが起きるまでヒマだったからな」
そうか! 明日夏くんはゲームが終わってからの二日間を、ただ待っていたわけではなかったんだ。いまこのときのために彼女たちの戦いを研究し、彼女たちの戦い方や僅かな癖などを調べてこの戦いに臨んだんだ。
「ついでに、いまのあんたらの服装はパーティー用の衣装。戦闘をする分には多少の動き難さもあるだろ? さらに、そっちの『騎士の二人にいたっては、主武装の剣を持ってきていない。こっちの『騎士』はともかく、そっちの『騎士』に軽い短剣は合ってなさそうだしな」
明日夏くんの言う通り、彼女たちはゲームのときほど動きはよくはない。
だが、そのことを差し引いても、四人を相手取れる明日夏くんの実力は間違いなく高い。
そして、千秋さんも明日夏くんに負けず劣らない戦いぶりだった。
「くっ! 近づけない!?」
千秋さんが相手取っている『兵士』の一人がそう漏らす。
千秋さんの周囲でものすごい暴風が千秋さんを中心に吹き荒れており、その風によって、『兵士』たちが千秋さんに近づけないでいた。魔力による攻撃もことごとく風によって弾かれていた。
部長と朱乃さんから聞いた話だが、あの風の正体は千秋さんの神器。風を発生させて操るシンプルなものだが、その強さはご覧の通りだ。
強力な風の防壁に守られた千秋さんは、ときにはそのまま突っ込んで相手を蹴りや風で吹き飛ばし、ときには弓矢による攻撃を行っていた。
この弓矢による攻撃もなかなかの曲者で、風をまとわせて軌道を変更したり、矢自体が特殊なもので、拡散したり、爆発したりと多彩だ。
そして、猫耳を持った獣人の双子に矢が命中した。
「「にゃあああああっ!?」」
次の瞬間には、獣人の双子が悲鳴をあげ、痺れたような様子を見せて倒れ付した!
見た感じ、原因はあの矢に思えた。たぶん、あの矢は相手を感電させる、一種のスタンガンみたいな矢なのかもしれない。
『兵士』八人のうち、二人が倒れたところで、千秋さんの一方的と思われた戦況に変化が起きた!
千秋さんが発生させていた風が唐突に消失したのだ!
まさか──いや、おそらく間違いない。あれだけの暴風を発生し続けるのは、相当な消耗だったんだ。千秋さんが息を荒らげているのが何よりの証拠だった。
そのスキを『兵士』たちが逃すはずもなく、一斉に千秋さん目掛けて攻撃しようとする!
慌てて僕らが助けようとした瞬間──。
バタッ。
「「「「えっ?」」」」
「「「えっ?」」」
突然、双子の『兵士』がいきなり倒れたのだ。
倒れた二人の後ろには、燕ちゃんがいた。あの二人は燕ちゃんがやったのか!?
「きゃっ!?」
「つ〜かま〜えた」
突然の出来事に唖然としていたら、いつの間にか、以前、部室でイッセーくんを攻撃しようとしていた『兵士』が鶫さんによって羽交い締めにされていた!
「なっ、いつの間に!?」
「あの二人は衛兵の相手をしてたはずじゃ!?」
「一体、どこから!?」
突然現れた二人に僕が相手をした『兵士』三人は動揺を隠せていないでいた。
「「「っ!?」」」
そして、そのスキを見逃さず、千秋さんが三人の懐に入り込んだ!
ビュオオオォォォォッ!
「「「きゃぁぁぁぁっ!?」」」
次の瞬間、千秋さんから膨大な風が発生し、『兵士』たちを吹き飛ばした。
そのさまは言うなれば、風の爆弾ともいえるものだった。
「そ〜れ!」
ドゴォンッ!
「かはっ!?」
そして最後に、鶫さんは羽交い締めにしていた『兵士』を床に叩きつけてしまった!
