世界をめぐる、銀白の翼
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第七章 C.D.の計略
新たなる者達2
色々なことが始まっている。
先日の物など、まだただの一旦――――――
まだまだいる。
この世界には、油断ならない存在が。
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夜。
四角い口をぽっかりとあけたトンネルの中の歩道。
ここの歩道は、車道から一メートルほど上がっている段差の上にある。
走り去っていく車の走行音にかき消され、そこに立っていた男女の声は彼ら自身にしか聞こえない。
「これがあれば・・・?」
「そうだね。君の望みは叶うだろう」
「・・・・どうして私にくれるの?」
「僕らとしても、実証実験がしたいんだ。だけど、それだけしかなくてね。カードのほうは」
「わかったよ。私のほうでそれはもらいに行く」
「もらいに、ね・・・・んじゃ、健闘を祈るよ」
上下ともに白いスーツを着た男が、その場からいなくなる。
残された20歳程の女性の手には、緑に金のフレーム、そして桜色のエンブレムがあしらわれたバックルが握られていた。
「じゃあ、最初は―――――」
ヴォオオン!!!
通過していったバイクの一団によって、彼女自身にもその声は聞こえなかった。
そして、少女もまた闇夜に消える。
彼女もまた、力を手にしたものである。
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「ヒャァッハー!!」
「おいタク!!それあぶねーっつったろうが!!」
「すまねぇ兄貴!!」
「どうせやんならこれくらいのことやれよ!!!」
ヴォオオン!!!
爆走するバイクの一団。
6台はあるか。
そのうちの一台が、仲間を叱咤したように見えたが、リーダー格の男がトンネルにはいると同時に一気に加速。
数台の乗用車を追い抜いて、さらにトラックの前で煽るように後輪を滑らせる。
それに仲間の男たちがついていき、トラックを包囲。
トラックの運転手は怒声を上げるが耳には届かず、その様子を見て馬鹿笑いをして彼らは走り去ってしまった。
~~~~~
「さっすがだぜクレちゃん!!死ぬの怖くねぇってんだからよ!!」
「マジ兄貴リスペクトするわー」
「やっぱエンジンはブッ飛ばしてナンボだろうよ!!」
夜のコンビニ。
その駐車場にたむろして大声で騒ぐ6人。
周囲に民家はなく、どうしてこんなところに立っているのか謎なコンビニだ。
「俺ら六人だけどよ、最強のチームだろ?」
「はぁ?お前らチームだと思ったことねーし!!」
「だハハハハハ!!ンなこと言って、クレちゃんツンデレ~」
「だぁ、うっせい!!」
クレちゃん、と呼ばれる彼らのリーダー格を中心に大声での集会は進む。
さらに一人が菓子やつまみ、さらにはビールや酒をコンビニから買ってきて宴会まではじめてしまった。
アルコールに関して「どうしたよこれ?」と聞かれると持ってきた男は「持ってきた」とだけ返した。
つまりは堂々とした犯罪行為である。
それを店先であけてバカ騒ぎするのだから、度胸があるのか何なのか。
と、そこに
―――――コツン
という、アスファルトを叩く音がした。
それはまるで女性のハイヒールの音のようであり、そして光のエリアにその人物が入ってくると、それが正しかったことがわかる。
皆がそちらを見た。
自分たちは大声で騒いでいたというのに、なぜかそのハイヒールの音が気になっていつの間にか静かになっている。
そして、目の前に現れたその青いスーツに青いメッシュの入った女性は、クレちゃん――――呉木田浩司の前で止まった。
「命知らずですね~。でも、いいですよそれ」
「あぁ?」
「死ぬのが怖くないというか。ま、一回死んでるんですもんねぇ?」
「・・・おい」
「これ、いりません?あなたにこそふさわしいものですが」
怪訝そうな顔をして、それから青筋を立てて、数秒後には手が出そうな呉木田の前に、女性はアタッシュケースを差し出した。
そしてパチンと留め金を外し、それを開いた。
「どうです?」
それを見た呉木田の青筋は一瞬消え
「・・・・・いいじゃん?」
その夜。
また一人、怪物が生まれた。
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「胸騒ぎがするなぁ」
「EARTH」局長室。
窓から眼下の街々を眺めていた蒔風は、ふとそんなことを漏らした。
何かが始まっている気がする。
だが、確証もなしに発令するわけにもいかず
「寝るか」
そういって、ベッドに向かう。
今夜は寝よう。もう遅い。
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風都
風都タワーをシンボルとし、街のゆるキャラはふうと君。
その街の、高級住宅街の一角。
数年前に火事になり、そのまま更地となった土地がある。
さらにその地下。
井戸のような穴が合いた遺跡から、いきなりズボリと手が突き出てきた。
その手は地面を掴み、身体を引き上げ、一気に地上へとあらわれたのだ。
そして、その男は
「ふぅ・・・・やっと戻ったぞと。さぁて、アプローチ開始だ」
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そして離れた山奥でも
グボッッ!!!
