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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第六章 Perfect Breaker
  強者 倒るる

今までのあらすじ

祖を倒した観鈴
悪を撃破する蒔風
父を乗り越えた翼刀

各地の戦いは、次々に収束していく。

現在、セルトマンが召喚するサーヴァントは三体。

キャスター・ガラ
バーサーカー・ウィツァルネミテア
セイバー・赤銅の翼


現在、「EARTH」ビル内のガラを撃破すべく、オーズ、理樹、一刀の三人は進行中。
そのビルの足元では、ショウとセルトマンが交戦中。

サーヴァント枠は四つ。
召喚されるのは―――――――


------------------------------------------------------------


「ああもう!!次から次に!!」

「セイヤー!!」

「雑魚だからってさすがに多すぎるだろ!?」


「EARTH」ビルへと向かうその途中で、オーズ達三人はガラの先兵に足を止められていた。

メダルから作り出される、騎士のような姿をした兵士は、一人当たり十数体向かっている。つまり総数で30余りほどしかいない。
だが倒されてからの兵士補充があまりにも早い。メダルになって砕けたと思うと、一秒の間もおかずに再び現れてくるのだ。

よって、善戦しているが先の見えない状況となってしまっている。


「この・・・・早くあれを戻さないといけないのに!!」

「あの城の中の天秤を破壊すれば戻るはずだ!!」

「でも――――ッ、だからお前ら邪魔だ!!!」

ザギン!!と、見た目通りの金属音。
そんな音と共にナイト兵を南海覇王で斬り捨て、忌々しそうにビルを睨む一刀。

とはいっても、実際彼等にガラの城が見えるわけではない。

正確に言うとガラの城は、大聖杯に取り込まれた「EARTH」ビル内の中に作られている形だ。
チラチラと見えているカラフルな屋根は、はみ出してしまったものだろう。


遅々としてなかなか進まない。
だが、それでも三人は何とか先に進むことには成功している。

だがそれにかなりの時間をかけてしまった。
増援を呼ぼうにも、バーサーカーを食い止めるのに皆必至でこっちにまで手が回らない状況。


それでも諦めず、彼らはついにナイト兵らの隙間から「EARTH」ビルへの活路を見出した。


「見えた――――一気に行くよ、一刀君、理樹君!!」

「え」

《クワガタ!カマキリ!バッタ!!》

《スキャニングチャージ!!》

「セィヤァーーーッッ!!」


一瞬だけ見えた、「EARTH」ビルへの突破口。
そこが閉じないうちに、オーズは即座にガタキリバコンボへとチェンジした。

同時にスキャニングチャージ。
総数50にも及ぶ分身体が、ナイト兵を次々に蹴散らしていく。


すでにそこにいる30余りを、同数で蹴り、斬り、雷撃で砕く。
そして残った15で新たに出現するナイト兵を抑え込み、残りの数体で一刀、理樹を抱えて一気にその場を疾走していく。

「EARTH」ビルまで距離があるうちは、ナイト兵の補充や体力の消耗から使えなかった戦法で一気に突き進む。


「EARTH」ビル前へと到達し、オーズはすぐにタトバコンボへと戻り、こまめに脚の埃を払う。

そして、理樹と一刀がそこで見た もの とは



「やあいらっしゃい!!!今こっちも……終わったところだ」

そこに、到底信じられない光景があった。


足を突き出すセルトマンは、それを持ち上げるように右足を上げている。
その先端には、一人の男が引っ掛かっていた。脚は浮き、地面には剣が落ちている。

身体をくの字に曲げ、腹にめり込んだ爪先でぶら下げられているそのショウは、そこで力なく四肢を揺らしていた。


「ショウ!!!」

「あ、あいつがやられてるって……!?」


魔導八天の最高出力。
その放たれた雷撃を、セルトマンは魔力障壁一つで防ぎ、反撃したのだ。

魔力障壁は二秒と持たなかったが、ショウの懐へと飛び込むには十分すぎる時間。
そして、今この状況が生まれている。



「やはり描写が的確なのも困る。こうもあっさり勝っては面白みがない」

もともとは「EARTH」を相手にすることで、それを困難な障害とすることで「乗り越えていく、手に入れる」という実感を求めていたのだが、大聖杯をアーカイヴに接続したからか、この先までアーカイヴを閲覧できるようになってしまった。

