レーヴァティン
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第三十八話 オーロラの下でその六
「そうなれば戦いの時もこれからの戦争も」
「戦争でも術って大事みたいだしな」
「こちらの世界では」
「だからか」
「はい、全員がです」
また言う順一だった。
「身に着けるべきです」
「そうだよな」
「時間を見付けて」
「そうすれば余計に強くなるか」
「我々自身も。そして今ですが」
「ああ、御前の物見の術でか」
「この辺りを見ますので」
一体どうした地域でどんな者がいるかをだ。
「暫しお待ち下さい」
「それじゃあな」
こうしてだった、順一は物見の術を使った。するとそれに応えてすぐにだった。順一は磁石と地図を手に一行に言った。
「北北西です」
「ここからか」
「行けば北極の様な地域があり」
「北極かよ」
「先は空になっていますが」
つまり島の端だというのだ。
「空はオーロラがあり」
「そしてそのオーロラの下にか」
「斧を持ったアジア系の大男がいます」
「そりゃ確実だな」
ここまで聞いてだ、久志は順一に答えた。
「噂に聞いていた通りだ」
「そうですね、アジア系の大男で」
「斧まで持ってるならな」
「そしてその斧ですが」
順一は探している者の特徴の一つであるその斧のことも話した。
「かなり大きいものです」
「バトルアックスみたいな感じか」
「はい、まさに」
「そうか、そんなに大きな斧か」
「あの斧なら」
それこそとだ、順一は術で見たものをさらに話した。
「一撃でドラゴンさえも倒せます」
「そんな斧か」
「おそらく我々が持っているものと同じで」
「神の持ちものか」
「はい、間違いないかと」
斧についてだ、順一は確信を以て言った。
「あれは」
「そうか、それじゃあな」
「北北西に行きますね」
「そうしような」
こう順一に答えてだ、久志は仲間達を連れてそのうえで北北西に向かった。そこは深い森でありモンスターもいたが。
深い森もモンスター達も倒して先に進んだ、久志はレーヴァティンで鳥の翼を持つ狼、アーコルを牽制していた。
空を飛ぶ狼達はレーヴァティンの炎を見て警戒して攻めようとしない、久志はその彼等を見てわかったことがあった。
「空を飛んでも狼だからか」
「うん、僕達を襲って来ないね」
「火を見たらな」
「獣はそうだね」
火を見ればというのだ。
「積極的に襲い掛かって来ないね」
「狼っていっても獣だしな」
「結構餓えていて僕達を襲おうとも考えたみたいだけれど」
「というか俺達よりもな」
久志はここで自分達の後ろを一瞥した、そこには彼等の馬や驢馬達がいる。
「この連中狙いか」
「そうだろうな、俺達よりもそっちを見てるぜ」
正も馬や驢馬達を見て言った。
「俺の愛馬玉三郎もな」
「いつも思うが変な名前だな」
「ファンなんだよ」
「玉三郎さんのか」
「最高に奇麗な女形さんだからな」
それでというのだ。
「ファンでな」
「馬の名前にしたのかよ」
「御前みたいに野球でもよかったけれどな」
そちらから名前を取ってもというのだ。
「俺は歌舞伎でいったんだよ」
「そういうことか」
「それで玉三郎を狙ってるな」
アーコル達が自分達の馬を見ているのを見てまた言った。
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