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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第七章 C.D.の計略
  新たなる者達1


五月中ごろ。
暖かかった空気が湿りだし、段々と六月の梅雨時へと向かいつつある時期。


新たに始まった環境などに慣れてきた者もいれば
思い描いていた理想とのギャップに鬱になるものもいる


そんな時期。

ほむらたち五人の魔法少女たち。
彼女らの事件から、二週間ほどが経っていた。


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「不安定な天気だなぁ」

「いやぁ、大変ですよ。菜園の世話とか」


「EARTH」食堂。
そこの窓から外を眺め、晴れとも曇りとも言い切れないあいまいな天気に溜息をもらす蒔風。

独り言とも話しかけていたとも取れるその言葉を拾ったのは、この食堂の主である津上翔一である。


時間は11時半。
今日の食堂は、12時から天道があずかることとなり、津上は出かける予定のようだ。


「アギトの会ですよ!」

「あー・・・・あれか、アギトの力に目覚めた人たちの?」

「そうです!俺、そこの会長なんです!!」

ドヤッ!といった感じに、えへんと胸を張って言う津上だが、どうにも彼が言うと気が抜けてしまう。
ともあれ、蒔風はそんなことは言わない。彼だって同じような立場だからである。

どう見てもどこにでもいるとっぽい兄ちゃん。
この男を見て「EARTH」局長などと誰が思うだろうか。


「おいいま誰か失礼なこと言わなかったか?」

「いえ?ほかにお客さんはいますけど、そんなのは聞こえませんねぇ」

「そっか」


そう言って振り返っていた頭を戻し、正面に座る津上との話に戻る。



アギトの会、というのは、先ほど蒔風が言ったようにアギトの力に目覚めた人たちの相談窓口のような会だ。

基本的に、「EARTH」において「アギト」というと二つの言葉が出てくる。

一つは、シグナムとコンビを組む、古代ベルカ式ユニゾンデバイス「烈火の剣精」アギト。
そして二つ目は、言わずもがな仮面ライダーとして登録されている、津上翔一の変身した姿である。


ここでアギトというと、イコール津上翔一というイメージが出来上がっているが、しかし広義の意味で「アギト」というとその該当人物は意外にも多い。


なぜならば、厳密にいうとアギトというのは変身した戦士の名前ではなく、超能力を発現し、その高みに立ち肉体を変化させる(変身できる)人間のことや、若しくはその力そのもののことを言うのだ。
故に、アギトの世界由来の超能力発現者は、全員とは言えないもののいずれは「アギト」となる可能性を秘めているということだ。

だが、その段階に至る速度は個人差があり、超能力に目覚めると同時にそれがすでにアギトの力であったりするものや、微弱な超能力が強力なものへとなっていき、ゆっくりと発現する者もいる。


どちらにしろ、それまで“no Name”同様の人間が、いきなり力に目覚め、さらには異形の姿になってしまうとすればそのショックは計り知れない。
とはいえ、今では「EARTH」の存在によってアギトという力や存在が広まり、そこまで大きなショックにはなっていない。

だが、それでもショックなものはショックではあるし、どうすればいいのかわからないというのが大半だ。
そのため、「EARTH」の一部署という形で「アギトの会」はあるのである。


そして今日は、今年に入って五回目の会合になる。



「アギトの力に目覚める人、減ってきたんだっけ?」

「減ったというか、落ち着いた感じですかね。最初のころは、何が何だかわからなくて引きこもってた人が、一気に押し寄せてきた感じでしたから」

「ふ~ん。で?オーヴァーロードは?来たことあるの?」

「それがわかんないんですよね」

「・・・・まあ、そうだよな」


オーヴァーロード

「闇の力」とも呼ばれる、仮面ライダーアギトの敵―――といえば一番しっくりくるだろう存在だ。
彼らには「光のオーヴァーロード」と「闇のオーヴァーロード」という対局の存在がいた。