その内容はあまりにも面白みがなく、“描写”も曖昧だったり省かれているところがあるのだが、詳しいところもあるにはある。
そういった欠点はある物の、いわばこれは、セルトマンにとっての必勝攻略本だ。よほど逸脱しない限り、彼に負けはない。


脚を振り、ショウの身体を放り捨ててからセルトマンは期待するような顔で三人に振り返った。


「さて、ここからは書いてない。勝利は決まっていてもやはり楽しみだな」

“その先”がある以上、ここでセルトマンが敗北することはない。
だがそれは彼にとって「RPGでのボス戦」と同じだ。勝つことは当たり前、その過程が楽しい。


「高防御と多彩能力。さらには仮面ライダーを同時に相手にするボス戦だ。さぁて、どう切り崩すか」

「「「ふざけるな!!」」」


ブレード、龍牙、メダジャリバー
三人が武器を構え、一斉にセルトマンへと突っ込んでいく。

前に出ようとするオフィナとフォンを片手で制し、自分がいくと意思を示すセルトマン。

「さあ、思い切りいかせてもらうぜ――――――!!」

楽しみはこれからだ、「EARTH」!!



------------------------------------------------------------


「ヒビキさん!!もう無茶だ!!!」

「なぁに・・・・まだ、まだぁ!!!」

バーサーカー・ウィツァルネミテアを相手にする二人の仮面ライダー、龍騎と響鬼。
シュートベントや鬼棒術・烈火弾で遠距離から攻撃し、さりとて距離は取りすぎず、被害を押しとどめながら戦っていた二人だが、これを相手にしてはとてもではないがジリ貧だ。

このウィツァルネミテアは、かつての世界で万物の頂点にいた「神」ともいえる存在の半身だ。
それを破壊、撃破出来うる存在は、そのもう半身であるハクオロを除いて他にない。

そのため 、彼が駆け付けるまでの時間は持ちこたえねばならない。
アリスも「EARTH」(仮)もない今、彼らが来るのは―――――


「お、音撃打・・・・・」

「ヒビキさん!!!」

「爆 裂 強打ァッッ!!!」

ドラグレッダーに乗り、ウィツァルネミテアの頭部と同じ高さにいた龍騎が、響鬼の名を悲鳴にも似た声色で叫んだ。


地面を抉るように振るわれてくる巨椀。
響鬼はそれに向かって音撃鼓を投げつけ、衝突に合わせて音撃棒を強打した。

生まれる音撃。吹き上がる炎。
音撃鼓は回転し、圧縮し、轟火を吹き上げてその掌で爆発。



「グッ、む!?」

その煙の向こうから、煤こけた程度のダメージを負った巨椀が、何ら変わらぬスピードで襲い掛かってきた。

音撃棒をクロスさせてそれを受ける響鬼だが、あまりの衝撃に左の音撃棒がボッキリとイッてしまう。
地面を撥ね、抉り、身体のいたるところを打ちつけながら二、三回バウンドして行く響鬼。

その響鬼へと、なおも迫るウィツァルネミテア。
その足が確実に彼の身体を陰に包み、そのまま踏みつけていく。


「ヒビキさんッッ!!クソッッ!!!」

《strike vent》


ここからでは到底間に合わない。
その顔面に向けてドラグレッダーと共に火球を叩き込み、こちらへと引き付けようとする龍騎だが、ウィツァルネミテアにしてみればその程度で止まる道理はない。

龍騎の抵抗もむなしく、その足は大地へと思い切り踏みつけられた。


「な――――――」

「大丈夫!!こっちで拾ってますよ!!」

絶句する龍騎。
だが、そこに津上の声がしてきた。

見ると、スライダーモードのトルネイダーに、今にも倒れそうなほど消耗した響鬼が膝立ちでそこにいた。
それと一緒に、手をこちらにヒラヒラと振ってきているアギトもいる。

ホッとする龍騎。
どうやら間一髪のところで掬い上げてくれたようだ。


ドォン!!

