世界をめぐる、銀白の翼
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第七章 C.D.の計略
トーチのメダルとヤミーと思惑
「イってて・・・・」
「大丈夫ですか?映司君」
東京都武蔵野市夢見町
その一角に存在する、多国籍料理店「クスクシエ」
店長の白石知世子の経営するこの店は、映司たちが世話になっていた拠点である。
平日の昼ではあるが、現在はお客もなく、ほぼ彼らの貸し切り状態。
コアメダル関連の話だ問うことで、知世子は席をはずしている。
この場に集まっているのは、包帯を巻いて治療する映司に、その包帯を巻く比奈。椅子に片足を上げながらアイスにかぶりつくアンク。
そして、鴻上によって呼び出された仮面ライダーバース装着員・後藤慎太郎と、そのサポート役である里中の五人だ。
「現在伊達さんは、こちらに向かってはいるようですが」
「多分、到着は明日だろう」
「仕方ないですよ。世界中飛び回ってるんですから」
「うるさいくせに、肝心な時にいない奴だ」
「こらアンク!!」
ぶつくさと文句を言いながら、それでも頼りにしている風を見せるアンク。
それを見て、苦言を呈する映司だが、少し嬉しそうでもある。
対して、後藤はそうは思ってはいないようだった。
「アンクが伊達さんまで頼ることになるなんてな。あれだけ嫌がってた相手だろう」
「ああ・・・そういえばアンク、伊達さん苦手っぽかったもんな」
「苦手じゃねぇ。相性が悪いってんだ」
「それ同じだよ」
威嚇するように言うアンクだが、結局あしらわれてしまう。
と、そこで映司の包帯巻きも終わり、一段落したところで里中が本題を切り出した。
「今回現れた、この人物。本人は「仮面ライダートーチ」を名乗っていましたが」
「ふざけた奴だ」
「だけど、強い」
里中の、少しばかり大きめの液晶モニターに映し出されたトーチ。
その中で次々にウィンドウを開き、話を進めていく。
「今回紛失したメダル。つまり、トーチを構成するのは三枚です」
そういって、モニターに映し出されるその例の三枚。
トーチの頭部から順に「カイゼル」「グリズリー」「パンサー」のコアメダルが映し出されていく。
「他のコアメダルは?」
「異常なしです。あの時リアクターの上にいた男が、何かをしたのだと思いますが」
「とりあえず、今はそのトーチだ。どういう奴なんだ?」
「速くて強かったです」
「・・・・・里中」
「はい」
物凄く簡単にしか説明できない映司の言葉を聞いて、里中にバトンタッチする後藤。
すると、次の映像が現れてトーチの戦力分析を始めていった。
「ココを見てください。トーチのベルト部分です」
「色が違うだけで、グリードのと同じだな」
「ですが、次のこれ・・・・オーズに襲い掛かったときのベルトです」
「・・・・これは?」
「はい。ベルトの中心部に、グリズリーコアメダルが」
「つまり、あいつはオーズのように三枚のコアメダルは使っているが、そのすべてを常に発揮できるわけではない、ということか」
「え?どういうことです?」
「わからなかったのか?お気楽な頭してんな」
「む、なによ。握るよ?」
「やめろ!!お前が握るとつぶれる!!」
専門家たちの会話についていけない比奈。
アンクにイジられながらも、ほか三人のもう少し砕いた説明に耳を傾ける。
「オーズの基本コンボ・タトバコンボは、タカ・トラ・バッタのメダルを使ってるよね?」
「は、はい」
それは見たことがある。
何度も見たのだ。あの歌も気にならなくなるほどに。
「で、その気になればトラクローは出せるし、バッタのジャンプもできる」
「そうですね」
「だが、このトーチはおそらく、三枚のうち一つずるしか発揮できない」
「爪を出した時に、ベルトにメダルが出ているのが証拠ですね。パンサー、カイゼルのを利用する時には、ほかの二つは引っ込んでいる、とみていいでしょう」
「はッ、確かにそうかもしれないが、そうじゃないときはどうするつもりだお前ら」
三人の推測に、へぇ~と比奈が頷いていると、小馬鹿にするようにアンクが笑う。
どういうことだと突っかかる後藤に対して、里中からタブレットをひったくって話を進める。
