レーヴァティン
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第二十一話 風呂屋での情報収集その二
「行くか、風呂屋に」
「そうしましょう」
「何とかな」
風呂屋まで、というのだ。
「行けばな」
「そこで何とかなります」
「じゃあ早くあいつ起こすか」
「そうしましょう」
「じゃあちょっとあいつの部屋行って来るな」
久志は何とかソファーから出てだった、そのうえで。
身体を引き摺る様にして部屋の扉の方に向かった、だがその扉が急に彼の方に開いてだった。
源三が死にそうな顔で来てだ、こう言ってきた。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
「生きてるみたいだね」
「今から自分を呼ぶつもりだったんだよ」
「そうだったんだ」
「ああ、けれどな」
「何とか起きたよ」
顔色は悪く瞼は腫れ苦しそうな表情で久志に言ってきた。
「見ての通りね」
「それで、だよな」
「うん、今からね」
「風呂屋だな」
「誘おうって思って来たけれど」
「皆起きてるぜ」
順一も智もというのだ。
「じゃあ行こうか、ただな」
「それでもだよね」
「問題はお風呂屋さんまで行けるかだな」
「それだね、実は僕もね」
「それが不安か」
「うん、けれどね」
「行かないとな」
「すぐに復活出来ないよ」
風呂屋で酒を抜いてというのだ。
「だから何とかね」
「行くか」
「そうしよう、何とか全員でね」
四人でとだ、源三は自分もと言ってだった。
四人で家を出た、だが。
頭がどうしようもなく痛く重い、身体も満足に動かず出来れば寝転がっていたい。だがそれでもだ。
何とか助け合い支え合いつつ先に進む、肩を抱え合いそうしてだ。四人は源三の案内で何とかだった。
その風呂屋に来た、その入り口を見てだった。久志は倒れんばかりの身体を奮い立たせて言った。
「やっとな」
「着きましたね」
「ああ、本当にな」
自分が肩を抱えている順一に応えた。
「来られたな」
「そうですね」
「ここまで長かったな」
「道は数百メートルでしたが」
まさに歩いて行ける距離だ。
「ですが」
「今の俺達にとっちゃな」
「恐ろしく長い距離でしたね」
「本当にな」
「早く入ろうぜ」
智は杖で自分を支えつつ前を見ている、そのうえでの言葉だ。
「そして身体洗ってな」
「サウナでも水風呂でも湯舟でもね」
源三はへたれ込んでいる、ここまで何とか来たというのがその姿勢にこれ以上はないまでに出ている。
「入ってね」
「お酒抜こう」
「そうしような」
こう話してだ、そしてだった。
四人は何とか風呂屋に入り脱衣場まで文字通り這う様に入って服を脱いでだ。まずは身体を洗い。
サウナに入った、そのサウナの中でだ。
久志は汗をかきつつだ、三人に言った。
「いや、こうしてな」
「まずはですね」
「汗をかいてな」
「そのうえでね」
「酒を抜かないとな」
サウナの中で死ぬ様な顔で汗を流しつつ言った。
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