転生とらぶる
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ペルソナ3
1875話
「で? 結局今日は荒垣は来ないのか?」
そう尋ねてくる桐条に、頷きを返す。
「ああ。何か用事あるとか言ってたな。……影時間にどんな用事があるのかは分からないが」
「……そうか」
そして俺の言葉に、真田が少し残念そうに呟く。
幼馴染みらしいから、荒垣がいないことを残念に思ったのか。
戦力としては、基本的に戦わない荒垣はそこまで気にするような奴ではない。
だが、冷静に物事を見る目を持っているという点では非常にありがたいだけに、今日……順平のような、有頂天になっている相手と一緒にタルタロスに行く時には、是非欲しかったメンバーだったんだが。
ちなみに俺との模擬戦で一旦は心をへし折られた順平だったが、立ち直りは予想外に早かった。
勿論完全に心をへし折ったという訳じゃなかったんだから、立ち直りが早くても仕方がないんだが。
「その関西弁を喋っていた男と荒垣は、どんな関係なのだ?」
「さあな。俺も直接話をした訳じゃないし、俺が荒垣のいた場所に行った時は、既に別れる寸前だったからな。その辺は分からない」
しかも荒垣の場合、聞いても素直に答えるとは思えないし。
「シンジの奴、一体何を考えてるんだ?」
荒垣を心配する真田だったが、その口調には不満の色も強く出ていた。
幼馴染みに自分の知らない友人がいて、それが気にくわないとか?
まさかな。
「さあな。その辺は俺にも分からないけど、行かないと言ってる奴を、まさか無理に連れていく訳にもいかないだろ? なら、今日は荒垣抜きで行くしかないだろ」
「なぁ、アクセル。その荒垣って人、そんなに強いのか?」
俺と桐条、真田の話が聞こえていたのだろう。順平が不思議そうに尋ねてくる。
そうか、有里もタルタロスで荒垣と一緒だったし、そうなるとこの中で荒垣に会った事がないのは順平だけなのか。
少しだけ驚きつつも、俺は順平の言葉に首を横に振る。
「純粋な強さって意味だと……どうなんだろうな」
元々荒垣は桐条や真田と行動を共にしていたが、何年も前に別行動を取っている。
そうである以上、基本的には桐条達と同等か……もしくは、少し弱いといったところだと思う。
勿論、実は桐条達と別れた後でタルタロスに挑み続けて鍛えていたとかなら、話は違ってくるだろうが。
しかし、それがないというのは、タルタロスの小ボスが倒されていなかったのを考えると明らかだ。
だとすれば、やはり純粋な強さでは桐条達よりも劣るとみて間違いはない。
「え? じゃあ、何でそんなに荒垣って人を連れて行きたがるんだよ?」
「そうだな。簡単に言えば、冷静に戦場を見ることが出来るってのが大きいだろうな」
冷静という意味では、それこそ桐条も負けてはいないだろうが……桐条の場合は、バックアップする必要がある。
それにもし桐条が戦闘に参加している場合には、やっぱり自分が戦闘をしてペルソナを召喚するという行為をしているが故に、どうしても周囲に対する認識は甘くなってしまう。
そういう点で、一切戦闘に参加しないという荒垣はかなり特異な人材であるのは間違いない。
その辺りの話を説明すると、順平も多少は納得したのか頷きを返してくる。
戦闘に参加しないということで、順平の中にある英雄願望を刺激したのか?