「闇」はかつて人類を作り出し、「光」はその人類にアギトの力を与えた。

「光」は消滅したものの、その残された「アギト」の力を恐れた「闇」は、その力を発現しつつあった超能力者を始末し始めたのだ。


彼としても人類は自らの子供。
胸の痛むことだが、致し方ない。異なる存在が混じれば、総ての子が滅ぶかもしれないからだ。

そうして差し向けられていたのが「アンノウン」と呼ばれる使者であった。
そして、それらとの一連の戦いが、仮面ライダーアギトという物語となる。

結局のところ、闇の力は人類とアギトの共存が可能かどうかを、一人の男との賭けとして見守ることとなり、手を引いたところで戦いは集結している。



「まあ、連絡とか取れないのはしょうがないですよ。相手神様ですもの」

「神様というにはちょいとまあ・・・でもそうだからな」

「にしても、ほんとごっちゃになりましたよねぇ~」

「なにが?」

「人類の起源ですよ。俺んとこで行けばその話ですけど、剣崎さんだとバトルファイトでしょ?さらにまどかちゃんのとこだとキュゥべえのおかげとかなんとか」

「あ~・・・・確かに。ハクオロさんのとこだと種族は違えど「人類」の起源はあの人だし。クラウドのとことかはモロにだし」


「どういう解釈にすればいいんでしょうね?」

「うーん・・・・たぶんな」

「はい」

「こう・・・たくさんスタート地点があってだ」

そういって、蒔風がペンと紙を取り出していくつもの縦線を書いていく。
そしてある一点でそれが一本の線へと纏まっていく。


「んで、こうなったと。だから、どの起源もあるってことになるわけで・・・・」

「それだとわけわからなくなりませんか?」

「そうなんだよな。だから、一言で人類学って言っても、その分野は多岐にわたるわけだ」

「ほぇ~」

「俺は専門家じゃないからどうとも言えないけど・・・っと、そろそろ時間じゃねーの?」

「え、あ!そうですね!!じゃあ行ってきます!!天道さん、後お願いしますね~!!」


そういって、厨房にすでに入っていた天道に声をかけ、エプロンを丸めて食堂を出ていく津上。
元気な人だなァ、とその背中を眺め、俺も仕事とと食器を片付けに行く蒔風。



「よっ・・・と」カチャン

「おばあちゃんは言っていた。太陽はすべての人の光。誰からも頼られるべき偉大な存在だと」

「もう津上さん行ったぞ~」

そういって、天(井)を指す天道に告げ、ひらひらと手を振ってそのまま出ていく蒔風。
残された天道はそのまま固まり、そして一言。

「マイペースには・・・・敵わないのか・・・・?」

天道総司。
かつての坊ちゃま同様、ゴーイングマイウェイな人間は苦手のようだ。



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「へぇー・・・そんな病気があるんですか?」

「そうよ。今この現代の技術を持っても直せない病気、っていうのは存在するわ」

「で、その人の取材に?」

「昨日話したでしょ?聞いてなかったの?」

「失礼な!!聞いてましたよ!!忘れただけです!!」

「ジャーナリストとしてそれはどうなのよ・・・・」


今日、OREジャーナルの記者・城戸真司は、上司の桃井令子とともにとある病院の取材に訪れていた。
なんでも今日は、ある症状を抱えた少年のインタビューだそうだ。


「いろんな世界の技術によって、いろんな病気が治るようになったりした。でも、それでもまだ治せない病気はある。今回はその取材よ」

「ふ~ん・・・・あれ、どんな病気でしたっけ?」

「はぁ・・・・まあいいわ。簡単にいうと、遺伝子疾患みたいなものよ」

「いでんししっかん?」


「生まれつき、というのがしっくりくるかしら?身体が弱くて、外にもおちおち出られない。一生ベッドの上で暮らすかもしれないっていう病気よ」

「それは・・・・かわいそうっすね・・・・」

「ええ。でもだからこそ、そんな子たちがまだまだこの世界にはたくさんいることを広く伝えて、救いの手を差し伸べられるようにする。それも、私たちにしかできない仕事よ」

「よっしゃぁ!!すっげぇやる気出てきたぞォ!!」

「ってことはやっぱり昨日は聞いてなかったのね・・・・・」



そういって、受付でバッジをもらってエレベーターに。
携帯の電源を切り、代わりにボイスレコーダーを取り出して準備する。

そして、病室の前に到着。
番号と名札を確認して、コンコンとそのドアをノックした。


『はい?』

「すみません。連絡していたOREジャーナルの桃井です」

『あぁ、インタビューの人か・・・・今開けますので、待ってください』


扉の向こうから声がして、ウィンという機械音とともに施錠が外れた。
そして横にスライドして扉が開き、二人が中に入ると、ベッドの背もたれが上がって体を起こしている少年と顔を合わせた。