「あの爪がただの武装で、メダルが出てきたときにその部位の必殺技が発動するってなら、ほかの部位だって併用できんだろ、って言ってんだ」
「なるほど・・・・武装は同時に出すことができる。あくまでもその力を引き出すには一つずつというだけ、ということですか」
「そうだ。てか、あの突進力を見りゃあ簡単だろうが」
コンコン、と自分の頭をつついてさらに小馬鹿にするアンクだが、後藤も映司もそれにいちいち反応するほど短い付き合いではない。
だが、確かにその通りだ。
あのラトラーターの反応速度を上回って突っ込んできたところを見るに、あの突進にはパンサーの能力が多少使われたのだろう。
オーズも、普段の武装とは別にエネルギーを送り込むことでさらに底上げが可能になる力がある。
バッタレッグなど、顕著な例だろう。
普段でもジャンプ力はすごいが、エネルギーを送るとさらに上がり、スキャニングチャージならば形状変化までする。
その三段階の内、二段階目以上はどれか一つだけ、というのがトーチの能力ということだ。
「しかし、そうなるとどちらの可能性もありうるわけだ」
「そもそも、あいつの目的は何なんだ?火野。何も聞いていないのか?」
「えっと・・・確かあいつは・・・・・」
頭を悩ませる一同だが、後藤の質問に映司が記憶を反芻する。
確か、トーチは自己紹介の時に何と言っていたか。
『なるほど。貴様がオーズか』
『全てのコアメダルを総べるもの・・・・・』
『なるほど、確かにその力には納得だ。だがしかし』
『総べるのは俺だ』
「あいつ、コアメダルが欲しいのかな・・・・」
「何だと?」
「オーズがコアメダルを使えるってことが気に食わないみたいで。総べるのは俺だって言ってましたよ」
「ということは、新コアメダルを?」
「は。あんなん何の力にもなりゃしねぇだろうよ」
「どういうことだ?」
メダルから誕生した以上、コアメダルを欲するものだろう。
だがそのメダルから誕生したグリードであるアンクが、それはないとはっきりと言ってきた。
その発言に、映司も何かしら思うところがあるのか頷いて賛同する。
「俺もそう思います。あのコアメダル、あの装置なしじゃただのメダルですから」
「そう・・・ですね。確かにそうなります」
映司たちの話を聞いて、報告書を読んで判断する里中。
あのコアメダルは、本当の本当にエネルギーを活用するだけを目的としたコアメダルだ。
自我の生まれる隙間などないはずだし、あれを取り込んだところで肝心のコア・バンクがなければただのメダルである。
「あれを読み込むことは、オーズドライバーでも不可能です。それこそ、新しいベルトを開発するほかにありません」
「じゃあ、ますますなんであんな怪物が生まれたんですか?」
「ンなことこっちが聞きたいくらいだ」
「ともかく、あいつはそんなベルトを作るなんてことをするやつとは思えない。そうなると、狙われるのは」
チャリン――――
「こいつってことかァ」
自らのクジャクメダルを放りキャッチし、光に透かして見るアンク。
やはり古代に作られ、錬金術師たちの禁断の術が収められたこのコアメダルのほうが、彼らにとってはおいしいものなのだろうか。
流石、一度は自我を得て世界を引っ掻き回し、800年物の欲望を蓄えたメダルである。
グリードであることはともかくとして、エネルギーのその欲望の誘惑性を知るアンクと映司はその気持ちが少しは理解できた。
だが、だからと言ってあんな奴に渡してやる義理も何もありはしない。
「誕生の経緯はポセイドンと同じようなものでしょうか?」
「そうですね。そういう意味では「仮面ライダー」というのもまだわかります」
「だが、コアメダルの怪物ならばグリードでもあるのではないか?」
「そこんとこの名前なんざどーでもいーだろ。問題なのは、あのトーチって野郎がオレ達のコアメダルを狙う敵だってことだ」
そういって、話を切り上げるアンク。
これ以上の情報はない。再び相まみえるしか、ないのである。
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「フゥ・・・何とか安定してきはしたが」
ザラリと波打つメダルの脚。
それを見て引いたトーチは、工場の一角に身を潜めていた。
いまだに可動を続ける、現役の工場だ。