もう、動ける『兵士』はいなかった。
おそらく、『女王』にプロモーションをしていたであろう『兵士』八人をたった三人の少女たちが打倒してしまった。
その事実に僕たちは驚愕を隠せなかった。
「遅くなったわね」
「ごめんね〜」
「大丈夫。平気」
三人の会話から察するに、千秋さんははなから一人で『兵士』八人を打倒するつもりじゃなかったみたいだね。たぶん、あの風の消失も相手を油断させるためにわざと消したのだろう。
千秋さんたちの戦いが終わり、改めて明日夏くんのほうの戦いに視線を移すと、こちらも明日夏くんの防戦一方かと思われていた戦いに変化が現れていた。
彼女たちの動きが少しずつ鈍くなっていたのだ。おそらく、身体的な疲れと攻撃が通らないことへの焦りから来る精神的な疲れが同時に襲ってきたのであろう。
それに対し、動きを最小限に抑え、なおかつ精神的に余裕を持っていた明日夏くんにはいまだに疲労の痕跡は見えなかった。
「『兵士』たちが全滅しただと!?」
『兵士』たちの敗北に動揺を隠せず、僕と戦った『騎士』カーラマインがスキをさらした。
当然、明日夏くんはそのスキを逃すはずはなく、カーラマインに仕掛けた。
ドゴォォォン。
「「「っ!?」」」
その瞬間、突然の爆発が明日夏くんを包み込んだ!
これは、まさか!?
僕たちはゲームでの苦い思い出を思いだし、上を見ると、ライザー・フェニックス氏の『女王』がいた!
「うふふ。撃破」
この光景は、僕たちのときと同じだ!
「残念ね坊や。詰めが甘かったようね」
僕は目の前の状況にゲームのときの悔しさを思い出す。
「言ったはずだ──あんたらの戦いをじっくり見たと」
そんな僕の耳に明日夏くんの声が聞こえた!
爆煙が晴れたそこには、緋色のオーラで身を包む明日夏くんがいた!
―○●○―
今回の乗り込みに際し、俺は『緋霊龍の衣』を使うことを決めていた。イッセーがあれだけの覚悟を見せたのだ。俺もそれくらいのことをしなければと、そして全力を尽くさねばと思ったからだ。
『安心しろ。こんなおもしろそうな展開に水を差す気はねえよ』
幸い、ドレイクはこの状況を楽しんでるようなので、介入の心配はひとまずなさそうだった。・・・・・・もっとも、警戒を緩める気はないがな。
ライザーの『女王』ユーベルーナが忌々しそうに俺のことを睨む。
「・・・・・・あなたも神器を・・・・・・! そのオーラで私の攻撃を防いだのね! いえ、それ以前に私の攻撃に対するその反応の速さ、事前に察知していたわね?」
「あんたのやり方はゲームで把握している。不意討ちを得意とするあんたを警戒しないわけがないだろ」
イザベラたちと戦いながらも、ユーベルーナから意識は外さなかった。そして案の定、不意討ちの素振りが見られたので、爆破をくらう直前に緋のオーラで体を包み込んで爆発をガードしたのだ。
「さて、いちいち横やりを入れられも面倒だ。先にあんたからやらせてもらう」
「させると思うか?」
イザベラたちが俺を囲む。
「そろそろ終わらせる──Attack!」
鞘に収められた雷刃から電流が体に流れ込み、身体能力を向上させる。
「やばそうだな・・・・・・
! 何かする前に仕留める!」
イザベラが危険を察知したのか、駆けだしてきた。
それに対し、俺もイザベラに向かって走りだす。
「なっ、速い!?」
イザベラが俺の急激な走力の上昇に驚愕し、慌てて腕をクロスさせて、防御の姿勢をとる。
突然の速度の上昇に攻撃が間に合わないと判断したからだろう。
だが、むしろ好都合だった。
「なっ!? 私を踏み台にしただと!」
俺は軽く跳び、クロスされた腕を踏み台にユーベルーナへ向かって跳び上がる!
「くっ!!」
ユーベルーナは攻撃が間に合わないと判断したのか、防御障壁を展開した。
それに対し、俺は右手に緋のオーラを一点集中させる。
「ハァァッ!」
障壁に俺は拳を打ち込んだ。
バキッ!
「なっ!?」
俺の拳を受けて、障壁にヒビが入った。
今度は左手に緋のオーラを集中させ、もう一度拳を打ち込む。
バキィィィンッ!
「っ!?」
二度目の俺の拳を受け、障壁が砕けた。
すかさず、体の捻りを使って裏拳、ラリアットと繋げ、ユーベルーナを床に叩き落とす!
「塔城、木場、副部長の無念、味わいやがれ!」
ズドムッ!
「かはっ!?」
地面にいるユーベルーナに体の捻りと落下の力を加えた拳を叩き込む!
そして、ユーベルーナは意識を失い、完全に戦闘不能となった。
すぐさま、俺は『騎士』のカーラマインに向けて駆けだす!
カーラマインも駿足で駆けだしてくる。
俺はカーラマインの短剣を緩急を入れた動きで避け、崩拳を叩き込んだ!