そうしていると、地上のウィツァルネミテアへと何かがぶつかった音がしてきた。

Wの所有する高速移送装甲車リボルギャリーが、ウィツァルネミテアの脚部へと体当たりをブチかましたのだ。
その大きさの体当たりはウィツァルネミテアの気を引くことには成功したらしく、ヒット&アウェイの要領でその場を離れていくそれを折って巨椀を振るう。

とはいっても、ダメージを与えられたかと問われるとそれは怪しい。
何せ全高7メートル余りのリボルギャリーが、ウィツァルネミテアにとっては「かなり大きめのラジコン」程度の大きさにすぎないのだ。


「怪獣相手かよ!!こっち来るぞ、フィリップ!!」

『あれは規格外の化け物。神ともいえる肉体をもった存在だ。まともにぶつかったら無茶だと言っているのに君は……危ない!!』

「うぉっとぉ!?」

リボルギャリーの内部で口論するWだが、フィリップの警告と共にハッチが開き、ハードタービュラーが飛び出していく。

いくらリボルギャリーが全力で逃げようとも、体躯の差が大きすぎる。
あっさりとウィツァルネミテアの腕はリボルギャリーを捉え、容易にひっくり返してしまったのだ。


だが、その動作はバーサーカーが故にか大振りだ。
振るわれた瞬間に、ウィツァルネミテアの眼前に、三人が現れた。


「『デアボリックエミッション!!』」

《ロイヤルストレートフラッシュ》

「火竜一閃!!」

リィンフォースとユニゾンしたはやて、キングフォームのブレイド、アギトとユニゾンしたシグナム。
三人の放った空間魔法、熱線、斬撃波が、ウィツァルネミテアの顔面に真正面からぶち込まれた。

ダメージが通ったかどうかはともかく、その威力はウィツァルネミテアの体躯を押し返すだけのものはあった。

グラつく身体。
そこにさらに、彼らの一撃が

「ラテーケンハンマァー!!」

「鬼神、覚声!!」


左足をリィンとユニゾンしたヴィータが、右足を装甲響鬼が、それぞれ叩き、斬る。
胸から地面に倒れ込み、唸り声と共に顔面を突っ込むウィツァルネミテア。

そのまま止まるかと思われるほどの強烈な一撃だが、倒れてから間髪入れず、相手を黙視することなくまず腕だけが振り回された。
とにかく攻撃を、と言ったようなそのスタイルに絶句する一同。

長いリーチで攻撃したとはいえ足元にいた響鬼とヴィータは、バタバタと地面で暴れるウィツァルネミテアの四肢から逃れ、隙間から一気に上空へと逃れる。


「大丈夫か?」

「ああ。それにしてもなんて鍛え方してるんだあれは」

『いや、あれは最初からああだよ』

ハートタービュラーに着地した響鬼が、それを聞いて呆れるような声を出した。
周囲には同じように宙を飛んで、ウィツァルネミテアを囲むように旋回しているライダーたちとはやてたち。


「ディケイドはどうしたんだよ!?」

『彼はあっちだ、「EARTH」側だ』

「ああ、あっちのひっくり返った方か」


破壊機構を積んだディケイドやディエンドがいればまだ勝機はあったかもしれないが、彼らは翼刀の方へと飛ばされてしまっている。
彼等ならこちらへと来ることも容易そうではあるが、なにぶんあっちには(こちらの彼等は知らないが)赤銅がいる。


