ハイスクールD×D ~赤と紅と緋~
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第2章
戦闘校舎のフェニックス
第25話 約束、守りに来ました!
俺はいま、会場の外、中庭らしきところにいた。近くには千秋たちや木場たち、ソーナ会長もいた。
周りにはパーティーに参加していた貴族たち、そして、上空には映像が映し出されていた。
映像ではレーティングゲームのときと同様の異空間に作られたフィールドでイッセーとライザーが対峙していた。
さらに、フィールドに部長、部長の兄である魔王、ライザーの妹の顔が映し出されていた。あのフィールドでは、三人の顔と音声が映し出されるようになっているのだ。
『では、始めてもらおう』
魔王の開始宣言により、戦いの幕が開かれた。
『部長、十秒でケリをつけます!』
唐突にイッセーはそんなことを告げた。
それを聞いたライザーの妹がイッセーの正気を疑いだす。
『お兄さまを十秒ですって! 正気でいってるのかしら!』
『ふん。ならば、俺はその減らず口を五秒で封じてやる。二度と開かぬようにな』
そう言い、ライザーは炎の翼を広げて飛翔する。
『部長、プロモーションすることを許可願います!』
部長は何も言わずに頷く。
『プロモーション、「女王」!』
『無駄だ!』
プロモーションしたイッセーに向けて、ライザーは炎を撃ち出すが、イッセーはそれを避け、高々と告げる。
『部長! 俺には木場みたいな剣の才能はありません。朱乃さんみたいな魔力の天才でもありません。小猫ちゃんみたいな馬鹿力もないし、アーシアの持ってるような素晴らしい治癒の力もありません! それでも俺は、最強の「兵士」になります! 部長のためなら俺は、神様だってぶっ倒してみせます!』
高々と告げるイッセーの言葉に呼応するかのように、籠手の宝玉がどんどん輝きを増していく。
『輝きやがれ! オーバーブーストォッ!!』
『Welsh Doragon over booster!!!!』
籠手からその音声が発せられた瞬間、イッセーを赤い閃光が包み込んだ。
そして、光が止んだその場にいたのは、赤い鎧を身に纏ったイッセーだった。
その全身鎧はまるで、ドラゴンの姿を模しているようだった。
『これが龍帝の力! 禁手、「 赤龍帝の鎧」だ!』
『禁手』、神器の禁じられし忌々しい外法か。
『Ⅹ』
籠手からカウントが発せられる。先ほどイッセーが言った十秒とは、勝利宣言ではなく、あの鎧を維持できる時間制限のことだったのだ。
イッセーは飛び上がり、魔力の塊を撃ち出す。
『ぐっ!?』
ライザーは慌てて避けると、魔力の塊はフィールドに当たり、激しい爆風がフィールドを包む。
避けたライザーのもとへ、イッセーは背中の噴出口から魔力を噴き出させ、ライザーに突貫する。
『ここだッ!』
『うぉっ!?』
『Ⅸ』
ライザーは間一髪のところでイッセーの突貫を避ける。
避けられたイッセーはそのままフィールドに突っ込んでしまった。
うまく減速できなかったようだな。
『なんだ!? この力と速さは!』
ライザーが驚くのも無理はない。それだけ、いまのイッセーの力と速さは驚異的なものだった。
「ですが、彼はどうやってあれほどの力を?」
会長の疑問はもっともだろうな。
むろん、俺は知っている。どのようにしてその力を得たのか。そして、どれほどの犠牲があったのかを・・・・・・。
『本当に不愉快なクソガキだ! いまの貴様はただのバケモノだ、クソガキ! 火の鳥と鳳凰、不死鳥と称えられた我が一族の業火、その身で受け燃え尽きろ!』
『Ⅷ』
『てめぇのチンケな炎で俺が焼かれるわけねえだろ!』
炎を纏ったライザーと赤い鎧を着たイッセーが激突し、赤いオーラと炎がフィールドを縦横無尽に駆け巡る。
『ぐわっ!?』
力の激突を制したのはライザーで、イッセーはフィールドに叩きつけられてしまった。
『・・・・・・鎧がなかったら・・・・・・これがあいつの力だって言うのか・・・・・・』