ともあれ、そんな感じで話をしていると、やがて12時になり……影時間となる。
いつものように、世界そのものが異世界になったかのような、そんな感じ。
そうした中、俺達はいつものようにタルタロスに挑む準備を整えていた。
……唯一、順平だけは、緊張からか身体を震わせている。
まぁ、初めてタルタロスに挑むのだから、その辺りはしょうがないのだろう。
本人は足の震えを武者震いだと言っていたが……それを素直に信じる者は、この場にはいなかった。
「……うおおおおおおおおおおおっ、こ、これがタルタロスっすか!?」
影のゲートで転移してきた場所にあるタルタロスを見て、順平が大声で叫ぶ。
つい先程まで、影に沈んでいく感覚に悲鳴を上げていた人物とはとても思えない元気の良さだ。
良くも悪くも、この切り替えの早さが順平の特長といったところか。
「そうだ。そして……タルタロスが姿を現す場にいなかったので分からないだろうが、このタルタロスのある場所こそが月光館学園となる」
「……え? は? なぁっ!?」
桐条の言葉が完全に予想外だったのだろう。順平は数秒戸惑ったように声を上げた後、改めて目の前のタルタロスに視線を向ける。
「これが、月光館学園!?」
「そうだ。……もっとも、タルタロスになったからといって、月光館学園に何か悪影響がある訳ではないがな。その辺りは心配しなくてもいい」
そう告げる桐条だったが、そう言えば結局何でタルタロスの中にある宝箱に、現金……日本円が入っているのか、その辺りの謎はまだ解けてないんだよな。
いや、一応桐条が調べた結果では、学校の中に補完してある現金とか、そういうのが奪われている訳ではないのは確定らしいけど。
生徒が忘れていった財布の中に入っていた現金が、宝箱の中にあるとかいう可能性はまだ皆無って訳じゃないしな。
「さぁ、行くか。安心しろ。タルタロスに入ったからって、いきなりシャドウに襲われるとか、そんな事はないからな。1階はエントランスだ」
「べ、別にビビってる訳じゃねえし! ほら、さっさと行こうぜ!」
両手剣を手に、順平がタルタロスの中に入っていく。
そして、俺達も当然その後に続く。
エントランスに入った俺達は、早速今日これからどう動くのかの相談に入る。
「まず、桐条はこのエントランスから俺達のフォローって事でいいんだよな?」
「うむ。そうする予定だ」
俺の言葉に桐条があっさりと頷く。
人数が足りなければ、桐条も戦力として数えるのだが……幸いと言うべきか、有里や順平といった2人が短期間で連続して入った事で、桐条達の戦力はかなり増えている。
もっとも、増えていると言っても、その戦力はあくまでもペルソナ使いとして覚醒したばかりの2人である以上、頼りきりに出来るかと言われれば、ちょっと難しいのも事実だろうが。
「で……ゆかりは桐条の護衛だな」
そう呟かれた俺の声に、ゆかりは若干不満そうな表情を浮かべながらも、文句は言わない。
有里の戦いに同行した時の実験で、シャドウがゆかりを見れば……正確には、ゆかりのシャドウの強さを感じると逃げてしまい、ろくに戦いが出来なかったのだから。
結局ゆかりをその場に残し、俺が他の面々を影のゲートで転移させてシャドウと戦う……といった手段で戦いをする事になったのだから。
その辺りの事情を説明すると、順平はゆかりに驚きの視線を向ける。
「ゆかりッチ、凄え……シャドウからも怖がられる女なのか」
「……それ、どういう意味かしら。よければ、もう少し詳しく聞かせてくれない?」
満面の笑みを浮かべつつ尋ねるゆかりに、順平は何度も首を横に振る。
「いやいやいや……何でもないって。さすがゆかりッチだなって思っただけだから。……うん? けど、アクセルはゆかりッチよりも強いんだろ? なのに、何でアクセルは大丈夫なんだ?」
ゆかりの追求を誤魔化すように告げる順平だったが、ふと俺の方を見てそう尋ねてくる。
「シャドウが感じているのは、あくまでもペルソナが持つ気配とか強さとか、そういうのなんだろうな。アルマーはペルソナ使いではないから、シャドウがアルマーを見つけても逃げ出すという事はない。……おまけに、他にも厄介な奴に好かれているみたいだしな」
真田が面白そうな笑みを浮かべつつ、俺にそう言ってくる。
面白そうな奴というところで、真田が何について言っているのかが理解出来た。
それはつまり、死神の事だろう。
「言っておくが、死神と出会ったら即座に逃げろよ。お前達だと、例えゆかりであっても戦おうなんて事は考えないようにな。出会ってから即座に逃げ出せば、命は助かる……かもな。運が良ければだが」
それは冗談でも何でもなく、実際に何度か死神と戦っている俺の純粋な経験からの言葉だ。