「とにかく、ハクオロさんが来るまでの時間は稼がないとな!!(フォン)」

「今うちのシャマルが迎えに行ってる。行ったことない場所だから時間かかる言うてたけど、そう時間はかからん筈や」

「じゃあそれまで、俺達で何とかしましょう。ハァッ!!」

龍騎とアギトが会話の節でカードを取りだし、ベルトに手を当て、それぞれがサバイブ、シャイニングへとフォームチェンジする。

ウィツァルネミテアはというと、ようやく暴れてもだれにも当たらない事に気付いたのか立ち上がり、自分よりも高いところを飛ぶ彼等に向かって咆哮してきていた。
そして方向と共に開いた大口から、一気に巨大な火球弾が放たれてくる!!


「アブねぇ!!」

ハードタービュラー、ドラクランザー、トルネイダースライダーモードが速度を変え、その場から回避していく。
はやて、シグナム、ヴィータの三人も飛び回り、その周囲を旋回することで攪乱して行った。

暴れると言うなら暴れればいい。
こちらはこいつをこの場に押しとどめられればそれでいいのだから。


だが、そうはいってもこいつはどうしても「動く」のだ。
そのままでいるなど、ありえない。

火球が当たらないとなると、今度は巨椀を振るって叩き落とそうと襲い掛かってくる。
高度を上げてその攻撃に対処するが、ウィツァルネミテアの腕は伸びる。

伸びる程に細くなっているが、その威力にいささかの軽減も見られない。
ブンブンと振るわれるその範囲はあまりに広く、さらにそこに火球まで加えての猛攻撃。

こうなってくると、翔太郎の言うとおりただの怪獣だ。若しくは、全方位型の攻撃要塞。
その広範囲の攻撃は、やがて彼等を回避させきるには難しくなってくる。



まず最初に捉えられたのはシグナムだ。
火球を回避しきれずレヴァンティンで切り裂いた彼女だが、一直線にウィツァルネミテアの腕が彼女へと向かう。

「やべぇ!!フィリップ!!」

「ああ」

《ルナ!ジョーカー!!》

その真上にいたWは、ソウルサイドをルナメモリへとチェンジし、伸ばした腕でシグナムの身体を掴んで一気に引き上げた。



またもう一方の腕はヴィータを執拗に狙っていた。
グラーフアイゼンのブースターを使ってまで加速しているヴィータだが、その腕は徐々に彼女の足元へと迫って横薙ぎされている。

その腕を龍騎サバイブのシュートベント・メテオバレットによるレーザー掃射で軌道をわずかに逸らす。
さらにアギトのシャイニングライダーキックが弾き飛ばし、その隙にヴィータが紅弾を飛ばしてウィツァルネミテア本体へと攻撃した。

