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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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742部分:第六十話 楽進、辛い料理を作るのことその二


第六十話 楽進、辛い料理を作るのことその二

 その彼がだ。何とか釈放されてだ。曹操に対して話すのだった。
「その書だが」
「私は持ってないわよ」
「それはわかっている。しかしだ」
「ああ、わかったわ」
 すぐに答える曹操だった。
「あの三姉妹が持ってるのね」
「そういうことだ。どうやらな」
「それでなのね」
 曹操は彼の話から全てを察した。この辺りの鋭さは流石だった。
「あの三人があそこまでなったのは」
「そうだ。確かにあの三人の歌い手としての技量は凄い」
 それは認める。しかしそれ以上のものがあるとだ。華陀は話すのだった。
「しかしそれだけであそこまでなるのはだ」
「流石にないわね」
「そうだ。やはりそこにはあの書の存在がある」
「あの書はそこまでの力があるのね」
「それが問題なのだ。あれは人が持つには力が大き過ぎる」
「そうなのよね」
「本当にね」
 ここでいきなりあの二人の怪物が出て来た。何処からともなく。
「だからあの書は何としてもね」
「封印しないといけないのよ」
 こう言ってだ。怪物達は姿を消した。一瞬のうちにだ。
 だが曹操達はその姿を見ていた。そのうえで真剣な顔で華陀に問うた。
「何や今のは」
「前に見たような気がするが」
「強制的に記憶から消したような気がするわね」
 曹操達は無意識のうちにそうしていたのだ。何はともあれ彼女達の前から怪物達は姿を消していた。何処に消えたのかは誰にもわからない。
 何はともあれだった。彼等が消えてだ。華陀はまた曹操に話した。
「それでなんだが」
「ええ。それで?」
「どうやら三姉妹に対して歌で対するようだな」
「ええ、そうよ」
 その通りだと答える曹操だった。
「ちょっとした経緯からね。そうなったのよ」
「それが一番いい」
 華陀は曹操の話を聞き終えてこう述べた。
「歌には歌だ。剣や弓では駄目だ」
「そうだったのね。正解だったのね」
「そうだ。ただ貴殿もだ」
「私も?」
「歌を歌えたと思うのだが」
 曹操のそのことを話すのだった。
「違うか、それは」
「それを言うと貴方もでしょ?」
 曹操は華陀の言葉に目をしばたかせながら返した。
「歌えるでしょ」
「私達もよ」
「ちゃんと歌えるわよ」
 ここでまた出て来たあの二人だった。
「乙女の歌をね」
「歌えるわよ」
 こう言ってまた姿を消す。曹操はまたこの話をする。
「人間じゃないのが見えた気がするわね」
「いや、あの二人は人間だ」
 華陀だけが主張できることだった。まさに彼だけができることだった。
「それは俺が保障するぞ」
「ううん、何かこのおっちゃんかなり」
「大物だな」
 李典と楽進はその華陀の器を認めた。
「やっぱ医者王はな」
「何かが違うか」
「うむ、それでだが」
 彼等の言葉をよそにだ。さらに話す華陀だった。
「あの書はかなりの力がある」
「それに対抗するにはなのね」
「そうだ。だからこれを持って来た」
 華陀は懐から何かを出して来た。それは。
 赤と青、それに紫のだ。小さな宝玉だった。それを曹操に差し出すのだった。
「宝貝だ」
「宝貝ね」
「これで三人の歌の力を強めるんだ」
「成程ね。それならね」
「まだ色々と必要だがな」
「ううん、歌は私が作るわ」
 曹操は歌の話に入った。
「ちょっと。後は劉備達と話してみるわ」
「ああ、劉備殿か」
「知ってるのね」
「ああ、旅の途中で会った」
 ここでその縁を話すのだった。
「いい御仁だな」
「そうね。いい娘達よ」
 そんな話をしてだ。華陀は曹操に案内されて劉備達の前に出た。そのうえで天幕の中でだ。彼女達とも話をするのだった。
「あれっ、じゃあ首は大丈夫だったんですか?」
「何とかな」
 こう劉備に話す華陀だった。劉備と曹操の主だった臣下達も揃っている。
「いや、あの時は殺されるところだった」
「全く。あの時のことは」
「何故か思い出せないけれど」
 曹仁と曹洪が話す。
 
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