世界をめぐる、銀白の翼
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第六章 Perfect Breaker
脅威顕現
これまでのあらすじ
大錬金術師ガラの力により、「EARTH」敷地内は三か所を別の土地と入れ替えさせられてしまう。
その内の一つ。
「EARTH」(仮)を巻き込んだ転移先は、なんと翼刀と唯子の故郷であった。
封鎖された街。止まっていた時間。
鉄家の道場の中で、それが再び回りだす―――――
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「いざ、尋常に勝負」
そのありきたりな言葉を言い終わらないうちに放たれた翔剣の拳。
突進と共に拳を突きだし、同時に放つ不動拳。
つまり、唯子が使用する「パニッシャ―パンチ」
正式名称「鉄流不動拳 第一奥義・動不動拳」
それを初撃にて受け止め、ふきとばされながらも口角を上げて睨むように笑う翼刀。
だが、決して余裕から来るものではない。
この男の力はとてもではないがその程度では終わらないからだ―――――!!!
「行くぞ!!」
気合一発。
駆け出していく翼刀に対し、翔剣は構えすらもしない。
翼刀の振るわれる拳を、スウェーと体捌きのみでヒョイヒョイと回避していく。
まるで落ち葉を狙って殴っているようだ。
当然、翼刀にはそれを打つ技術はある。
ただ単に、翔剣の身のこなしは、落ち葉のそれを凌駕するというだけのこと。
パンッ!
「うぉ」
そして、軽い足払い。
しかし軽いとはいっても、翼刀の左足は完全に宙に浮き、上半身がぐらりと揺らされる程のもの。
そこに打ち込まれる肘打ち。
水月(鳩尾)の部分に叩き込まれるそれを翼刀は仰向けに落ちていく身体で、何とか両手で受け止める。
ドフッ!!と背中から地面に落ち、衝撃が肺の空気を押し出そうとする。
それを、衝撃を流すことでそれを防ぎながら、顔面に振り下ろされる踵落としを回避――――
「墳っ」
「っつぇ!!?」
語気は強いわけではない。だがそれでいて、その威力は押して図るべし。
振り下ろされた踵は地面を砕き、転がって逃れようとした翼刀は四分の一も身体を返さないうちに、爆ぜた地面の衝撃に打ち付けられる。
(が・・・・これ不動とかじゃねぇぞ・・・・ただの踵落とし・・・)
否。そこまで考え、翼刀は認識を改める。
あれは踵落としですらない。
足元に敵がいる。踏みつけるか。その程度。
あれは技ですらなく、まだ「ただの動作」程度の動き――――
「ゆ、唯子さん!!」
「思ったより動かないから見届けとしては楽だけど・・・・・ん?あれ、さやかちゃん?」
二人の戦いを、すぐそばの民家の屋根の上から見ていた唯子のもとに、さやかと杏子、そしてマミがやってきていた。
三人からすれば、急に始まった戦いだ。何が起こっているのかまるで分からない。
唯子は簡単なあらましを三人に話し、その間も下の二人から目を離さない。
「け、継承式?」
「うん・・・・私も翼刀から小さいこと聞いてたんだけどね。これ読んでみると・・・・・ヤバいね」
「翼刀さんが?」
「鉄流奥義って、オジサン結構使えるからそれが普通だと思ってたんだけど・・・本を開けばあら不思議。あの人が化け物、って言われてた理由がわかったわけで」
それだけの説明ではまだ疑問が残る三人。
唯子はちょっと目を離せないと言って、彼女らに本を渡して読むように促す。
代々続く者をそんな簡単にいいのかとマミが悩むが、そんな心配を完璧に無視して杏子が開いた。
「ちょ、佐倉さん」
「えーと、なになに・・・・・」
『鉄流不動拳・継承の儀』
現当主は次期当主となる人物を認めた場合、この儀を執り行うことを宣言する。
宣言から儀式実行までの期日は三ヶ月。
その間は、決められた日時が来ずとも次期当主の宣言によって開始することができる。
次期当主となる人物は、親族を最優先にされ、次いで遠縁、そして門下生とする。
次期当主の最低認定条件は、不動の理の修得。
次期当主は儀の中において、第一奥義の修得と新たなる奥義の完成・修得を表さなければならない。
それを踏まえ、現当主が認め冠する名を宣言されたとき、次期当主を新当主と認める。
(廃文)
以下の掟を適用するべからず。
・次期当主と現当主の儀は、現当主の絶命を以って終了・継承とする。
「・・・・・ふつーじゃん?」
「昔は殺し合いだったって言うのはすごいけど、今はないみたいだし」
「まあ今回ばかりは仕方ないわよね・・・・唯子さん、これのどこが?」
掟の部分を読み、なおもわからない三人。
唯子は言葉ではなく手振りで応え、次を読んでと促す。
「ん、と・・・・マミ」
「はいはい。もっと漢字勉強しなさい・・・えっと。え?」
「これ、おかしくないですか?なんで?」
彼女たちがめくったページ。
それは、歴代の当主たちの記録だ。
そこには彼らが完成させてきた奥義が並んでいるが、そこにあるのは――――――
ドドドッ、ドォン!!!!
