レーヴァティン
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第二十話 新妻その十
「パンもあるしね」
「つまり実際にか」
「飲もうね」
「何かな」
また一口飲んでからだ、久志は言った。
「本当にこの調子で飲んでるとな」
「二日酔いになってだね」
「明日風呂にでも入らないとな」
そこで酒を抜かないと、というのだ。
「明日一日動けそうもないな」
「凄い二日酔いになってるな、全員」
「全くだ、しかし俺達はこうして飲んでるけれどな」
智に応えつつこうも言った。
「あいつはどうしてるだろうな」
「東の島に行った奴だな」
「日本刀持ってな」
天羽々斬の話もした、久志はもう遠い昔のことにも思えていた。
「それでな」
「あっちの島に行ってか」
「あっちもあっちで十二人探してるだろうな」
「向こうも何かとあるだろうな」
「間違いなくな」
それは確実だとだ、久志は飲みつつ智に応えた。
「向こうも魔物倒したり色々しながらな」
「仲間集めて」
「島の統一を目指してるだろうな」
冒険をしつつ、というのだ。
「そうだろうな」
「やっぱりそうか」
「苦労してそうして」
十二人の仲間を集めて島を統一してというのだ。
「その時にまた会うな」
「どういった方か楽しみですね」
順一は英雄と会う時のことを微笑んで話した。
「果たして」
「俺達の世界でも会えるぜ」
「そうなのですか」
「ああ、それでその時は楽しく話せばいいさ」
「そうですか」
「すげえ不愛想な奴だけれどな」
英雄と共に旅をしていた時のことを思い出して笑いもした、もう遠い過去に思ることだった。
「口も悪いしな、けれどな」
「悪い人ではないですか」
「だから安心してな」
「お会いしていいですね」
「どっちにしてもまた会うしな」
お互いの島を統一して魔神と戦う時にというのだ。
「だからな」
「友好的にですね」
「話したらいいさ」
「わかりました、ではその時のことも楽しみにしています」
「それじゃあな」
久志は順一に言うとまた飲んだ、四人で心ゆくまでそれこそ全員酩酊状態になるまで飲んでだった。
それぞれ源三が用意してくれた空いているソファーに寝転がって寝た、そして朝まで目を開けることはなかった。
第二十話 完
2017・6・1
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