少年、とは言うが、そこまで幼い歳ではない。
とはいえ、青年というほど年も取っておらず、高校生ほどの年齢だろうか。

そして事実、彼は再来月には18になる。


「今日はよろしくお願いします。こっちは私の助手の」

「城戸真司っす。よろしく!」

「元気っすね・・・・はぁ」

「?」


どこか虚無じみた、そんな何もやる気のなさそうな顔を一瞬みせ溜息をつく少年。
だがそれは本当に一瞬であり、すぐに笑顔になって「よろしくお願いします」と返事をした。

城戸も気のせいかな、と先ほど見た顔を振り払い、さっそく話を始めていった。


「では・・・・・始めましょうか」

「はい」

「それでは辰巻銀河さん。あなたは生まれた時にすでに医者に――――」

「はい、そうですね、俺は―――――」


たつまき ぎんが

そう呼ばれた身体の弱い男は、しかしそうは感じさせない明るい笑顔で話を始めた。



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「ふぁ~・・・・あ、可奈ちゃん。レストラン忙しいのにありがとうね」

「いえ」

「それ、後で見とくから」

「はい。では」


「疲れたなぁ」

「おい。何くつろいでいるんだ」

「へ?だってあとは実際の力の使い方だから、芦原さんの担当でしょ?」

「そうだが、目の前でダラケられては文句の一つも言いたくなる」

「あ、それはすみません」


椅子の背もたれに全体重を預けてだらけていた翔一に、芦原の一言がグサリと刺さった。
とはいえ、そんなリアクションをして胸を抑えただけであり、実際の声はいつも通りの拍子抜けたものがあるが。


ここからは、実際に力を使ってみようということで、ついに直った「EARTH」の地下訓練場を使用しての体験になる。

相手を務めるのは、ギルスこと芦原亮。
ギルス、という単語もアギト同様に彼個人を指す場合と、アギトの前段階という二つの意味がある。

だが、現段階でギルスになった者は芦原のほかにはいない。
そもそも、今の芦原とてアギトと同等の力を得たギルス、ではあるが。



「んじゃあ行きますか」

「相手は六人か」

「ん~・・・・まずはあれですね。アギト由来の超能力なのかどうか、ですね」

「だな」


そういって、二人だけになった会議室から出ていこうとする二人。
だが、そこに一人の青年が扉を開けて入ってきた。


会合に遅れた人かな?と首をかしげる二人。
その二人に、青年はおずおずと話しかけた。


「あ、あのう・・・・津上翔一さんと、芦原亮さん、ですよね?」

「そうだ。お前は?」

「あ、あの僕・・・お父さんからはオルタ、って呼ばれてて・・・・」

「は?」

「あの、アギトとギルスの二人に、挨拶しようかなって思って・・・来ました・・・はい・・・」


もじもじと両手の指を絡ませながら、たどたどしく話すオルタと名乗る青年。

呆れかえるほどに気弱だ、と芦原はやれやれと頭を振って溜息をつく。
元水泳選手―――運動部だった彼からすれば、こういう輩はあまり好みではない。


「おい。話すならもっとはっきり話せ」

「は、はいぃ!あの、その・・・ごめんなさい・・・・」

「あはは・・・・えっと、それで何で来たの?今から実際にアギトの力を使ってみようってなってるんだけど」

アギトの会に遅れた人として対応する津上。
芦原は「自分が話すと萎縮させる」と判断したのか、二人のやり取りを聞いていた。


「い、いえ!えっと、ですね。今日はあいさつに来ただけなのでして。お父さんからお二人の話は聞いてましたし・・・・」

「う~ん・・・そのお父さんって誰?氷川さんは・・・・」

「絶対にないだろ」

「ないねー。じゃあ誰だろ?」

「お、お父さんは・・・・オーヴァーロード、って言えばわかるって、言ってました」


「は?」

「え?」


このオルタという青年。
自分の父は、あろうことかあのオーヴァーロードであると言い出したのだ。

とっさの発言に、芦原が警戒して身構える。
だが、それにすらビビってしまいヒィ!?と身じろいでしまうオルタ。

気弱すぎる。
というかビビりすぎである。


「あ、あの・・・僕に戦うつもりはありません、ので!!」

「・・・・わけを聞こうか?」

「は、はい。えっと」


そして、オルタは語りだした。
自らの出生についてを簡潔に。


自分は闇の力によって生み出された「新たなる人間」であると。
それも、かつて彼が作り出した「人間」ではなく、かつて「光の力」が行ったように「アギトの力」を付随させたものらしい。