現在ペルソナ使いの中でも最強――あくまでも俺の知ってるペルソナ使いだが――のゆかりであっても、死神と戦おうものなら数秒持ちこたえられれば運がいいといったところだろうし。
それなら、遭遇したら即座に逃げ出した方が生き残れる可能性は高い。
……もっとも、ここに通じているターミナルが近くにあるかどうかってのが、生存率に大きく関わってきそうだが。
「死神?」
順平が首を傾げているが、その辺りの事情は俺が説明しなくても後で誰かがするだろう。
「とにかく、ゆかりと桐条が抜けてしまう以上、行くのは俺、真田、有里、順平の4人だな。ただし、基本的に俺は戦いに手を出すような事はしない。予想外に強力なシャドウが出てきて、どうしようもなくなった時とかに助けに入る、奥の手って奴だな」
実際俺が戦ってしまえば、2階、3階といった程度のシャドウは即座に死んでしまう。
俺が戦っているのを見学するのであればそれでもいいかもしれないが、今回必要なのは順平と……そして有里の実戦訓練だ。
ともあれ、皆が俺の言葉に異論はないのか、誰も口を挟まない。
それでいいよな? と確認の視線を桐条に向けるが、それを受け取った桐条はやがて小さく頷いて口を開く。
「アルマーの言う通りで問題ない。ただし……この場合、リーダーが必要だな」
「え? リーダー? じゃあ、俺ッチが!」
「……有里、頼む」
「ちょっ、え? 桐条先輩、なんでこいつが!?」
まさか本当に自分がリーダーを任せられると思っていたのか、順平が信じられないといったように叫ぶ。
模擬戦で思い上がりをへし折ってやったつもりだったが、どうやらまだ足りなかったらしい。
それとも一度へし折ったが、立ち直りが早すぎたのか?
ともあれ、この順平の性格はこれからタルタロスを攻略していく上で、間違いなく厄介な存在となるだろう。
普通に高校生活を送っている分だと、ここまで順平が目立ちたがるとは思わなかったんだけどな。
「有里は既に実戦を行っている。また、少し前に出た特殊なシャドウを倒したのも有里だ」
「そ、それは……じゃあ、真田先輩は!?」
「ん? ああ、俺か。俺は残念ながら味方を指揮するのは得意じゃないからな。自分で前に出て戦う方が慣れている」
「でも……」
「残念ながら、これは既に決定事項だ。……いいな、伊織、有里」
そう桐条に言い切られてしまえば、順平もそれ以上は何も言えなくなったのだろう。
完全に納得しているといった様子はなかったが、それでも不承不承黙り込み、有里は……
「……」
桐条の言葉を聞いているのかいないのか、返事をする様子はない。
いや、これは聞いていないな。
「有里、おい有里? 何をぼけっとしてるんだ?」
「……え? ああ、ごめん。うん、分かった僕がリーダーなんだよね」
俺の言葉で我に返った様子の有里だったが、その言葉通りきちんと話し合っている内容は聞こえていたのだろう。
すぐにそう言葉を返してくる。
いや、本当にお前何をしてるんだよと言いたくなるのは、決して間違ってはいないだろう。
「とにかく、話は決まったな。じゃあ、そろそろ行くか。それなりに時間が掛かってるしな。……ゆかり、じゃあここは任せたぞ」
「分かってるわよ。けど、アクセルもヘマしないでよ?」
「誰に言ってるんだ?」
俺の言葉に、ゆかりは小さく笑みを浮かべる。
ヘマをするという言葉を、本当の意味で言った訳ではないのだろう。
まぁ、ゆかりは俺の力を知ってる。だからこそ、向こうも気軽にそんな冗談を口に出来るのだろう。
にしても、桐条と2人だけでここに残るのに、思ったよりも拒否感がないようでよかった。
勿論これまでの経験から、ゆかりもそれなりに桐条に対して親しみを覚えている……とまではいかないが、嫌っている訳ではないというのは分かっていたのだが。
それでも、こうして普通に会話を出来るようになっているというのは、俺にとっては嬉しい事だ。
もっとも、ゆかりが多少なりとも心を開いているのは、あくまでも桐条個人だ。
これが桐条グループという括りになれば、当然のように嫌悪感に近い感情を抱くというのを知っている。
それだけ、過去に桐条グループから受けた仕打ちは許容出来るようなものではなかったのだろう。
影時間に関わっていく以上、桐条グループの協力は必須だ。
いつか、本格的にゆかりと桐条グループの関係改善をする必要はあるだろうな。
……いっそ、当時の責任者の首でも物理的に持ってくるか?
いや、そんな真似をしてもゆかりが喜ぶなんて事はないか。
そんな風に思いながら、俺はタルタロスの2階に向かって有里達と進むのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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