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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1876話

「うおおおおおおおおおおおおっ!」

 シャドウを見つけた瞬間、順平は有里が口を開くよりも前に両手剣……これだとちょっと分かりにくいな。大剣でいいか。その大剣を手に、一気にシャドウに向かって突進していった。
 そのシャドウ、臆病のマーヤは後ろから近づいてくる順平の声で気が付いたのか、地面を滑るように――実際スライム状のシャドウなので、滑っているという表現で正しいのだろうが――移動する。
 順平は振っている大剣の軌道を途中で変えるといった真似が出来る筈もなく、次の瞬間には大剣が床を叩く金属音が周囲に響く。

「ぬおっ!」

 思い切り振り下ろした一撃だっただけに、刀身から手に返ってくる衝撃も相当のものだったのだろう。
 小さく悲鳴を上げ……だが、手が痺れた状態のまま、半ば強引に大剣を横薙ぎに振るう。

「ひっ!」

 ……順平にとって運が良かったのは、横薙ぎに振るった大剣の一撃が偶然臆病のマーヤの身体に命中し、その衝撃により放たれた氷柱……ブフによる一撃があらぬ方に飛んでいった事だろう。
 もし今の偶然の一撃が決まっていなければ、恐らく順平の身体には氷柱が突き刺さっていた筈だ。
 そして氷柱の一撃は順平の身体に傷を付けていただろう。
 何だかんだと、順平は運がいいんだな。
 ともあれ、臆病のマーヤというのは俺が確認している限り最弱のシャドウだ。
 そんな最弱のシャドウだけに、偶然であろうと順平が振るった大剣の一撃は呆気なく倒す事に成功する。

「っ!? え? 倒した? マジ? 俺が? いやったぁああああぁぁぁあぁぁあっ!」

 心の底から嬉しそうに叫ぶ順平。
 まぁ、初めてシャドウを倒したのであれば、そうなってもおかしくはないのだが……

「5点。勿論100点満点でな」

 順平に聞こえるようにそう告げると、その言葉が我慢出来なかったのか順平は俺を睨み付けてくる。
 ふざけるな、と。
 そんな順平の感情が分かる、表情。
 まぁ、自分が特別な存在だと思い込んで、その上で過程はどうあれ、実際に1人でシャドウを倒したんだ。
 結果だけを見れば、褒められてもおかしくはないのだが……

「甘いな。俺は0点だと思うがな」

 順平が口を開く一瞬前に、真田がそう告げる。
 まさか真田からそのような事を言われるとは思わなかったのか、順平は何も言えずに口をパクパクさせていた。
 影時間でパニクっていたところを助けられただけに、順平は真田に頭が上がらない。
 いや、学校で真田がヒーロー的な存在だというのも影響しているのかもしれないが。

「そんな、真田先輩。何で!」

 同級生の俺に言われるよりも、更に低い点数を付けられた順平は不満そうな表情を浮かべて真田の方を見る。
 だが、順平はそんな真田に対してそれ以上何も言う事は出来ない。
 真田の自分を見る目が厳しいものだったからだろう。

「何で? 本当に分からないのか?」

 そう言いながら、真田は俺の方に視線を向けてくる。
 俺が説明するのではなく、真田が自分で説明するという事だろう。
 いやまぁ、それは別にいいんだけどな。
 どのみち順平にとって、俺はクラスメイトでしかない。
 そんな俺に説明されるよりは、尊敬する――かどうかは分からないが――先輩に説明して貰った方がいい筈だ。
 そんな訳で、真田に対して頷きを返す。

「お前1人でタルタロスに挑んでいるならともかく、今回は俺達が一緒だろう。ましてや、このパーティのリーダーは有里だ。その有里が指示を出す前に自分だけの思い込みで突っ込んでいくというのは、どう思う?」
「それはっ! けど、実際俺がシャドウでしたっけ? それを倒したんだから……」
「そうだな、倒せたな。……ただ、シャドウの中でも最弱のシャドウだったから助かったようなものだ。大体、シャドウを倒した横薙ぎの一撃も、偶然当たったにすぎないんだろう?」
「ぐっ!」

 真田の言葉が図星だったのだろう。順平は言葉に詰まり、それ以上言い返す事は出来なくなる。

「お前が自分だけで行動したいのなら、俺達とは別に行動してもいいが、どうする? 言っておくが、タルタロスにいるシャドウというのは、かなり強い奴も多い。お前のように1人で暴走するような真似をしていれば、それこそ死ぬ事になるぞ」
「それは……」