ダメージ云々より爆発による目くらましを狙ったものらしく、その隙に離脱していく三人。

そしてその目くらましの中、顔を振ってそれを晴らしたウィツァルネミテアへと、響鬼とブレイドの刃が振り下ろされた。


「ハァッッ!!」

「ウェァア!!」

鬼神覚声に、ロイヤルストレートフラッシュ

そのダブル斬撃に両肩ら真っ直ぐ下へと切りつけられるウィツァルネミテア。
肩から胴を斬られ、ダラリと上空を仰ぎ見て腕を垂らす。


地面に着地した二人は、その場から前転で離れ、振り返って止まったバーサーカー見上げた。

もしかしたら、これで動かないか?
そんな期待を込めた眼差しだが、当然それで済むわけもない。

「グヴヴォぁァァアアアアアアアアアア嗚呼!!!」


咆哮と共に、再びウィツァルネミテアが動き出す。
肩に力を入れ、腕を上げようと唸り、ギラリと地上の二人を睨む。

だが流石にこの二人の攻撃の熱量は凄まじく、メキメキと修復されてはいるがあと30秒はかかるだろう。


無論、驚異的な再生速度だ。
だがその30秒を待てるバーサーカーではない。

「ヴァッッ!!」


地団駄を踏むようにして大地を揺らし、響鬼とブレイドがほんの少し宙に浮いた。
そしてその彼等に、ウィツァルネミテアの暴れまくる蹴りがぶち込まれていったのだ。

ズンッッ!!という重い衝撃に、響鬼とブレイドは一塊になってすっ飛んでいく。

荒れた地面から突出した岩や地面そのものへと突っ込んでいく二人。
ただその一撃で二人は通常フォームへと戻され、ぐったりとそのまま動かなくなる。



「剣崎さん、ヒビキさん!!グォッ!?」

二人の元へと向かおうとするアギトだが、トルネイダーの後部を火球が掠めていく。
それを回避して高度を上げるが、伸ばされてきた腕がついにぶつかった。


スライダーから飛び降り、直撃を避けたアギトだが、的なのは依然として変わらない。
その彼へと火球が吐き出され、彼の姿が炎に消える。


「ハァッ!!」

が、その火球を真っ二つに切り裂きアギトがシャイニングカリバーでウィツァルネミテアへと切り掛かる。

ウィツァルネミテアは両方の腕を治すより、まずは片手を治すことにしたらしい。
ならば狙うは、まだ修復途中の左肩。


普段ならライダーキックの際に現れる紋章が、彼の眼前に出現する。
それを通過し、エネルギーを刃に込めて左肩へ。

ヌブリという嫌な感触がして、刃が食い込む。間違いなく。


だが、そっから先を斬り裂くよりも早くウィツァルネミテアの身体が回転した。
振りほどこうとしたその場での一回転だが、スケールが違いすぎる。

アギトの身体は容易に吹き飛ばされ、木々を薙ぎ倒して大地に墜ちる。


そうしているうちに左腕も回復。ふたたび伸ばして、ヴィータを狙う。

その腕を、シグナムがレヴァンティンを連結刃とし、腕に絡めてそれを遮った。
レヴァンティンのカートリッジ、残り総てを一気に輩出してそれを留めるが、逆にクンッ、と引かれてシグナムの身体が引き寄せられていく。

一見無防備、これにて終了といった光景だが、その勢いを利用してシグナムは突っ込んでいく。
連結刃を戻し、刃に大火を纏わせ、あらんかぎりの魔力をつぎ込んでいき、この一撃を確実に叩き込む準備を終えた。

更にその後方から、ドラグランザーの援護。
ファイナルベント・ドラゴンファイヤーストームを発動させ、宙で変形させたバイクモードのドラグランザーに跨った龍騎が彼女の背後に飛び出してくる。

突っ込むシグナム。
その後方からの、無数の炎弾。さらには突撃してくるドラグランザー。



爆発、炎熱によってウィツァルネミテアの視界は狭まり、シグナムの刃はついにウィツァルネミテアの眼球へと至った。


「ギャルォォおおおおおおオオオオオオオオオオオオ!!!」

流石に痛むのか、右目を潰されたウィツァルネミテアは自らの頭を大きく振り、更にはその巨椀をブチ当てた。
その平手打ちは、当然その場にいたシグナムの身体を叩きつけて地面へと落す。

更にはその後を追ってきた龍騎を、ファイナルベントの発動したそれであるにもかかわらず暴れまわった勢いでの頭突きで落とした。


そこで、バーサーカーは気づく。
自らの背後に溜まる、膨大な魔力の塊。

振り返るとそこには、巨大な魔法陣――――三角形を基本とした、古代ベルカ式の魔法陣だ。

詠唱者は八神はやて。
白く輝く魔法陣は、その三つの頂点に魔力を溜めこみ、終焉の笛と共に放たれる砲撃魔法を展開させた。


「響け、終焉の笛……」

「グルァ!!」

そのはやてを潰そうと、ウィツァルネミテアの腕が伸ばされた。
ここまで来たのに、とはやての顔がその攻撃にひきつった。

だが、その目の前に飛び出してきたWがそれを遮る。


「させっか!!」

《ジョーカー、マキシマムドライブ!!》

発動するマキシマムドライブ。
形態はサイクロンジョーカー。技の名はジョーカーエクストリーム。

その腕を真正面から止めようと、身体が分かれて飛び出していこうとするW。

しかし


ガッ!!