そこの巨大な機械による電磁波一つ一つは弱いが、こう一か所に固まるとまた違う。
その電磁波の様々な荒波が、カンドロイドの捜索の目からトーチが逃れられている要因である。
(とはいえ、人の目があるのもまた事実。この身体も、本当に安定しているのかどうかわからん)
それがトーチの不安事項だった。
ここは死角であることと、人が踏み込むと決して安全とは言えない箇所であるために見つかる可能性はほぼない。
だが、ここから出れば従業員やカンドロイドに見つかるだろうし、あの時現れた面倒な人間ども(ライドベンダー隊)に見つかっても厄介だ。
つまるところ、トーチは自ら檻の中にいるのと同義である状態なのである。
(俺は、総てを支配せねばならない。そのためには、オーズのコアメダルがどうあっても必要だ。そのすべてを手に入れ、俺はこの世界を支配するのだ・・・・そのためには)
「・・・・セルメダルも必要、か」
キィン・・・・コロコロコロ
手の平から零れ落ちたセルメダル。
コンクリートの地面を転がり、そのまま通路まで躍り出た。
そこからさらに不自然な動きのまま角を曲がり、転がり続けてスーツの男の足元で止まった。
そして、その男のくるぶしから本人の気づかぬままに体内に入り込んでしまった。
程なくして男は工場から車で出ていき、本社のある都市部へと向かった。
セルメダルからそれを感じ取り、落ち着いて待つのだと自分を窘めながら、トーチは待った。
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「ッ!!おい映司!!」
「何だアンク?」
「ヤミーだ!!出たぞ!!!」
クスクシエで、トーチを捜索しているライドベンダー隊の連絡を待っていた映司たち。
すると、アンクが何かを感じ取り叫んだ。
ヤミーの出現である。
無論、人間でもコアメダルを投入すればヤミーは作り出せる。
だが、今この状況、このタイミングを見れば何者によるヤミーかは明らかだ。
「出たな!!」
「あいつ、セルを集めるつもりだ。生まれたてのくせに考えてやがる」
「行くぞ!!」
アンクの誘導についていき、クスクシエを飛び出していく映司とアンク。
ライドベンダー隊と行動を共にしている後藤たちと連絡を取り、道中でライドベンダーを見つけ乗車。
ヤミーの反応があるのは都市部。
もしもトーチがセルメダルを求めて行ったのならば、絶対に阻止しなければならない。
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「ヴォオオン!!!」
ガゴォ!!!
「うわぁ!?」
「おい、まだビルをメチャクチャにしてんぞ!?」
「逃げろ!!こっちに瓦礫が来るぞ!!」
怒声にも取れる咆哮を上げ、暴れまわるヤミー。
白ヤミーを経てなのか、それとも最初からそのように誕生したのかは不明だが、すでに生体へと成長している。
モチーフとなっているのはクマだろうか。
胸元のマークからして、きっとツキノワグマあたりなのだろう。
そのツキノワグマヤミーが強烈な剛腕で抉っていくコンクリートの塊は、あのスーツ男のライバル会社のビルである。
スーツ男がここまでのことを望んでいたかはやはり不明だが、そこは欲望が暴走していくヤミーだ。そんなのは関係ないだろう。
だが、誰一人として対抗していなかったわけではない。
逃げ惑う市民を避難させながら、ライドベンダー隊がその場に到着しすでに応戦していた。
しっかりとした訓練。
そして、先刻トーチを退かせたのもあって、彼らには勝てる見込みがあった。
たかがヤミーだ。
油断するものしないものはまちまちだったが、負けるヴィジョンがあるものは一人たりともいないに違いない。
しかし現実では
「な、なんであいつ止まらねぇんだ!?」
「撃て!!撃て撃て撃て撃て撃てェぇエあああああああ!!!」
到着したライドベンダー隊は、その全員がバースバスターでツキノワグマヤミーを一斉掃射していた。
しかし、それにもかかわらずヤミーの行動は制限できても止めるには至らない。
次第に、ビルへの攻撃よりも自分の邪魔をしてくる彼らのほうが気に障ったのだろう。
くるりと振り返り、こちらに向かって突っ込んできた―――――!!!
