レーヴァティン
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第三十五話 北の大地その十一
「何だかんだでここまで寒かったしね」
「ああ、冗談抜きで防寒していなかったらな」
「ここに来るまでに氷になってたね」
「ウォッカには入れないがな」
笑って淳二に返した。
「そうなってたな」
「そうだよね、街も寒いだろうけれど」
北にある、それならば当然のことだ。この地にある限り街でも寒いものは寒いのである。このことはどうしようもない。
「それでもね」
「温まれるからな」
「温まろうね」
「そしてでござる」
進太も街を見つつ微笑んで言う、雪で白く彩られている城壁に囲まれたその街を。城壁は高く堅固なものである。
「六人目の情報も集めるでござるよ」
「そうするか、今度は斧を持ってるそうだな」
「そうでござるな」
「斧か、だとしたらな」
このことから言う久志だった。
「戦士かバイキングか」
「北だからでござるな」
「そんなところか」
職業はというのだ。
「やっぱりな」
「そうでござるな」
「何か斧で寒い場所だとな」
久志のイメージとしてはというのだ。
「戦士とかバイキングだな」
「実際にバイキングは斧をよく使っていたでござる」
「そうだったんだな」
「剣が第一だったでござるが」
バイキングソードという実用性を重視した剣だ。
「槍も使っていてでござる」
「斧もか」
「斧は格が低いとされていたでござるが」
それでもというのだ、剣等に比べて。
「ものを断ち切ったり伐採したり敵の船に引っ掛けて引き寄せたりとでござる」
「色々使えるからか」
「よく使っていたでござる」
戦い以外にも便利なものだからというのだ。
「バイキングは斧もだったでござる」
「そうだったんだな」
「だから久志殿のイメージは間違っていないでござる」
バイキングイコール斧というそれはというのだ。
「そして戦士もでござる」
「斧もよく使ってたんだな」
「そうだったでござるから」
「そうか、それでその斧はか」
「拙者達の持ち者と同じくでござるな」
「神の道具か」
「そうでござろう」
その斧もというのだ。
「やはり」
「そうか、神様の斧か」
「それでござる」
「それも見たいな」
その斧もというのだ。
「是非な」
「そうでござるな」
「じゃあそうした情報を集める為にもな」
情報を流す人が集まる街に入ろうというのだ、こうして一同は北の都市の一つであるコペンハーゲンに入るのだった。
第三十五話 完
2017・9・24
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