その身体は、解れてスライドするよりも早くその巨椀に捕まってしまった。
マキシマムドライブを打つこともできず、拳の中に消えるW。

だが、Wの形態はまだこの先がある。


《エクストリーム!!》

「『ハァッッ!!』」

更なる変身。
サイクロンジョーカーエクストリームへと強化変身した彼は、その指を引き剥がして脱出する。


「いくで!!」

「ああ!!ビッカーファイナル」

「ラグナ」

ベチィッッ!!!


二人の砲撃。
だがそれは発射されることなく、その前にウィツァルネミテアの反対の腕によって真上から叩き伏せられてしまった。


「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

勝利の雄叫びか、戦いを求める咆哮か。
その場にいる全員を叩き伏せ、空に向かって吼えるバーサーカー。

だが、彼等に息があると知るとそれを踏みつぶそうと脚を上げる。


そして、それが降ろされていき――――――


「倒れている皆の避難をお願いする」


「わかった。いくぞ!!」

《フュージョン・ジャック》

《カッター・ウィング》

《advent》

《アクセル・アップデート。ブースター!》



「はやてちゃん!!」

「あ・・・・シャマル・・・・」

現れたのは、ギャレン、バース、ナイト、アクセルらの仮面ライダー。
そしてシャマルも加わり、倒れた彼等を回収、安全な場所まで運んでいく。飛行能力を持った彼等なら、それは容易だろう。


その間ウィツァルネミテアはというと、持ち上げた脚をそのままにビタリと動きを止めていた。

まるで見えない巨大な腕に掴まれているかのようだ。



周囲の皆の避難が終わったことを確認すると、それを頼んだ男性はその鉄扇をパチンと閉じ、その怪物を見上げて呟く。

「よくもやってくれたな。だが、これ以上は・・・・させん!!」



その男、ハクオロは、自らの仮面に手をかけると突如としてその姿を変える。
昔はほぼ暴走状態での変化だったが、この世界ではどうやら安定するらしい。

ウィツァルネミテアとの違いは、わずかな色彩の差。

彼もまた、ウィツァルネミテア。
バーサーカーが分身ならば、彼は空蝉。


「ゴル・・・・・」

『以前は苦戦したが、今回は違うぞ』

ハクオロの声が響く。
ウィツァルネミテアと同じ大きさになった彼の声には、明らかな敵意が込められている。


『理性を失い、目を潰され、ダメージを負っている。その貴様を倒すことなど、容易い!!』

「ゴルァッッ!!!」

大顎を開き、バーサーカーの口内に炎があふれる。
しかし、ハクオロはその嘴のような顎を掴み、強引に閉じさせた。

隙間から炎が漏れ、それを開けようと必死に暴れるバーサーカー。
だが彼の腕は外れず、じたばたとするだけで全く外れない。


そして、宙へと放られる。
身体が浮くバーサーカーだが、これは好機だと溜まった炎を吐き出そうとさらに溜めた。

瞬間

バグォッッ!!!