「三から六班はビル内部の避難誘導!!一と二、それから七以下は到着し次第あの化け物に全弾ブチ込めェッ!!」
一人の号令に、隊員は正しく行動していった。
ただ問題なのは、そのライドベンダー隊総員で当たってもこのヤミーは止められないのではないかという懸念だけだった。
ドッドッドッドッッ!!と大股で走り込み、突っ込んでくるヤミー。
その全身に弾丸をブチ込み、それが切れるとセルバーストを放つ隊員。
だが弾丸はものともせず、セルバーストはその剛腕で叩き潰され、ヤミーは容赦なく接近してくる。
「く、くるなぁあああああ!!!」
打ちまくる隊員。
周囲の隊員は引きながら打ち続けるも、真正面から向かってこられる恐怖にその隊員はその場から動けずにいた。
腰にぶら下げた次のポッドを装填し放つも、同じような結果しかない。
その装填速度はさすが、訓練の賜物というべき素早さだったが三つめに手を伸ばした時にポッドを落としてしまった。
「く・・・ァァアアアアあああ!!!?」
目の前に襲い掛かるツキノワグマヤミー。
もうだめだと覚悟する隊員。
振りかぶった爪はギラリと光り、隊員の命を切り裂こうとして
「借りるぞ」
足元に落ちたポッドを手にし、身構える隊員の手からバースバスターをひったくる男。
そして明らかに初動で遅れたにもかかわらず装填、照準、構えを行い、引き金を引いてツキノワグマヤミーの腕を弾いて仰け反らせた。
「え」
隊員が唖然としていると、その男はさらに引き金を絞った。
ツキノワグマヤミーに弾丸が命中し、さらに連続して叩き込まれる。
するとどうか。先ほどの連続掃射で怯みもしなかったあの化け物が、この男一人のバースバスターの攻撃で仰け反り退かされているではないか。
目の前の現状に口を開けてしまう隊員。
そして撃ち終わったのか、空のバースバスターをその男――――後藤慎太郎から返された。
「ただ撃つだけじゃヤミーに効果はない。的確なポイントに叩き込むことで、相手のバランスを崩して一気に攻めるんだ」
チャリン、とリストバンドに携帯されているセルメダルを取出し、それをベルトに装填。
「変身」
そしてドライバーのグラップアクセラレーターを押し回し起動、変身を完了する。
「後藤さん、これを。バース用にチューンアップしたバースバスターです」
「ああ。よし、行くぞ!!」
里中から受け取ったそれを構え、ドドドドドドッッ!!と連射しながらヤミーへと突っ込んでいく仮面ライダーバース。
一方、ヤミーはイラついたかのように頭をかきむしり、咆哮してからその弾幕の中を一直線にバースへと向かっていった。
「ハァっ!!」
「ゴブァゥアアア!!!」
後藤の気合いと、野生の咆哮。
両者がぶつかり合い、戦いが始まった。
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「おい映司!!早くしろ!!」
「ちょっと待ってって!!――――ちょっと!?蒔風さん!?今なんて!?」
『だっから!!こっちも今大変なんだ!!色々なとこでいろんな事件があって・・・そっちはそっちで何とかしてくれ』
「何とかって」
『すまん!!』
「あっ、ちょっ!切れちゃった!?おーい!?」
道中、後藤がヤミーと交戦を始めたと聞いて、映司は連絡すべき場所に連絡をしていた。「EARTH」局長、蒔風舜に。
だがあちらも何か忙しいらしく、電話をプチンと切られてしまった。
どうやら「EARTH」からの援助は受けられないとみてもいいのかもしれない。
「おい映司!!早くいくぞ!!ッたく、ンなもん行きながらでもでんじゃねーか」
「運転しながらはダメだろこら!!」
再びライドベンダーを動かして、目的地へと走らせる二人。
目的地はもうわかる。あの粉塵の上がっている場所だ。
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弾幕の中を突っ込んでくるツキノワグマヤミー。
やはりあいつには弾丸は効かないのか。
だが、周囲の隊員の考えとは違い、後藤の脳内ではすでにこのヤミーへの対抗策は出来上がっていた。
弾幕はあくまで弾幕だ。
ヤミーに当たっていないのではなく、ヤミーに当たらないように打つことでその走りこむ方向を意図的に制限しているだけの物。
そして、バース最大の特徴を起動させるのなら、片手さえ空いていれば十分である。
《ドリルアーム》
「ダァッ!!」
「ギャゥッ!!」
バースバスターを片手で撃ち、もう片手でドリルアームを起動させてカウンターで胸元ど真ん中へと突き出すバース。
その思惑通り、見事にそれは命中しバースよりも一回り大きなツキノワグマヤミーが吹っ飛んでいき、広場のモニュメントに命中してガラガラとそれを倒壊させてしまった。
その隙に、さらに起動させていくバース。
バース・CLOWsを次々に展開し、後はブレストキャノンと左手のショベルアームのみとなった。
と、そこでツキノワグマヤミーが起き上り、バースのほうへと走り出してきた。
だがまだ距離がある。ブレストキャノンを起動させ、一発ぶっ放して吹き飛ばし、またその隙にショベルアームを起動させる!!
それが後藤の算段。
だが、ツキノワグマヤミーはまだ距離があるにもかかわらず腕を振るい、そしてその手元がキラリと光ったと思うと
バキィ!!