翼刀の放った拳。
その衝撃を受け流し、相手へと送り返す翔剣。
しかもそれはそのまま送り返すものではない。
それは翼刀の背後へと回り込ませてのものだった。
背中から来る翼刀の放った物であった五撃と、正面の翔剣自身の拳。それを挟み撃ちに喰らい、翼刀の口内に鉄の味がし始める。
「ゴ・・・ぷ・・・・」
前からの衝撃のほうが強かったからか、後ろに吹き飛んだ翼刀が倒れそうになる。
ズシャァ、とその場に崩れて行き、しかしそれでも体勢を崩さないよう膝でどうにかこらえた。
「これが第十一奥義。流打」
鉄流の当主たちは、その儀において常に新しい奥義を編み出してきている。
つまり、18代目である翼刀の時点ですでに、奥義は17あるはずだ。
(だ、だが・・・・・現時点で鉄流の奥義の数は――――16)
霞んでいく視界の中で、翼刀は記憶をたどる。
歴代当主たちは第一奥義と自身で作った奥義。
それを儀の中で表してきた。
「つまり、鉄流って代を重ねる度に強くなる?」
「でも、ここにはそれは絶対じゃない・・・って」
本を眺める三人は、どういうことかと唯子に視線を向ける。
今度ばかりは仕方ないと、唯子は口を開いてそれに答えた。
「もう少し先まで読むとわかるんだけど、難しく書いてあるからちょっと噛み砕くね?簡単に言うと、当主が使える奥義は二個しかないのよ。だから、代を重ねた方が必ずしも強い、ってわけじゃないの」
「「「・・・・・・え?」」」
第一奥義・動不動拳
そして、自分自身の編み出した最新の奥義
その二つを表すのがこの儀ではあるが、それ以外は述べられていない。
というか、無いのだ。書くことなど。
なぜなら、最初の奥義を除き、その全ての奥義は「当人にしか使えない」奥義なのだから――――!!
「どういう技かは、確かに記録が残ってる。でも、その修得はその人以外にできた人はいないの」
記録によると、二代目は三代目候補者である息子に、自身の技も修得させようとしたらしい。
だがそれはどうやっても出来ず、意を決した修行も効果はなく、挙句の果てには死んでしまったらしい。
その後、兄の跡を継いで弟も修行に臨んだが失敗。
死亡することはなかったが、また候補者を失うのを恐れた二代目は、新たな掟を書き加えた。
一つは、候補者の優先者の追加。親族のほかに血族、更には門下生まで加えた。
そしてもう一つ。
これは継承の儀には関係のない掟。
それは「第一を除く奥義の修練を禁ずる」というものだった。
「・・・・あれ、でも」
「そう、オジサンは第一以外の奥義も使ってる」
彼女らが見たのは、歴代当主が新たに開発した奥義の名。
しかし、翔剣の所にはそれが記されていなかった。
「じゃあ・・・・あの人は奥義を?」
「作ってないんだと思う。でも翼刀のおじいちゃんも、認めるしかないよね。だって―――――」
ザリ・・・・・
ユラリと立ち上がる翼刀。
すでに血を吐き、身体の中も外もボロボロだ。
戦闘開始からまだ6分。
それだけですでに翼刀はかなりの負傷をしていた。
(鉄翔剣・・・・歴代当主はそれぞれ奥義の名や、連想させるような名を冠してきた)
さっきまで使ってきた奥義の当主達も、それぞれが「動不動の飛翔」や「挟撃の鳥久」と言われた。
(にもかかわらず、この男の名は「怪物・鉄翔剣」・・・・・この男は・・・・・)
「翼刀のオジサンは、初代から16代目までの、全部の奥義を使えるんだから・・・・・!!」
これが、あの男が「怪物」と呼ばれた所以。
何の因果か生まれてしまった「鉄流不動拳」の集大成―――――!!!