大地を突き破り、そこから一人の男が現れた。
元々着ていたのだろうか。鎧や着物を纏っているが、しかし腐敗が激しくボロボロと落ちていく。
最終的には腰布のみを残しただけの服装となり、男は空を見上げた。
月が出ている。
この時代でも、月の美しさは―――――
「違うのぅ」
輝きが薄い。
人の業がそれを鈍らせる。
その手に何か小さな物を握り、男は山に消える。
ともあれ、この恰好だけはいただけぬ。
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「そういえば蓮」
「何だ。恵理」
あるマンションの一室。
「EARTH」本部は戻ったのものの、そのままこちらの部屋に住み続けている秋山蓮と、その妻・小川恵理はそんな出だしから食事の会話を始める。
「今日ね、懐かしい人にあったの」
「へぇ。昔の知り合いか何かか?」
「うん。高円寺くんっていうんだけどね、昔の研究室の同僚なの」
「そうか。何か話したのか?」
「もう・・・蓮ったらぶっきらぼうなんだから。ん?嫉妬してるの?」
「そうじゃない」
「絶対そうじゃん」
「・・・・・それで?」
視線を逸らし、さらに箸を進める蓮。
結局反論しきれず、話題を逸らすことしかできない蓮ににやにやしながら、恵理は話を進めていく。
「いやぁ、それがお話はできなかったんだよね。会ったというより、見かけた、かな」
「だったら最初からそう言ってくれ・・・・」
「安心した?」
「・・・・・・・・」
「わかったわかったから。そんな怖い顔しないで?」
「・・・それで?」
「うん。駅のホームで鏡越しに見かけたのよ。で、懐かしいから声を掛けようと思ったの。だけどもうどこかに行っててね」
「なんだ。そんなものか」
「まあ懐かしい顔だったから、印象に残っててね」
「ところで、何の研究室だったんだ?」
「えっとね・・・・あれ?」
「どうした」
「忘れちゃったよ」
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これにて、役者はそろう。
いまだ登場してないものも、まだその存在すらないものもいるが。
物語は始まる。
戦いもまた、然りである。
to be continued
☆★☆★☆
後書き
後書き
今回出てきた人たちの名前紹介~!!!
とはいえ、明かされた二名のくらいですけどね!!
他はまだまだ
暴走族の兄ちゃん、呉木田浩司くん
イメージは「マジで屑でヤンキーでワルな初瀬ちゃん」
蓮・・・といってわかる人はいるかな?
そうです、仮面ライダーナイト/秋山蓮です。
TV当時は恋人たったんですが、はいつの間にか結婚してたんですね。
その恵理さんの話に出てきた人は高円寺健人(こうえんじけんと)。
イメージは科学者です。
蒔風
「後はあれだな。地面から出てきた二人と、何か受け取ってた女だな」
ええそうですね。
まあ地面二人は場所から推測することも可能かと。
女のほうはわからないでしょうね。でもバックルの色にヒントが。
翼刀
「緑、金、桜色?なのはさん、フェイトさん・・・・いや、緑いないなぁ」
全然見当違いだ。
翼刀
「ふぁっ!?」
映司
「次回。え?新しいコアメダルが!?」
ではまた次回
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