「ぐぉっ!!!」
ツキノワグマヤミーの爪が飛来し、バースの胸元へと襲い掛かってきたのだ。
起動しかけていたブレストキャノンのパーツは吹き飛び、またもう一度起動し直しが必要となる。
だが崩れた態勢を整えてからそれをしては、そのうちにバースはあの豪腕に捕まり捻り潰される。
里中やライドベンダー隊の援護射撃はあるが、すでに勢いの付いたヤミーの勢いを殺すには至らず―――――
「ダァッ、ッしょぉ!!!」
「ぎぇっ!!!」
ヤミー、本日二度目の吹き飛びである。
今度は生身の肉弾戦によるもの。
襲い掛かった真横からのドロップキックが顔面に突き刺さり、再び無様に転がることとなったのだ。
一方、後藤は突如として乱入してきたその人物に驚いていた。
姿は、すでに変身している。
だが自分と同じバースであること。その差異としては、身体各所のオーブを囲む赤いリングがあること。
即ち、仮面ライダープロトバース。
それを使い、こんな雑ともいえる荒々しい戦い方をするのは一人しかいない。
「よっ、後藤ちゃん!!大丈夫かい」
「伊達さん!?」
「到着は明日とかじゃなかったですか!?」
その登場に驚く里中に後藤だが、それに対し伊達は
「いやぁ、向こうと時差があるの忘れててさ。今日だったわ!!」
と大笑いして弁明していた。
ハァ、と溜息をつく後藤だが、彼が来たとなれば心強い。
「後藤ちゃん。俺が引き付けるから、そっちは準備よろしく!!」
「了解しました!!無茶しないでくださいね!!」
「後藤ちゃんに言われたくないねぇ!!」
パシン、と肩を叩き走り出すプロトバース。
大振りで豪快な攻撃をするのは、両者ともに共通すること。
だが、その荒々しさの中に確実性を持ったプロトバースの動きにかなうわけもなく、ヤミーは簡単に懐に入られてしまった。
しかし
「ヴォッッ!!」
「ガっ!?」
咆哮一発。
そのパワーの差が故に、プロトバースは腕の一振りで吹き飛ばされてしまった。
「伊達さん!!」
「いいから早くしろ後藤ちゃん!!こっちにゃ援軍ももう来てんだ!!」
《サゴーッゾ!!》
「ハァっ!!」
ドォン!!!と、タイルをバラバラに砕きながら着地してきたのはオーズ・サゴーゾコンボ。
ついに追いついた映司は、ライドベンダーから飛び降りるとともに変身し、その着地とともにその振動波をヤミーに向けて送り込んていたのだ。
ズシィッッ!!と重くなるヤミーの身体。
ぞれでもズルっ、と脚を動かそうとするツキノワグマヤミー。
だがオーズがドラミングを始めると、その動きすら困難なものになっていく。
「行くぜ後藤ちゃん!!」
「はい!!!」
その隙に、バースは全ての装備を展開し、プロトバースもブレストキャノンにありったけのメダルを注ぎ込んでいた。
そしてバースはパーツを合体させCLOWs・サソリへ。
その尾の先端から発せられる七色の閃光と、ブレストキャノンの極太の紅の砲撃。
その二砲が、ツキノワグマヤミーに向けて放たれた。
「ブレストキャノン、シュゥッ!!」
「CLOWs・サソリ、エネルギー発射ッ!!!」
「「破ァッッ!!」」
「ギィァッッッ!!」
その二大バースそれぞれの最大攻撃を食らい、ツキノワグマヤミーはついにそんな悲鳴を残して爆発した。
バラバラと散るセルメダルをアンクがかき集め、三ライダーは変身を解いて並び立つ。
伊達はもう一度時差云々の話をし、何が起きているのかの説明を求めた。
と、そこに一本の連絡が入る。
それを受けた里中は、冷静に三人の元へと歩みよりこう告げた。
「トーチが大量のセルメダルを手に入れました」
「「「・・・・・はぁ!?」」」
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よしよし、身体も安定した。
これで戦いも問題なく行えるだろう。
ちょうどよくいろいろ手に入ったことだし、さて
「俺が玉座につく時が来た。待っていろ、オーズ」
ギラリと闇で光る眼光。
それはまるで、その名の通り光が灯ったかのような。
しかし、明るいにも関わらず不安を感じさせる、そんな光であった。
to be continued
後書き
後藤さんスゲー!!なヤミー撃退回でした!!
おとりだったけど!!!
蒔風
「いや、普通に後藤さんすげぇ」
ショウ
「お前はお前で何やってんの?」
蒔風
「だってお前、まだ出せないけど忙しいんだよ?俺」
「EARTH」はいつからそんな薄情な組織になったのかなぁ?ん?
ジーーーーーー!!!
蒔風
「見るな!!こっちを見るなァ!!!」
トーチを構築するメダルはカイゼル、グリズリー、パンサーですね。
それにしてもこいつの目的はいまいちはっきりしませんねぇ。
んじゃ、そろそろよろ
後藤
「次回。あいつがセルメダルを大量に・・・だと!?」
ではまた次回
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