鎧がなかったら、イッセーはもうすでに消し炭になっていたかもしれなかった。
ライザー・フェニックス。ここまでとはな。
『Ⅶ』
『怖いか? 俺が怖いか? おまえは「赤龍帝の籠手」がなければ、ただのクズだ!』
イッセーを見下ろしながら嘲笑うライザーは炎を撃ち出すが、イッセーはすぐさま飛んで避ける。
「・・・・・・イッセー兄・・・・・・!」
「・・・・・・信じろ、あいつを」
不安そうにイッセーを見ている千秋に、ただ、信じろと告げる。
『ハァァァッ!』
『デヤァァァッ!』
イッセーは籠手で、ライザーは炎を纏わせた拳でお互いに殴りあった。
『Ⅵ』
『ぐっ・・・・・・ごふぁっ・・・・・・』
イッセーの兜から吐血による血が吹き出る。
相討ち。だが、ライザーには再生の力があり、実質はライザーが押し勝ったことになる。
『ふふ! その程度──がはっ!?』
だが、ライザーも吐血をした。その事実にこの場にいる全員が驚愕していた。
吐血するということは、ライザーの再生の力が働いていないということになるからだ。
『・・・・・・き、貴様・・・・・・! 何をした──っ!?』
ライザーがイッセーの左腕を凝視し、驚愕する。
イッセーの左腕をよく見ると、何かを持っていた。
『・・・・・・十字架・・・・・・!?』
そう、イッセーが持っていたのは十字架であった。
『ぐあっ!?』
『Ⅴ』
イッセーはフィールドの壁に叩きつけられ、そのままフィールドに倒れ込むが、すぐに立ち上がる。
ライザーもフィールドに降り立ち、そして膝を着く。
『・・・・・・十字架・・・・・・だと!?』
『・・・・・・うちの「僧侶」は元シスターでね。奥にしまい込んでたのを、ちょっと借りてきたのさ』
そう、あのとき、イッセーがアーシアに頼んで持ってこさせたのは、十字架であった。
『流石のあんたでも、神器で高めた聖なる力は堪えるようだな!』
『Ⅳ』
確かに、いかに不死身とはいえ、悪魔である以上、聖なる力は効くだろう。イッセーがアーシアに頼んだときも、新たに得た譲渡の力で十字架の聖なる力を高めようという魂胆はすぐに察せた。
『・・・・・・バカな・・・・・・! 十字架は悪魔の体を激しく痛めつける・・・・・・! いかにドラゴンの鎧を身に着けようと、手にすること自体・・・・・・!?』
ライザーの言う通り、悪魔であるイッセーが十字架を持つことは本来できないはずである。譲渡の力で聖なる力を高めているのならなおさらだ。だが、イッセーは手にしていた。
そのことに、周りの皆も驚愕していた。
そして、ライザーがイッセーの左腕を見て、何かに気づいた。
『まさか! 貴様、籠手に宿るドラゴンに自分の腕を!?』
『Ⅲ』
『ドラゴンの腕なら悪魔の弱点は関係ないからな!』
籠手に隠れてわからなかいが、よく見ると、籠手の隙間から見られた左腕が人のものではない異形なもの──そう、イッセーの左腕はドラゴンの腕になっていたのだ。
「どういうこと、明日夏兄!?」
千秋が問い詰めるように詰め寄ってきた。
「ライザーの言った通りだ。イッセーはあの力を得るために、籠手に宿るドラゴンに左腕を差し出したんだ」
それを聞いた皆は驚愕し、千秋は涙を流し始めた。十字架を渡すときに事情を聞かされたアーシアも、同じように泣いてたな。
そして、鶇と燕は何かを思い出している様子だった。おそらく、昔のことだろう。いまのイッセーに、身を挺して自分たちを守ってくれていた当時のイッセーの姿を重ねているのだろう。
『正気か貴様!? そんなことをすれば、二度と戻らないんだぞ!?』
『Ⅱ』
『それがどうした!』
ライザーの言葉にイッセーは意にも返さない。
イッセーの覚悟はそれほどのものなのだ。だからこそ、俺もそんなあいつの覚悟を成就させるために、ドレイクの力を使う決心ができた。
『Ⅰ』
『たかが俺の腕一本、部長が戻ってくるなら安い取り引きだぁぁぁっ!』
イッセーはライザーに向かって飛び出す。
ライザーは完全にイッセーの気迫に圧倒され、動けないでいた。
時間もない! これで決まれぇぇぇっ!
