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レーヴァティン

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第三十四話 大魔術師ガンダルフその十

「元から飲む打つ買うのろくでなしだったが」
「そりゃ完璧だな」
 久志はガンダルフからその知人の話を聞いて言った。
「賭け以外にも破滅する要素が揃ってるな」
「酒に女とな」
「どれでも破滅するからな」
 そうなってしまう要素を含んでいるというのだ。
「どっちにしてもな」
「破滅しておったというのじゃな」
「俺はそう思うな」
「わしもそう思う、しかしその知人は賭けでな」
 こちらでというのだ。
「破滅したわ」
「そうなったのかよ」
「優れた僧侶であったがのう」
「坊さんが博打やったら駄目だろ、酒も女も」
「学識と法力は確かであったが」
 この島でも随一の魔術師であるガンダルフから見てもだ。
「酒、女、賭けが好きでな」
「どれにものめり込むタイプだったんだな」
「しかも歯止めが利かんかった」
「じゃあマジで破滅するな」
「そうなる運命じゃな」
「坊さんでそれは余計にアウトだしな」
 聖職者として身を慎むべき僧侶がそうしたものに溺れてはというのだ、だがこうした僧侶は古今東西いることはいる。
「で、破滅してどうなったんだ」
「島の果ての教会で神父をしておるそうじゃ」
「生きてはいるんだな」
「うむ、しかし大僧正にもなれた者が」
 そこまでの力がありながらとだ、ガンダルフは残念そうに述べた。
「博打で身を持ち崩すなぞ」
「馬鹿な話だよな」
「全くじゃ」
 久志にも残念そうに返す。
「そうしたものはせんに限る」
「というか俺達の世界の話だけれどな」
 久志はここでこんな話をした。
「お寺とかで賭場を開いてな」
「僧侶が胴元か」
「胴元の総元締めっていうかな」
「そうした状況であったのか」
「昔の話だぜ」
 今は違うことは断った。
「俺の国、日本じゃな」
「そちらの世界の国じゃな」
「お寺とか神社、まあこっちの世界で言う神殿でな」
「賭場を開いておったか」
「それで坊さんや神主、こっちの世界の神官さんがな」
「胴元でか」
「賭場を開かせてな」
 その場を提供していたのだが結果としてそうなる、京都では公家の家で開いていたりもしたりしていた。
「それで上納金を貰ってたんだよ」
「まさに胴元であったのじゃな」
「ああ、そうだったんだよ」
 実際の話をするのだった。
「こっちじゃそんなのはないんだな」
「その辺りのならず者が酒場を営んでおってな」
「そうした酒場が賭場か」
「そこに入り浸ってじゃ」
 その僧侶はというのだ。
「とんでもない借金も作ってな」
「酒も女もでか」
「今はそうした有様じゃ」
「僻地の寺にいるのか」
「そうじゃ、学問も正義感もあったし政治の識見もあったが」
「素行が悪過ぎてか」
「その有様じゃ、全く以て嘆かわしい」
 その僧侶の才を知っているからこその言葉だった。
「愚かな話じゃ」
「まあギャンブルは確実に稼げないならね」 
 そのあてがないならとだ、淳二も言った。
「しないに限るよ」
「そうじゃな」
「遊ぶ位にしないと」
「溺れてはじゃな」
「ガンダルフさんのお友達みたいになるよ」
「全く以てその通りじゃ」
「そうだよね、ギャンブルはしてもね」
 それでもというのだ。 
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