「歴代当主たちが、継承の儀において超えるべきなのは、あくまでも先代。だが、わかるな?お前の相手は」
「ああ・・・・俺が超えるのは―――――」
(―――――鉄流その物、だ)
それだけの奥義が使える以上、彼の父、翼刀の祖父も認めざるをえなかった。
新たな奥義はなかったが、その過去の総てを持ちだされては何も言い返すことなどできようもない。
「ふぅっ」
翼刀が軽く、息を吐き出す。
痛むはずの腕をブルブルと振って、凝り固まった全身をほぐしていく。
「?」
翔剣はそれを、訝しげに眺めていた。
叩き込んだ奥義は、相手が息子であろうとも手加減することなく打ち込んだ。
まだ二個しか使ってないが、その他の打撃などのダメージもある。とてもあんな「なんでもないぜ」というような顔などできるはずも――――――
さて、こっからが本番だ、親父」
翳される手。
そこに現れる、世界四剣の一。
神剣・ヴァルクヴェイン
これもまた、代々受け継がれてきた剣。
その経緯、理由は歪められたものだとしても、間違いなくこれは「ヨクト」の物。
「武器があって反則なんて・・・いまさら言いはしないだろ?」
「継承の儀に置いてはすべての武器の使用が認められている。問題はない」
掟に触れないから大丈夫。
そう堂々と言う言葉には「掟という壁がなくとも別に俺は構わない」という意思が込められていた。
ヴァルクヴェインの効果で、再び戦えるまで回復する翼刀。
昨日から翼人の回復に使用してきたため万全までではないが、まだこれだけの回復はできる。
(とはいえ、精神的に来るな・・・・できればこれ以上は多用したくねー)
ビッ!!と剣の切っ先を翔剣と向け、狙いを定める翼刀。
対し翔剣は、拳を握り、腕を引き、やっと構えと言える動きを取る。
「来い」
「オォッ!!!」
翼刀が一回転からの薙ぎ払い。
無数に発生した刃の鉄片が、翔剣に対して刃幕となって飛来していく。
それを、この男は真正面から受けていく―――――!!