その口に向かって、ハクオロからの炎弾が飛来した。
威力は(彼等にとっては)大したものではないが、その速さはバーサーカーの口内の炎へと容易に至った。

そして、それはそのエネルギーを誘爆させ、バーサーカーの頭部をきれいさっぱり吹き飛ばすほどのものであった。


『自らの力に滅ぶ。まさしく、らしい最後だ』

口から煙を吐きながらそう言い、元の姿へと戻るハクオロ。



一方、ハクオロの発射した炎弾はそのまま突き抜けており、それは「EARTH」ビルへと命中し、その一角を吹き飛ばしていた。

地上でセルトマンと戦っていた一刀たち三人からすれば、頭上の爆発は驚くべきことだった。


そして、それと同時にその場の何かが喪失し、少し遠くでは地面が浮き、ひっくり返っていく様子が見えた。
どうやらあの炎弾、ガラの居城を、彼女諸共見事に吹き飛ばしたようだ。


「やったの!?」

「あれ・・・でもこれ俺らがここに来た意味は?」

結果に喜ぶ理樹。
そして、映司の言葉に三人が黙る。


「「「・・・・・・よし」」」

「よし?」

「「「行くぞォォおお!!!」」」

「うわぁ、もしかしなくても八つ当たり!?」


更に士気を上げ、勢いを増してセルトマンへと仕掛ける三人。
八つ当たりではない。決して違う。これはきっと、目的を達したから士気が上がっているのだ。たぶん。


------------------------------------------------------------



「戻った!!」

「観鈴、大丈夫か!!」

「あ、うん!!舜さんも大丈夫?」

「こっちもへーき。てかセイバー来たの?」

「ええ。こちらももう落ち着きましたから」


「EARTH」へと戻ってきた彼等の内、まず観鈴と蒔風が合流した。
観鈴が連れてきた(連いてきてくれた)セイバーに気付き、味方が増えたことに喜ぶ蒔風。

ということは、後懸念すべきは翼刀の方だ。


あちらには確か、ブレイカー・鉄翔剣が行っていたはず。


そして、「EARTH」(仮)へと走り、彼らが見たものとは――――――!!!!


「「「赤銅!?」」」

「あ、おひさでござる」

「「「そしてござr」」」

「それはもう何度もやったでござる」


クラウドと剣を鍔迫り合い、ギリギリと押し合っている赤銅の姿がそこにあった。
ちなみにクラウドは開翼状態。加えて汗だく。そして膝立ちだった。

基本的に手を抜けない制約のあるサーヴァント。
世界四剣を貸してくれという彼女は、それまでの時間をこうして過ごしていた。

つまり、全力で押し比べをしている、ということだ。



「ちょ・・・・もう・・・むり・・・・」

「クラウドーーー!?」

ふとした一呼吸で崩れてしまいそうなほど力を入れたクラウドが、プルプルしながら絞り出すようにつぶやく。


さらにそこに、翼刀が唯子たちを引き連れて帰ってきた。


「「赤銅!!!」」

「あ、翼刀の君。なつかしいでござる」

「「そしてごz」」

「だからもうそれはいいでござる」


幸か不幸か偶然か。
彼女の求める、世界四剣がそろってしまった。


一体彼女は、四剣を使って何をするつもりなのか――――――?



to be continued
 
 

 
後書き

セイヤーとスキャニングチャージの順番はあれでいいですよね!?


さて、なんやかんやとガラがやられてしまいました。
一言の台詞もなく。

三人がセルトマンと戦えているのは、彼がひとえに楽しんでいるからです。
必要とあらば瞬殺――――まではいかないですか、理樹がいますし。

でもあんな威勢を吐けるほどの状態ではいられませんね。
セルトマンが楽しみ屋さんでよかった。

や、まあやばい相手なのは変わりませんが。



ショウ
「俺転がりっぱなし」

お前は転がってても人気一位とれるからいいだろ。

ショウ
「何その評価!?」


そして何気に、仮面ライダーバースめぐ銀初登場。

Q.こんなんでいいのか武闘鬼人。

A.これでいいのだ

いいのだそうです。


果たして、赤銅がやろうとしていることとは!?
もう少し頑張れ!!耐えろクラウド!!!


赤銅
「次回。働きたくないでござる」

翼刀
「ドユコトー!?」

ではまた次回 
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