津上たちが「光の力」由来のアギトなら、彼は「闇の力」由来のアギト、と言っていいだろう。
彼曰く父の考えでは、人類は自分の手を離れ、新たなる道を歩みだした。そして、そうし始めてから数年が経っている。

いまだ世界には悪意が満ちているが、それでも人類は前に進んでいる。
そこに、自分の一端も噛ませてみたいと言うことだった。


物凄く乱暴に、そして簡単にいうとつまるところ

「世界いいじゃん。私も混ざりたいけどちょっと次元違いすぎるから彼を送ろう。「光の力」のアギトばかりずるい!!」ということらしい。




「なんだそれ」

「さあ・・・ぼ、ぼくにもお父さんの考えはたまによくわからないので・・・・」

「それで?お前はどうしたいんだ?」

「ぼ、僕は、ですね。これから・・・・世界を見て回ろうと思います」

「へぇ」

「世の中、いろんなことがあると言います。お父さんは言いました。人間には目をもそむけたくなる醜悪な一面があるが、何よりも輝き慈しむべき素晴らしいものも持つ種族だと。その両極端を見て、見たいんです」


曰く、彼は生まれたばかり。
知識等の植え込みしか終わっていない、まだ生まれて一か月近くの命だ。

だから、世界を、人を、たくさん見て見たいというのが彼の考えだった。


「で、でもそれでも・・・・「人類にアギトとの共存は無理だ」って思ってたお父さんの考えを変えたお二人には、最初に会ってみたくて・・・・」

「なるほど~。あ、なら氷川さんにもあったほうがいいですよ」

「あ、はい!彼にも会いに行きます。あの人の一言が、一番突き刺さったって言ってましたから」


そうして、彼はじゃあまたいつか会いましょう、といって部屋を出ていった。

その数秒後、二人も部屋を出たが、既にそこにオルタはいなかった。
さすがは闇の力の息子である。


そして能力体験が終わった後。
携帯を見ると、メールが20件、不在着信が32件あり、かけなおしてみると


「い、いまさっきからちょっと闇の、あ、は!?アンノウンのあれのその、ちょっと何焼肉食わせてんですかそれ僕が焼いてた肉ですよ!!」


という、テンパってる割に食い意地は張っている氷川の叫びが聞こえてきた。



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「今日はありがとうございました」

「はい。これで、俺みたいな人たちにもっと手が差し伸べられるといいんですけど」

「そうですね!そうすれば、辰巻さんも治りますよ!!」

「いえ・・・俺はですね」


病院でのインタビューを終えた、城戸と令子。
最後に出ていこうとするが、その歯切れの悪い銀河の言葉に足を止めた。



「俺、残念ながら18までは生きられないって言われてるんですよ」

「えっと・・・それってじゃあ」

「後二週間と二月ですね」

「そんな!!」


「あ、でもそんな悲しまないでください。俺は死ぬつもりなんてないですし、もしも俺が死んでも、その声は残ります。俺みたいな人がもう俺で最後になれば、俺は十分ですよ」

そういってニカッと笑う銀河。
もうすでに、彼自身は吹っ切れている。

そんな感じに笑いかけ、だからしっかり伝えてくださいね?と令子にイタズラっぽく笑った。
それを見て、ボイスレコーダーを強く握りしめ、任せてくださいと胸を張って頷く令子。


そして二人は出ていって、病室内に静寂が戻る。
自動扉が閉まり、手元のボタンで施錠を掛ける。


ボスンッ、と
布団を叩く音がした。



「気にしないでください?だって?」

俺は何を言っているのか。
もう吹っ切れたような顔をして。心配しないでと笑い掛け。


「死にたくねょ・・・・なんで俺の人生、これだけで終わらなきゃならねえんだよ・・・・!!!」

歯ぎしりし、涙を耐える。
だが、それにも限界は近い。

彼の、命も。


そしてその時。
まだ昼間だというのに、どこかの星がキラリと光った。



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「はぁ、さっきはびっくりした・・・・」

「氷川君はもうちょっとアドリブ力を鍛えるべきね」

「無茶言わないでください!!あそこで和むあなたのほうがおかしいですよ!!」

「そう?彼の父親の話、もっと訊きたかったのだけれどね、私は」


焼肉店でたらふく食べ、会計を済ませて出てきたのは元G3ユニットの三人と、G5ユニットのメンバー合わせて数十名。
今日はG5ユニットの訓練にG3-Xも参加したのだが、性能の差すら覆すあたり氷川も大概に非凡である。

と、そこに緊急連絡が入る。
怪人に襲われている、という通報があったらしいのだ。


「すぐ近く!!行くわよ、氷川君!!