「第五奥義・撃太鼓!!!」
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「さて・・・・あっちは翼刀さんですかね?」
遠くから聞こえる衝撃音。
その方向を眺めながら、アリスが「ん~」と身体の筋を伸ばして準備に入る。
服装は、彼女の戦闘時に着るノースリーブのワイシャツに、ヒラヒラと広がるロングスカート。
その目の前に立つのは、スレンダーなバリアジャケットに身を包んだ陸戦魔導師。
ギンガ、スバルの母にして、格闘技の師匠。
「じゃあクイントさん。こっちも始めますか」
「あら、今までは始まってなかったんですか?」
挑発的、というよりは挑戦的な口調で聞き返すクイント。
先ほどまでアリスは、彼女から逃げるようにこの街を駆けていた。
クイントの張り巡らせるウイングロードは、地上空中上下前後左右を問わず展開される。それに取り込まれると、もはやある種の結界だ。
もし取り込まれてたとして、「EARTH」(仮)にも被害が及ぶだろう。
ならば、最初にすべきは距離を取ること。捉われぬこと。
しかし移動、逃走を第一に置いたアリスをして、逃げ切るのは容易ではなかった。
単純な機動力なら、クイントの方に軍配が上がるのが現状だ。
そこを駆け抜け距離を保つのに、アリスはかなり苦心していたらしい。
「ですが、それもここまでです」
フワ、とスカートを翻し、掌を構えるアリス。
ニコリと笑って、クイントへ。
「ここまでくればもう大丈夫でしょう。あなたとの戦いは、中々大変そうですからね」
「結構評価してくれるのね・・・・じゃ、始めましょうか?」
「ええ・・・・・」
ダンッッ!!と弾けたように駆けだすクイント。
彼女が操る武術は「シューティングアーツ」
打撃系に重きを置いた、まさに「打ち出すため」の戦闘方だ。
クイントの両手に装備されたリボルバーナックルが、魔力を吸い上げて高速回転する。
練り上げられた魔力は、リボルバーの回転によってその破壊力を増していく。
「ハッ!!!」
そして打ち出される拳。
左拳のジャブから、右拳の本命。
アリスの実力はまだ図りきれていないクイントだが、一撃を入れるだけの自信はあった。
その左拳のリボルバーナックルが、同じように「左拳に装備されたリボルバーナックル」に弾かれるまで。
「な!!」
そして次いで突き出される右拳は、あろうことかまた別の一人の腕に捕まれ背負い投げで体ごと持って行かれた。
アリスの前に現れたその二人は、クイントと同じ装備をしていた。
違う点は、脚にはめられたローラーシューズ型のデバイスに、片腕ずつに装着しているリボルバーナックル。
目の前に現れたその二人をみて、アリスは先ほどのセリフの続きを述べる。
「この二人が、ですけど」
「お母さん!!」
「母さんの相手は・・・・私たちがするわ!!」
「ギンガに・・・スバル?」
不意に現れたとはいえ、真正面から自分の攻撃に的確な対処をした。
クイントが死んだのは、彼女たちがまだ5歳か4歳のとき。
それから十年以上も経っているのだ。当然、その成長を知らない。
「あの子たちが・・・・こんなに大きくなって」
「お母さん、いろいろ話したいことはあるけど・・・・」
「そうねぇ。でもこれがなかなか・・・・戦いたくてしょうがないのよね」
セルトマンの呪縛。
許された自由意思の範囲は広いが、それだけは許されていないらしい。
それを知ったうえで、二人の娘は母に告げる。
「大丈夫。きちんと倒して見せるから!!」
「私たち、皆で!!」
「・・・・・みんな?」
スバルの言葉に、疑問を浮かべるクイント。
どうやら今ここにいる彼女たちだけで戦うわけではないらしい。
しかも、結構いるみたいな・・・・・
「みんな!!」
「やっと出番かよ!」
「まあそう言うなよ」
「さ~あ、行くッスよ!!」
「うむ。では、いざ!!」
ドドド、ドン!!
その合図と共に、四人の少女がクイントの周囲の民家の屋根に降り立つ。
その少女たちは皆別の武器を手にして、そして
「ノーヴェ・ナカジマ!」
「ウェンディ・ナカジマ!」
「ディエチ・ナカジマ!!」
「チンク・ナカジマ!」
「そして、ギンガ・ナカジマと」
「スバル・ナカジマ!!!」
「うわぁ、ナカジマゲシュタルト崩壊・・・・」
次々に名乗りを上げるナカジマシスターズ。
それを聞いてゲンナリするアリスと、目をパチパチさせて驚くクイント。
「わーお・・・・いつの間にこんな大家族・・・しかもゲンヤさん、しかもこんな小さな子まで!!」
「私は姉だ!!!」
「えぇええ!?」
戦いの雰囲気はどこへやら。
完全置いてけぼりのクイントに、ギンガが手際よく説明していく。
「かくかくしかじか」
「そう・・・その子たちも・・・・・」
事情を聴き、少し悲しそうな顔をするクイント。
だが、すぐに頭を振って笑顔を見せる。
「凄いじゃない!!スバル!!」
「え・・・うん!!」
ビシッ!とサムズアップで褒められ、喜ぶスバル。
そして
「じゃあ行くよ、お母さん!!」
「ええ、いらっしゃいスバル。ギンガ。そして・・・知らない間に増えた子供たち」
初めて会ったチンク達を含め、すべてを自らの娘として。
腕を広げ、そして脇を締め。拳を構え、腰を落とす。
その全身に、力が込められていく。
「あなたたちの力、見せてちょうだい!!」
「「「「「「はい!!!」」」」」」
そうして飛び出していく娘たち。
こちらは大丈夫だ、と一安心しながらアリスは少し遠くを見る。
(これだけ離れれば「EARTH」(仮)に被害はないですね・・・・それよりも)
トッ、と軽く飛んで、ふわりと民家の上に立つ。
眺める先は、「EARTH」(仮)の方向。
(なにか・・・・来る・・・・!!!)