 冗談でも何でもなく、真面目にそう告げている真田の言葉に、順平は俺と有里へ視線を向けてくる。
 だが、俺がその視線に何かを言うことはない。
 今回の一件は、あくまでも有里達だけで解決しなければいけないことなのだから。
 ここで俺が下手に言葉を挟もうものなら、余計に拗れる事になるのは想像するのも難しくはなかった。

「ごめん、僕も次からはもう少し早く指示を出すよ。けど、順平も1人で突っ込むのは止めてくれないかな」
「……分かったよ。リーダー様の言う事には従いますよ」

 有里の言葉に頷いた順平だったが、それは見るからに不承不承といった様子だ。
 まぁ、英雄願望の強い順平にしてみれば、自分の行動があっさりと否定された事が面白くないのだろう。
 ましてや、真田が有里の味方をするのも面白くなければ、その有里が自分達のリーダーだというのも面白くない……といったところか。
 この辺、出来るだけ早い内に矯正しておかないと、将来的に順平が痛い目に遭うと思うんだが。
 後で桐条に言っておいた方がいいだろうな。
 そんな風に考えている中でも、取りあえず不承不承ながら順平が有里の言葉を認めたという形になり、話は一旦収まる。
 そうして再び2階の探索を開始したのだが……

「お、あれって話に聞いていた宝箱!? うわぁ、本当にあるんだな」

 臆病のマーヤを倒した場所から少し歩くと、宝箱を発見する。
 そして宝箱を発見した瞬間、真っ先に順平が飛び出していったのだ。
 いやまぁ、普通に暮らしている分には宝箱なんて見る機会がないから、こうして喜ぶのは分かるんだが……それでも、さっきの事を考えると軽率じゃないか?
 幸い、今までタルタロスにある宝箱で、罠が仕掛けられていたという物はなかった。
 であれば、2階にある宝箱にも罠が仕掛けられている可能性は恐ろしく低いが……それだって皆無ではない。
 ましてや、まだ俺達が行けるのは最大16階でしかない。
 それより上は封印されている以上、そこから先の宝箱にも罠がないという可能性は……そう簡単には納得する訳にはいかなかった。
 特に順平の場合は、さっきの件があったというのも大きい。

「おい、順平! 一応注意しろよ!」
「はいはい、分かってますって」

 真田の言葉に順平は軽く返事をして、宝箱の方に向かって行く。

「俺は別のパーティだから、これ以上は何も言わないけど……このままだと、色々とトラブルが起きるのは目に見えているぞ?」
「分かっている」

 真田が俺の言葉に、苦々しげに呟く。
 真田も俺が言いたいことは、しっかりと理解しているのだろう。
 その為、何とかした方がいいというのは分かっているのだろうが……生憎と、こういうパターンは今までなかったのだろう。
 そもそもの話、今までずっと真田は桐条と一緒に行動してきたのだ。
 つまり、以前は真田がペルソナの使い方を教えて貰っている立場で、今は同等の協力者という扱いになっている。
 つまり、真田は自分より下の立場にペルソナの使い方や、タルタロスでの動き方を教えた事がないのだ。
 もし俺がゆかりと一緒に行動していなければ、ゆかりが真田や桐条からその辺りを教えて貰っていた可能性はある。
 有里の場合は、基本的に大人しいというか、順平のように自己主張が強くないタイプで、しっかりと人の話を聞く。
 それだけに、教えればすぐに分かったのだろう。
 ましてや、有里の場合は初めてペルソナを召喚して、異常なシャドウを撃破したという実績もある。
 つまり、ペルソナ使いとして高いセンスを持っているのだ。
 そんな中でやって来た、順平という存在は……真田にとって、扱いにくい相手でしかなかったといったところか。
 勿論、だからといって真田が順平を切り捨てるといった真似をするとは思えないが。
 いっそ、順平はこっちで引き取るか?
 けど、俺達が活動しているのは基本的に15階だ。
 まだレベル1の順平には、俺達と一緒に行動するのは難しすぎる。
 いや、本当にレベル1かどうかは分からないが。
 それでもペルソナに覚醒したばかりなのだとすれば、その予想はそう間違っているとは思えなかった。

「お、こんなのが入ってましたよ! ほらほら、これ俺が見つけたんですけど、真田先輩!」

 そう言いながら順平が見せているのは、小さな宝石だった。
 あれは、パトラジェムか。
 桐条グループの方で分析して貰った結果、精神異常を直す魔法が封じ込めれた宝石らしい。
 そんな宝石があるという事は、恐らく相手を何らかの精神異常にする魔法を使うシャドウがいるんだろう。