『ウオォォォォッ!』
『Count up』
『えっ? え、あっ、うわっ!?』
だが、そんな俺の想いやイッセーの覚悟を嘲笑うかのように無情なタイムオーバー宣言の音声が発せられ、鎧が消失し、イッセーは突然の損失感に呆気に取られ、地面に倒れ伏してしまった。
「そんな!? あとちょっとだったのに!」
「ここまでなの・・・・・・!」
無情な現実に、千秋と燕が悲嘆する。
「・・・・・・イッセーくんは頑張ったよ・・・・・・! もうこれ以上戦わなくていいよ・・・・・・!」
鶇にいたっては、イッセーの腕の犠牲の事実のショックで完全にこのありさまだ。
木場たちも悔しさのあまり、拳を握り絞めていた。
周りの貴族たちの顔は完全に決着が着いたと考えてる顔をしていた。
誰もが、この勝負がイッセーの敗北で終わったのだと思っていた。
「まだだ!」
そんな空気に我慢ならず、俺はらしくもなく、声を張り上げて叫んでいた!
「イッセーはまだ諦めてねぇ!」
そんな俺の叫びに応えるかのように、イッセーは立ち上がろうとする。
『・・・・・・絶対に諦めねぇ──ぐっ!?』
未だに諦めずに立ち上がるイッセーの胸ぐらをライザーが掴んで持ち上げる。
ライザーは鎧が消えたことをいいことに、余裕を見せ始めていた。
『さて、そろそろ眠ってもらおうか! 目覚めるころには、式も終わってるだろ──』
『・・・・・・・・・・・・まだ、だ・・・・・・』
『あ?』
『・・・・・・火を消すには──水・・・・・・だよなぁ!』
イッセーは懐から水の入った瓶を取り出し、ライザーに見せ付ける。
「聖水!?」
木場が瓶に入っている液体の名称を驚愕しながら口にした。
そう、イッセーがアーシアに持ってこさせたのは、十字架だけでなく、あの聖水もだった。
「ですが、ライザーほどの悪魔に聖水程度では・・・・・・」
会長の言う通り、上級悪魔に聖水はそんなに効果がないらしい。周りの貴族たちもそれをわかっているのか、イッセーの行動に嘲笑していた。千秋たちや木場たちも訝しげに見ていた。
確かに、効かないだろうな──イッセーの左腕にあるものがなければだが。
どうやらライザーは気づいたようだが、すでに遅く、イッセーは口で瓶の蓋を取り、ライザーに聖水を浴びせていた。
『「赤龍帝からの贈り物」ッ!』
『Transfer!!』
『しまっ──』
聖水の聖なる力が強化された瞬間、聖水がライザーの身を焼いていく。
『ぎゃああああっあああっ!? ぐぅっ・・・・・・ぐっ・・・・・・あっ・・・・・・ああぁっ!? あぁぁぁっぁぁっ!?』
ライザーは顔を手で押さえ、激しく絶叫する。
「ライザーの炎が!」
木場の指摘通り、ライザーの炎の勢いが衰えていた。
「強化された聖水が、体力と精神を著しく消耗させているのでしょう」
会長がライザーの身に起こっていることを解説してくれた。
灰の中から復活する不死鳥でも、精神だけは瞬時に回復できない。つまり、心までは不死身ではなということだ。
『アーシアが言っていた! 十字架と聖水が悪魔は苦手だって。それを同時に強化して、同時に使ったら、悪魔には相当なダメージだよな!』
ライザーは無言で震えながら立ち上がり、震える手に炎を集め、イッセー目掛けて炎を撃ち出すが、イッセーはジャンプして避ける。
『木場が言っていた! 視野を広げて相手を見ろと!』
イッセーは着地すると、十字架に残りの聖水をかける。
『Transfer!!』』
『朱乃さんが言っていた! 魔力は体全体を覆うオーラから流れるように集める! 意識を集中させて、魔力の波動を感じればいいと!』
十字架と聖水を同時に強化し、イッセーは腕を前に突き出す。
『小猫ちゃんが言っていた! 打撃は中心線を狙って、的確に抉り込むように打つんだと!』
イッセーは合宿での木場たちの教えを高々と復唱する。おそらく、あれにはゲームで散り、無念の想いを抱いた木場たちの想いを込めて言っているのだろう。
イッセーの復唱に木場たちは笑みを浮かべる。
『明日夏が言っていた! 相手のスキを見つけたら、そこに全力を叩き込めと!』
さらに俺の教えまで復唱された。
あいつ。俺がゲームに参加できず、歯痒かった想いも込めてくれてるのか?