双眸をギチッ、と細め、そこを強く睨み付けるアリス。
建物にはクラウドが守りについている。彼がいれば大丈夫だと思えそうなものだが。
(何でしょうこの感覚・・・・)
肌がザワザワする。
クラウドの強さを疑うことはなく、逆に安心してもいいはずなのに、とてつもない不安感にかられた。
「一体、何が」
何が来ると言うのか。
そして、「EARTH」(仮)の前に、裏返った地面を浸透してきた魔法陣から、七体目のサーヴァントが召喚された。
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「できた!!ようやっと第二段階に行けるぞ!!」
予定通りなのだろうが、それでも実際にできたことはうれしいらしく、セルトマンが楽しそうな顔をする。
だがルートが確立できただけだ。そこにラインを通さねばならない。
「まあ「こいつ」は俺が相手するとして――――時間稼ぎをしてもらうぞ、セイバァー!!!」
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「あ、あれは・・・・・!!!」
飛び出して行くアリス。
様子見として、距離を取っていたのが災いした。
ここから「EARTH」(仮)までかなりの距離だ。
アリスでも全力で向かって、8秒。
実際に向こうで「彼女」を相手にする以上、息切れなどしていられないからそれよりもかかる――――!!
「クラウドさん!!!!」
それでも、アリスは7秒で向かうほどのスピードで飛び出した。
たとえ体力が続かなくとも、そのまま彼女に突撃するつもりなのだろう。
同時、クラウドに向かって声を荒げる。
聞こえるわけなどない距離だが、それでも翼人ならばもしかしたら通じるかもしれない・・・・・
しかし
スッ――――ポゥ
「え」
ズ――――ダガゥッッッ!!!
彼女のかざした掌から放たれたエネルギーが呆気のない発射音と共に打ち出され、クラウドがいたはずの建物を地面ごと抉り取りながら、それに直撃、吹き飛ばした。
それを遠くから眺めていたアリスは、顔を真っ青にしてそれでも向かう。
土煙に覆われる「EARTH」(仮)。
彼女は向けた掌をおろし、曇った窓ガラスを拭くように振る。
すると、旋風と共に煙が晴れた。
「ゴ――――アァ・・・・・」
ズ、ズン―――!!!