カーラマインをくだした次の瞬間に、背後から『騎士』のシーリスが斬りかかってくるが、俺はそれを裏拳で弾き、体の捻りを加えた肘打ちを打ち込む! 俺の一撃を受けて、『騎士』の二人は打ち込まれた部分を手で押さえながらうずくまっていた。
「このっ!」
横から『戦車』の雪蘭が蹴りを放ってきたが、腕でガードし、足を掴んで引っ張り、バランスを崩したところに鉄山靠を叩き込む!
「クソッ!」
残るイザベラはフリッカーの動きで拳を打ち込んでくるが、俺はそれをすべて受け流し、緩急の動きで懐に入り込む!
「ハァァッ! 猛虎硬爬山ッ!」
ドゴォォンッ!
「っ!?」
全力の猛虎硬爬山でイザベラを吹き飛ばし、雷刃の電流を止め、残心で呼吸を整える。
『戦車』の二人も、『騎士』の二人と同じく、打ち込まれた部分を手で押さえながらうずくまっていた。
「ふぅぅぅぅ・・・・・・」
決着がついたところで、俺は息を吐く。
流石にしんどかったが、どうにかなったか。
「大丈夫か、明日夏?」
イッセーが千秋たちと木場たちを引き連れてやってきた。
「・・・・・・流石に疲れた」
苦笑しながら言い、拳を突きだす。
「あとはおまえ次第だぜ」
「ああ!」
イッセーも微笑みながら自分の拳を俺の拳に当てた。
部長とライザーのほうを見ると、何人かの貴族に言い寄られていた。
「どういうことだ、ライザー!?」
「リアス殿、これは一体!?」
貴族だろうと、悪魔だろうと、予想外の事態に混乱するさまは普通の人間と変わらねぇな。
「私が用意した余興ですよ」
そこへ、紅髪の男が現れ、その瞬間に会場にいる貴族たちが騒ぎだした。
「誰?」
「お兄さま!」
部長の口から出た単語にイッセーは驚愕する。
「てことは!」
「ああ。魔王さまだ」
「このヒトが魔王! てか、なんで知ってるんだ!?」
「昨日会った」
「えぇっ!?」
そのときはおまえ、寝てたからな。
「サーゼクスさま、余興とはいかがな──」
「ライザーくん。レーティングゲーム、興味深く拝見させてもらった。しかしながら、ゲーム経験もなく、戦力も半数に満たない妹相手では些か──」
「・・・・・・あの戦いにご不満でも?」
「いやいや、私が言葉を差し挟めば、レーティングゲームそのものが存在意義を失ってしまう。まして、今回は事情が事情だ。旧家の顔が立たぬだろ?」
食えないことを言うな、この魔王さま。
「かわいい妹のせっかくの婚約パーティー、派手な趣向も欲しいものだ」
魔王はイッセーのほうに視線を移して言う。
「そこの少年」
「っ!?」
「キミが有するドラゴンの力、この目で直接見たいと思ってね。グレイフィアと彼の友人である先ほど見事な戦いを見せてくれた彼に少々段取ってもらったんだよ」
「なるほど。つまりは──」
「先程のは前座。本命として、ドラゴン対フェニックス、伝説の力を宿すもの同士で会場を盛り上げる、というのはどうかな?」
「お、お兄さま!?」
「流石は魔王さまですな。おもしろい趣向をお考えになる」
どうやら、ライザーもやる気になったようだな。
「ドラゴン使いくん」
「は、はい!」
「この私と上級貴族の方々に、その力をいま一度見せてくれないかな?」
「はい!」
イッセーは二つ返事をするが、部長が止めに入る。
「イッセー、やめなさい!」
そんな部長をライザーは手で制し、前に歩み出る。
「このライザー、身を固める前の最後の炎をお見せしましょう」
ライザーは大胆不敵に言う。
「さて、ドラゴン使いくん。勝利の対価は何がいいかな?」
魔王のその言葉に周りの貴族たちが非難の声をあげる。
「サーゼクスさま!?」
「下級悪魔に対価などと!?」
「下級であろうと、上級であろうと、彼も悪魔だ。こちらから願い出た以上、それ相応の対価は払わねばならない。何を希望する? 爵位かい? それとも絶世の美女かな? さあ、なんでも言ってみたまえ」
イッセーの答えは決まっていた。
「・・・・・・部長を──いえ! リアス・グレモリーさまを返してください!」
「ふふ、いいだろう。キミが勝ったら、リアスを連れていきたまえ」
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