イッセーの気迫にライザーは焦り、慌てふためきだす。
『ま、待て!? わかっているのか!? この婚約は、悪魔の未来のために必要で、大事なものなんだぞ! おまえのように何も知らないガキが、どうこうするようなものじゃないんだ!?』
命乞いのような説得をするが、イッセーが引き下がることはなかった。
『難しいことはわからねぇよ! 俺はただ、親友に言われたことをやるだけだ! 余計なことは考えず、おまえをぶっ飛ばし、部長を奪い返す! でもな、これだけは言わせてもらうぜ! お前に負けて気絶したとき、うっすらと覚えてたことがある──部長が泣いてたんだよ! 俺がてめぇを殴る理由は、それだけで十分だァァァッ!!』
ドゴォォンッ!
『がぁっ!?』
イッセーの渾身の左ストレートが、ライザーの腹部にめり込む。
ライザーは悲鳴をあげることなく、腹部を押さえながら、後ずさる。
『・・・・・・・・・・・・こ・・・・・・こんなことで・・・・・・お・・・・・・俺が・・・・・・!?』
ライザーはそのまま、前のめりに倒れ込む。
『お兄さま!』
ライザーの妹が乱入し、ライザーを庇うように、イッセーの前に立ち塞がる。
イッセーは拳をライザーの妹の前に突き出し、高々と告げる。
『文句があるなら俺のところに来い! いつでも相手になってやる!』
『っ!』
ライザーの妹がイッセーの気迫と言葉に顔を赤く染めていた。
あっ、あの反応はもしや?
まぁ、ともかく、勝負はイッセーの勝ちで幕を下ろした。
―○●○―
イッセーが部長を連れ、俺たちのところまでやって来た。
「やったな」
「ああ」
俺たちは短い会話をし、ハイタッチをする。
「そういえば、もうひとつの魔方陣はなんなんだ? 部長を助けたときに役に立つって言ってたが?」
「ああ、そういえば」
イッセーは魔方陣を取り出し、宙に掲げると、魔方陣が光りだし、魔方陣から何かが召喚された。
キュィィィィィッ!