「え?はい!!」

「あの、G5ユニットの教官俺なんすけど!?」


連絡を受け走り出すG3-X開発者・小沢澄子。
その後をゆく、装着員・氷川誠。
そしてG5ユニットの教官(であるはず)の尾室隆弘が、一斉に車に乗り込んで走り出した。



そして、現地に到着すると




「む、氷川さんか」

「あれ?名護さんじゃないですか」

その現場にいたのは、仮面ライダーイクサに変身する賞金稼ぎ、名護啓介だった。
どうやら彼も連絡を受け、近くにいたので現場に来たらしいのだが


「おそらくこれは、私たちの仕事だろう」

「え?じゃあ」

「襲われた女性の話だと、襲ってきたのはステンドグラスのような怪物。間違いなくファンガイア」

「じゃ、じゃあそいつ捕まえに行かないと」

「その心配はない。そいつは死んだ」


名護によると、すでに回収されてしまったがここにはファンガイアの物であろう遺体(というか、砕けたガラス状の破片)が散乱していたらしい。
ファンガイアは死亡すると、その体がガラス状になって砕けてしまう。現場に残っていたの物は、おそらくそれだろうというのが、名護の推測だった。


「あの・・・・じゃあ誰が?」

「わからない。だがいくら相手が犯罪者ファンガイアだとしても、殺害という手段は御法度だ」


この場合は殺人ならぬ殺ファンガイア、ということになる。
とはいえ、この状況では正当防衛も成り立つため罪に問われる可能性は薄いのだが。


「一応調べる必要があるだろう」

「じゃあ、この件は」

「私たち、素晴らしき青空の会が受け持つことになるでしょう」


そういって、名護が腕を組んで頷く。
元々は独断と偏見に動いていた彼だが、渡達との関わりでかなり軟化し、今では熱い正義の男。

さあ、犯人を追うぞ。
その命、神に返しなさい。



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ヴ・・・・グジュル―――――――



マンホールからのわずかな光。
それのみが照らす、闇に覆われた地下水道。

そこを這うように、一体の怪物が移動していた。


「ダ―――りな・・・イぃ・・・・」


まだ体は不十分。
まだまだライフエナジーが必要だ。

この体を早く再生させ、我らがこの世界の覇権を握るのだ――――――





様々なことが始まっている。



我々の知るところでも
そして、知らないところでも




to be continued
 
 

 
後書き

さて、本格的に始まりましたよ第七章!!!
もうすでに予告編からの推測で、誰がライダーになるのかわかる人もいるでしょう!!


武闘鬼人の第七章コンセプトはMOVIE大戦です。

少しはこうして関わりますが、基本的には各平成ライダーで別個の話になっていきます。
そして最後に、それらが一つにまとまり――――的な。


無論、平成ライダーだけではなくほかの作品のキャラや、昭和ライダーも出ますよ!!
まあゲストくらいの意味合いですけどね!!!


ちなみに、予告編でわかるかと思いますが出てくるライダーたちは全部で13人。

クウガはいません。だって(残念ながら)彼に劇場版はないから。
そしてクウガにサブライターとかそういうのはないから!!

もはやこれは伝統。でも最後にはかかわるのでご安心を。



てなわけで、アギト~ウィザードに対応したライダーが計13人出てきます。
彼らのプロフィールはすでにできており、後は書くだけ。

この13人を、今回から「デミライダー」と仮称することにしました。
Do-Dai?



蒔風
「デミってさ、半分、って意味だよな?」

ショウ
「半熟とか、そんな感じのだな」

翼刀
「・・・・・デミライダー?」

う、うるさいうるさいうるさい!!!

三人
「可愛くないから」

ンなこと知ってる。
自分もそう思いましたが、もうここは完全に語感で決めました。


蒔風
「ひどいな」



ではまた次回
 
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