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レーヴァティン

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第三十一話 アジトその七

「団長さんのところに戻ろうか」
「相当多いけれどな」
 正が言ってきた。
「それでもな」
「うん、何度か往復して」
 一度で持ち出すことは無理でもというのだ。
「そうしていこう」
「それじゃあな」
「今からね」
「ではこの場にいる全員で」
 順一が言ってきた。
「持ち出していきましょう」
「あれっ、手伝ってくれるんだ」
「仲間ですから」
 順一は自分の言葉に意外といった顔を見せた淳二に微笑んで答えた。
「当然のことです」
「別にいいのに」
「手伝わなくてもですか」
「おいらのやることだから」
「これは好意ということで」
「仲間のだね」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「お気遣いは無用です」
「これだけの数で運んだら」
 どうかとだ、源三も笑顔て言ってきた。
「すぐにすぐに済むよ」
「そうだね、おいらも何往復もしなくていいよ」
「だったら余計に好都合だね」
「確かにね」
「じゃあそういうことで皆でね」
 源三もこう言ってそうしてだった。
 全員で財宝を運びそうして賠償金も持って団長のところに戻った、すると団長はその財宝と賠償金の山を見て唸っていった。
「これ程までとは」
「多いね」
「どちらもな。特にな」
「特に?」
「賠償金はこれまで出すのか」
「多過ぎる?」
「予想以上だ」
 そこまでだとだ、団長は淳二に話した。
「これは」
「そうなんだ」
「ここまではいらないと思うが」
「いや、いいよいいよ」
 淳二は団長に笑って返した。
「盗んだことは確かに悪いことだし」
「その償いにか」
「これだけ出すよ。あと財宝はね」
 淳二はこちらのことも話した。
「自分が何処から盗んだかわかってるから」
「そうなのか」
「うん、何処から何かをね」
「ではそれを書いておいてだ」
「財宝自体にだね」
「書いた紙を貼るなりしてな」
 そうしてというのだ。
「そのうえでだ」
「わかりやすくしておけ、だね」
「そうしてもらおう」
「それじゃあね」
「それではな。しかしものに執着がないな」
 団長も淳二のこのことに気付いた。
「貴殿は」
「まああれば有り難いけれど」
「なくてもか」
「いいよ」
 淳二は団長に笑って話した。
「別にね」
「無欲なのだな」
「だっておいらがそういうの集めた理由はね」
 それはどうしてなのかもだ、淳二は団長に話した。もっと言えば団長にもそうしたのである。
「この島を統一して世界を救うのに役立つか」
「そう考えてか」
「集めてたしね」
「ただ集めたいのではなかったか」
「だってそんなことしても」
 淳二は団長に笑って話した。 
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