「……分かった。とにかくそれをアルマーに渡せ」
「え? ちょっ、何でアクセルに? これ、俺が見つけたんすよ!?」

 自分の見つけた宝石を俺に奪われるとでも思ったのか、順平は不満も露わにそう叫ぶ。

「あのさ、アルマーが空間倉庫とかいう能力を持ってることは、順平も知ってるでしょ。だから、それを使って預かって貰っておいた方が邪魔にならなくていいんだよ」
「……そうかぁ? このくらいの宝石、別に持っていても邪魔にはならないと思うんだけど?」

 有里の言葉にも不満そうな順平だったが、実際に宝箱から見つかるのは宝石だけとは限らない。
 それこそ、武器とかも普通に見つかるのだ。
 宝石程度であればまだしも、そのような武器を持ち運ぶのは、かなり邪魔だ。
 最悪、戦闘中にその武器が邪魔になって、敵の攻撃を回避出来ない……とも、限らない。
 そうならない為には、空間倉庫に収納しておく方がいいのは間違いないんだが……

「まぁ、宝石くらいなら邪魔にならないだろ。それに、普段俺はお前達と別々に行動してるんだから、宝箱から拾った物を自分達でどうにか出来るようにしておいた方がいい」
「……まぁ、そうだな。分かった。じゃあ順平がその宝石を持っていろ」
「了解!」

 真田も俺の言葉に一理あると判断したのか、結局そんな風に折れた。
 それを聞いた順平は、心の底から嬉しそうに笑みを浮かべて宝石をポケットに入れる。
 ……人生で初めての宝箱なんだし、テンション上がっても仕方がないか。
 自分でも妙に順平に甘くなっている気がするが、順平は俺が初めて味わう高校生活で一緒に行動している友人だ。
 であれば、少しくらいは優遇してもいいだろう。
 勿論俺が優遇するのはあくまでも多少であり、その多少を超えればこちらとしても相応の態度で対処する事になると思うが。

「取りあえず話も付いたし、先に進むか。……順平、次の戦闘ではきちんと有里の指示を聞けよ」
「分かってるよ」

 まだ有里の指示を聞くのに完全に納得していないのか、若干不満を滲ませながら告げてくる。
 それを聞きながら、俺は桐条パーティの先行きの不安さに同情したくなる。
 幸い……って言い方はどうかと思うが、桐条達と違って俺達のパーティは連携とかもスムーズに出来ている。
 いや、正確には戦闘で戦っているのは基本的にゆかりだけで、俺はいざって時のフォロー、荒垣は相談役的な感じなのだが。
 それでも、ゆかりは俺の指示にきちんと従っているし、自分が悪いと思えば素直に謝ってもくる。
 ……普段の生活ではその気の強さから謝ったりとかは苦手なんだが、ゆかりは時と場合を選ぶということが出来る。
 ともあれ、そんな訳で俺達のパーティはかなりスムーズに戦闘が行われている訳だ。

「はぁ」

 俺の少し前を歩いている真田が、小さく溜息を吐くのが聞こえてきた。
 このパーティのリーダーは有里だが、年齢や影時間での経験という意味では真田の方が上だ。
 だからこそ、この先どうなるのかを想像し、憂鬱に思っているのだろう。
 真田の様子に若干の同情を感じていると……こちらに近づいてくるシャドウの気配を感じ取る。

「来るぞ。数は……三匹」
「ちょっ、何でそんなのが分かるんだよ!」

 大剣を手に、順平が胡散臭そうに俺を見ながら、そう告げる。
 だが、俺の言葉を聞いた有里と真田の2人は、既にいつ戦いになってもいいように構えていた。
 この違いは、有里と真田が以前俺と一緒にタルタロスに挑んだ事があり、その時に俺がシャドウの気配を感じ取るのを見ているからだろう。

「順平、いいから戦闘準備!」

 有里の口から出てくる、普段とは違った鋭い言葉。

「いや、けどよ……」
「アルマーが来ると言うからには、それが外れることはない。いいから、準備をしろ! そのまま黙ってやられるつもりか!」

 有里に続いて真田までもが鋭く告げ、順平はその言葉に不承不承大剣を構え……やがて、通路の曲がり角から臆病のマーヤ2匹と残酷のマーヤ1匹が姿を現すのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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