レーヴァティン
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第三十四話 大魔術師ガンダルフその十一
「溺れないことだよ」
「溺れないから破滅せんな」
「儲けられるんだよ」
「博打は稼ぐ手段の一つか」
「あくまでね」
「割り切ってるんだな」
「だから事前に調べたり勉強してるんだよ」
そうして挑んでいるとだ、淳二は久志に話した。
「あっちの世界のパチンコなり何なりね」
「それでやって稼ぐか」
「そうそう、はっきり言って仕事と同じだよ」
「ギャンブラーも職業ってことか」
「雀士にしてもね」
「その辺りシビアなんだな」
「遊んで儲けられるかっていうと」
それはどうかというと。
「真剣に遊ばないとね」
「儲からないか」
「そういうものだよ」
「わしの友は一旦負けだすと頭に血が上ってのう」
「勝つまでだね」
「のめり込んでな」
「それは一番よくないね」
ギャンブルについてはとだ、淳二はガンダルフに断った。
「何ていっても」
「そうじゃな」
「溺れないことはギャンブルに限らず何でもだけれど」
「頭に血が上ってのめり込んではじゃな」
「冷静になってないから状況も見えていないし」
行っているギャンブルのそれをだ、カードにしてもルーレットにしても状況を冷静に見ずしてはというのだ。
「負けるよ」
「そうなるものじゃな」
「絶対にね。何があっても熱くならない」
つまり頭に血が上らないことだというのだ。
「それで勝とうと思ってもね」
「のめり込まんことか」
「勝とうと思わないでやるから勝つっていう人もいるしね」
淳二は言いながらある人物を思い出していた。かつて阪急ブレーブスにいた足立光宏というピッチャーだ。競馬が趣味で強かったが勝とうと思わずしていたという。
「まあ要するにね」
「それだけ冷静にじゃな」
「やっていかないとね」
「いかんな」
「そう、本当に熱くなったら」
「止めることか」
「うん、ただそのお坊さんは」
ガンダルフの友人である彼のことを思い言った。
「何かお坊さんにはね」
「思えんか」
「すぐに熱くなってギャンブルにお酒に女の人だね」
「何でも好きじゃ」
「そんなのだと」
どうにもというのだ。
「お坊さんに思えないよ」
「わしも時々そう思う」
「幾ら学識と法力があってもね」
それでもとだ、淳二は首を傾げさせつつ言った。
「そうした人は」
「僧侶の性格ではないな」
「本当にお坊さん?」
「信じられないが」
その通りだというのだ。
「そうなのじゃよ」
「ううん、修行中に性格がなおらなかったんだ」
「その時からそうじゃった」
僧侶になる若き日の頃からというのだ。
「全く以てな」
「飲む打つ買うでか」
「特に博打じゃ」
そちらがというのだ。
「酷いものじゃった」
「よくそれで坊さんになろうと思ったな」
「全くです」
久志も順一も呆れている、もっと言えば他の面々もだ。
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