レーヴァティン
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第三十一話 アジトその十
「そこで終わりだしな」
「終了だね」
「そうなるからな」
こう淳二に述べた。
「どんな状況でも諦めないことだな」
「何ていってもね」
「それが一番大事だな」
「そうそう、そしてもう一つ大事なことがあるよ」
淳二は明るい笑顔で久志にこうも話した。
「諦めないことと同じだけね」
「食うことか」
「あっ、わかるんだ」
「腹が減ってはっていうしな」
戦が出来ぬ、もっと言えば生きることも出来ない。
「だからだよな」
「そうだよ、だからね」
「まずはか」
「何か食べよう」
「そうだな、じゃ今から店に入るか」
「この辺りでは」
また進太が久志に言ってきた。
「いいお店があるでござるよ」
「前のパスタの部屋みたいにか」
「左様、あの店はパスタでござったが」
「また違う料理で有名な店か」
「今度は鯉でござる」
「へえ、鯉か」
「鯉料理で有名な店でござる」
前に行ったパスタが美味かった店とまた違ってというのだ。
「そうでござるよ」74
「鯉な」
「お好きでござるか」
「あまり食ったことはないけれどな」
それでもとだ、久志は進太に答えた。
「あの魚も美味いよな」
「では、でござる」
「その店でか」
「鯉を楽しむでござるよ」
「そうするか」
他の者も反対しなかった、だが。
淳二はここでだ、進太にこんなことを言った。その言ったことは一体どういったものかというと。
「前から思ってたけど西洋でも鯉食べるよね」
「そうでござるよ」
「それ意外だったよ」
「そうでござったか」
「だって鯉っていうと」
どうしてもというのだ。
「アジアのお魚ってイメージがあるから」
「そうでござるな」
「どうしてもね」
「中国でも食べるでござるし」
「勿論我が国でもね」
その日本でだ。
「食べるからね」
「刺身にしたり揚げたりしてな」
「あと鯉こくね」
それもというのだ。
「あれもいいよね」
「そうでござるな、しかしでござる」
「こっちの世界、そして欧州でもだね」
「食べるでござるよ」
鯉もというのだ。
「ビスマルクが好物としていたでござる」
「あの鉄血宰相が」
「大柄で大変な大食漢だったでござる」
身長一メートル九十、体重は百キロという立派な体格であった。そして生牡蠣を百個や茹で卵を十数個という食事っぷりだった。
「それで、ござる」
「鯉も好きだったんだ」
「そうだったでござる」
「あっちでも食べるんだね」
「アメリカでは食べず五大湖で増えて困っているそうでござるが」
「アメリカ人だったら食べるじゃない」
彼等ならとだ、淳二はあっさりと言った。
「普通に」
「それもかなりでござるな」
「あれだけ何でも食べる人達だから」
これはアメリカという国が移民から成りその移民の数だけ民族とその文化が存在している国だからだ。
「鯉位ね」
「食べたらでござるな」
「しかも凄く食べるから」
淳二は彼のイメージにあるアメリカ人の大食についても述べた。
「だからね」
「五大湖で増えていてもでござるな」
「一旦食べたら」
その時点でというのだ。
「もうね」
「すぐに解決でござるな」
「あの人達だったら」
淳二はさらに話した。
「簡単だよ」
「実はそれがしもそう思うでござるよ」
進太にしてもだった、このことについては。
「アメリカ人ならば」
「簡単にね」
「解決出来るでござる」
「そうだよね」
「しかし今はでござる」
アメリカ、五大湖とその周辺の現状はというのだ。
「そうなっているでござる」
「食べればいいのにね」
「全くでござるな」
「じゃあその鯉をだね」
「今から食べるでござる、鰻もあるでござるよ」
鯉だけでなくこちらの魚もというのだ、こうした話をしてだった。彼等はこの日は鰻を食べるのだった。
第三十一話 完
2017・8・25
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