「な、なんだ!?」
召喚されたのは、獅子の体、鷹の頭と翼を持った獣だった。
「グリフォンね」
部長が現れた獣の名を口にする。
これがグリフォン。この目で実物を見るのは初めてだった。
たぶん、これに乗って帰れってことだろうな。
まさか、いざってときの逃走用なんてことは流石にないはずだ。
「あらあら。うふふ。せっかくですから、イッセーくんが部長を送ってさしあげたら?」
「えっ? 俺が!」
「当たり前だろ。今回、姫を助けた勇者さまはおまえなんだからな」
「そうね、お願いできるかしら?」
「ぶ、部長のご命令なら!」
イッセーはグリフォンの背に乗り、部長の手を取って前に乗せた。
何気に絵になってるじゃねぇか。
「先に部室で待ってるから!」
イッセーの言葉と同時にグリフォンが翼を羽ばたかせ、上空へ飛び去っていった。
「あのグリフォン、最悪の場合の逃げ道として用意したんだが」
いつの間にか、俺の隣に来ていた魔王、部長の兄貴がそんなことを口にした。
おいおい、まさかが的中しやがったよ。
「ほら、人間世界の映画に、そのようなものがあっただろ?」
「現実と映画を一緒にしないでくださいよ。もしそうなっていたら、あとが大変だったでしょう?」
「なに、結果オーライというやつだ。今回の件で、私も父もフェニックス卿も、いろいろ反省したよ。自分たちの欲を押しつけすぎたとね。残念ながら、この縁談は破談が確定したよ」
「残念ながら、ですか? お顔はそうは見えませんが?」
とてもじゃないが、残念とは程遠いぐらい、穏やかな表情をしていた。
「『赤い龍』がこちら側に来るとは、思いもよらなんだ。『白い龍』と出会うのも、そう遠い話ではないのかもしれないな」
「・・・・・・『白い龍』・・・・・・ですか」
部長の兄貴が口にした単語に、目的を達成して晴れやかだった俺の気分はすぐさま警戒色の強いものに変わってしまった。
できることなら、そいつとイッセーが無縁でいてほしいものだ。
おそらく、絶対ありえないことを願いながら、俺はイッセーが飛んでいいったほうを見る。
―○●○―
「うはぁぁぁっ!」
上空から冥界の景色を眺めていると、部室の手が俺の頬に触れてきた。
「部長?」
「・・・・・・バカね・・・・・・こんなことをして。・・・・・・私のなんかのために・・・・・・」
部長が沈痛な面持ちで、異形なものに変わってしまった俺の左腕を擦っていた。
「お得ですよ。だって、こうして部長を取り戻せたんですから!」
「・・・・・・今回は破談にできたかもしれない。でも、また婚約の話が来るかもしれないのよ・・・・・・」
悲哀に暮れている部長に俺は笑って答える。
「次は右腕、その次は目──」
「イッセー!?」
「何度でも、何度でも、助けに行きますよ! 何しろ俺、リアス・グレモリーのl『兵士《ポーン》』ですから!」
そう言った次の瞬間、俺の唇が部長の唇で塞がれた!
えっ? ええっ? えぇぇぇっぇぇぇっ!?
部長にキスされた俺の頭の中はパニックになっていた。
部長は唇を離すと微笑んだ。
「ファーストキスよ。日本では女の子が大切にするものよね?」
「え、ええ、そうですけど──て、ええ!? ファーストキス! い、いいんですか、俺なんかで!?」
「あなたはそれだけの価値のあることをしてくれたのだから、ご褒美よ」
あー、このご褒美だけで頑張ったかいがあったぜ!
「それから」
「はい!」
「私もあなたの家に住むことに決めたわ」
「はいぃぃっ!?」
「下僕との交流を深めたいのよ」
マ、マジっスかぁぁぁっぁぁっ!?
―○●○―
「と、そのような感じで、私、リアス・グレモリーもこの家に住まわせていただくことになりました」
何がそのような感じなんですか、部長?
現在、兵藤家にて、部長のホームステイ宣言がされていた。
ああ、おじさんとおばさんの開いた口が塞がらないでいるよ。
そして、わかりやすいぐらいに頬を膨らませたり、不機嫌になっている千秋たちがいた。
その後、普通にOKとなり、いまは部長の私物を運んでいる真っ最中だった。
「そういうことだから、宣戦布告ってことでいいかしら、あなたたち?」
部長は千秋たちにあからさまな挑発をする。
要するに、部長もイッセーに惚れたってことか。千秋たちも大変だなぁ。
「・・・・・・なあ、明日夏」
「・・・・・・なんだ?」
「・・・・・・俺たちの周り、どんどん賑やかになっていくなぁ」
「・・・・・・そうだなぁ」
あー、今日も空が青いなぁ。
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