現れたのは、崩壊した「EARTH」ではなかった。
断末魔にしては弱々しい唸り声をあげ、全身から煙を上げて崩壊していくバハムート零式だった。
「すまない」
その召喚獣に謝りながら、それを踏み台にして飛び出していく男が一人。
大剣を振るい、全力を以って彼女の脳天に向かって振り下ろす。
男の背には漆黒の翼。クラウド・ストライフが、多少余裕のない表情で攻撃を繰り出した。
その剣を、彼女の剣が受け止めた。
剣は彼女の手になく、フワフワと浮いて使役されている。
彼女の背にも、また翼。色は赤銅。司るは憤怒の感情。
「ついに来たか・・・・赤銅・・・!!」
最強の翼人。
17の世界の破壊者。
世界四剣の一、開剣Χブレード所有者。
怒りの翼。
「EARTH」がかつて対峙した、最強の敵。
セイバー・赤銅の翼、召喚。
「さあ、いざ参らん・・・・」
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「マジかこれ・・・・・」
蒔風が右手を動かすと、ジャラリと音がした。
その鎖の先は、左手につながれている。
「ど、どうするのさ!?」
そして、その左手は蒔風ではない、他の人とつながっていた。
まるで、というか、それは手錠だった。
蒔風はいま、右腕を他の誰かと繋がれている状態なのだ。
そして、その相手は
「どうするってったて・・・・道は二つに一つ」
「なんだ!?自分のできることなら・・・・」
「俺の手を斬るか、お前のを斬るかだ」
「でっきるわけないさーーー!!!」
冗談めかして言ったのだが、いくらなんでも不謹慎すぎたらしい。
相手の少女の突っ込みが、気持ちよく蒔風の後頭部に当たる。
「う~む、こりゃ流石になんくるなくないか?」
「これで言えたら相当お気楽だゾ・・・・」
ビルの陰に隠れ、冷や汗を垂らす二人。
場所は東京。
蒔風が影から顔をだし、他のみんなは大丈夫かと見回す。
そこから見えたビルの三階。
彼女はそこに所属しており、巻き込まれてしまったのだ。
「ったく、なんてところと入れ替えやがるんだよ・・・・」
ビルの三階。
そこにテープで書かれた数字は「765」
隣の少女は、我那覇響。
「言うだけ言ってみるか?なんくるないさ~・・・・どう?」
「ダメでしょ」
「そうか・・・なんくるねぇな」
「使い方違う」
蒔風、現在窮地に在り。
一体、何があったのか――――
to be continued
後書き
蒔風さんがこんな状態ですが、なのはさんいかがでしょうか
なのは
「お話」
蒔風
「NO」
なのは
「お・は・な・し(はぁと)」
蒔風
「待って、ウェイト」
壁に追い詰められてブンブン首振っても無駄だと思うので1SLB喰らってください。
ショウ
「あの様子じゃ3SLBは堅くないか?」
蒔風
「やめろ!!SLBを単位みたいに言うな!!」
翼刀の父ちゃん、本気で化け物。
歴代奥義は「有る」だけで、第一奥義を除いて使える人はいなかったんです。
でもそれをすべて使えてしまった男、鉄翔剣。そりゃ「怪物」なんて名がつきますよね。
一応今回出てきた奥義の説明を簡単に
動不動の飛翔
第一奥義・動不動拳
動から放つ不動拳
挟撃の鳥久
第十一奥義・流打
柔法。相手の攻撃を流し、後ろから襲わせると同時に自らも攻撃(三発以上を流し、背後に回り込ませることで修得完了)
流打」はそのまま「ながれうち」と読んでください。
他の奥義も、がんばって考えました。
歴代全部で十六!!当然翼刀のもすでに考えてあるので、合わせて17。お楽しみに!!
そして、こちらはお母さん。
クイントさんの登場です。
クイント
「二人だと思っていた娘が六人に増えてた。何を言ってるのかわからないと思うけど云々」
まあそうなりますよね~
しかも自分の遺伝子的な子も一人増えてるし。
・・・・ナカジマ家で戦隊組めるな。
スバル
「じゃあレッドは」
ノーヴェ
「私」
採用!!
スバル
「え~~~~!?お姉ちゃんなのに!?」
だってスバルはブルーだろ
他は適当に
あ、チンクはシルバーで追加戦士枠
三人
「酷い!?」
だって色被るしこれじゃゴレンジャイネタになるだよ。
チンク
「ふふ。追加戦士かァ。そこまで言うなら姉はやってやるぞ!!」
ウェンディ
「まんざらでもないんっスね、チンク姉」
最後に登場。赤銅の翼。
しかし召喚獣一発KOですか。
あれ、「めぐ銀」では青龍とかとタメ張れるくらいには強い喰らいに考えてるんですが・・・・
そして、セルトマンの言う段階とは!?
何が始まるのか、乞うご期待!!
蒔風
「次回。蒔風、どうしてこうなった?」
アリス
「赤銅。え?そう言うキャラ!?」
ショウ
「マジフルボッコ、の三本でお送りいたします」
と良いね!!!
三人
「やれよ!!!」
ではまた次回
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