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レーヴァティン

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第三十一話 アジトその八

「おいらが死んだら集めたお宝はね」
「どうなるか、か」
「意味がないじゃない、おいら一人が持っていても」
「だからか」
「ただ集めたいっていう気持ちもわかるよ」
 そうした考えもだ、淳二は否定しなかった。
「コレクターもね、けれどね」
「それでもそなたはか」
「そうした趣味はないからね」
 コレクターではないというのだ。
「手に入れたものを使う主義だから」
「集めて観て楽しむ趣味はないか」
「性格的にね。だからね」
「この世界を救うまでのものでないとか」
「いいよ」
 ここでもあっさりと言った。
「別にね」
「そういうことか」
「うん、そしてお金もね」
 金や銀、そして宝石達財産もというのだ。
「また集めればいいから」
「これだけ出すか」
「また稼ぐよ」 
 笑ってさえいた、その笑いには一切の執着がなかった。
「モンスターを倒して冒険の時に宝箱からね」
「そうしていくか」
「だからいいよ」 
 団長が観てもどうかというだけの額を出してもというのだ。
「別にね」
「そうなのか」
「それに悪いことしたのも事実だし」
 このことも理解していてというのだ。
「全部ね、出すよ」
「ではそのことを話しておこう」
 淳二が盗んだものの本来の所有者達にというのだ。
「そうしておこう」
「頼んだよ、じゃあね」
「うむ、これで返還と賠償は終わった」
 淳二が告げられた義務、それはだ。
「では行くといい」
「この島と世界を救う冒険と戦いにね」
「この世界を頼んだ、貴殿は今は一介の盗賊に過ぎないが」
 今現在の周りからの評価はというのだ。
「しかしだ」
「それはだね」
「これからの貴殿の働き次第だ」
 それによってというのだ。
「大きく変わっていく」
「そうなるね」
「必ずな」
 そうだというのだ。
「貴殿もな」
「それじゃあその評価をね」
「変えていくか」
「いや、やるべきことをやるだけだから」
 それだけだというのだ、つまり世の評価は全く気にしていないというのだ。それが淳二の返事だった。
「おいらのね」
「その中で評価が変わるだけか」
「評価を気にしていたら」
 それこそというのだ。
「何も出来ないよ」
「周りの評価より自分の行動か」
「それが問題じゃないかな」
「評価はその後でついて来るものか」
「うん」
 団長に笑って答えた。
「そうだよね」
「そうだな」
 団長は淳二のその問いに確かな顔で頷いて答えた。
「それはな」
「その通りだね」
「そうだ、ならばだな」
「ここはね」
 まさにというのだ。
「おいらはね」
「戦っていくか、この島と世界の為に」
「そうしていくよ」
「ではな、仲間達と共に行くのだ」
 団長の口調がこれまで以上に峻厳なものになった、そしてその峻厳な声で淳二をこう呼んだ。
「誇り高き勇者の一人よ」
「おいらが勇者なんだ」
「そうだ」
 まさにという返事だった。 
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