恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
740部分:第五十九話 張勲、袁術と郭嘉を取り合うのことその十一
第五十九話 張勲、袁術と郭嘉を取り合うのことその十一
「ことあるごとに可愛がられているんですよ」
「どういう風に可愛がってるんだよ」
馬超がすぐに問うた。
「何か怪しいな」
「それはあれじゃ。胸がないのを言ったりじゃ」
まずはそこだというのだ。
「七一六とのう」
「ない胸ってことだな」
「そうじゃ。他には管で麺を吸わせる芸を身に着けさせ」
「それいじめじゃないの?」
今突っ込みを入れたのは許緒だった。
「何かそれっぽいけれど」
「いじめではないぞ」
袁術はそれは否定する。
「あくまで芸を教えておるのじゃ」
「そうなんだ」
「そうじゃ。他には胸をいじったりスカートをめくったりじゃ」
「そうして遊んでるのね」
「うむ、陽子はうい奴じゃ」
曹操に胸を張って述べるのだった。
「帰ったらまた遊んでやるとしようぞ」
「いいの?これで」
馬岱がそっと郭嘉のところに来て囁く。
「怪しいみたいだけれど」
「あっ、それは大丈夫です」
しかし郭嘉は微笑んでそれはないというのだ。
「美羽様は本気なのは私だけですから」
「あんただけって」
「はい、美羽様はそうした方です」
こう笑顔で述べるのだった。
「ですから私もそうしたことでは」
「これは本物ね」
馬岱はそのことを完全に理解したのだった。
「この三人、もう何ていうか」
「面白いことだ」
趙雲はそんな三人を見て楽しそうに笑っている。
「このままいけばさらによいな」
「そうなんだ」
「そうだ。それではそろそろ準備にかかるか」
趙雲はこう面々に述べた。
「舞台のな」
「はい、それじゃあ」
劉備が彼女の言葉に応えてだ。そのうえでだった。
一同は三人の舞台の準備にかかろうとする。しかしであった。
ここでだ。徐晃が天幕に入って来てだ。こう曹操に言うのであった。
「華琳様、怪しい者を捕らえました」
「怪しい者?」
「赤い髪の若い男です」
「まさかと思うけれどそれは」
「名前は華陀と言っています」
こう述べる徐晃だった。
「どうされますか?」
「華陀ね」
その名前を聞いてだ。すぐに言う曹操だった。
「その者、すぐにこちらに連れて来て」
「はい、それでは」
「あれっ、華陀さんっていったら」
「そうよね」
ここで孔明と鳳統がまた言った。
「天下第一の名医っていう」
「あの人ね」
「そうよ。そして」
曹操は今度は怒りを見せるのであった。そのうえでの言葉だ。
「私に恥をかかせた破廉恥な男よ」
「破廉恥?」
関羽は曹操の今の言葉に怪訝なものを見せた。
「どうしたのだ、一体」
「とにかく。その男はね」
「はい」
「すぐにここに連れて来て」
曹操はこう徐晃に告げた。
「いいわね、すぐに」
「わかりました、それでは」
こうしてだった。華陀がすぐに連行されてきた。するとだった。
夏侯姉妹がだ。すぐに彼に躍り掛かった。
「貴様!よくもあの時!」
「華琳様に恥を!」
「あら、夏侯淵さんまでなの?」
黄忠は姉だけでなく妹も彼に掴みかかったのを見て驚きの声をあげた。
「いつもあんなに冷静なのに」
「秋蘭は実は華琳様のことになりますと」
「春蘭よりも熱くなるんです」
曹洪と曹仁がこう彼女に話す。
「それでなんです」
「今は」
「ううん、そうなのね」
そしてであった。華陀は。
捕まれ首筋に巨大な刃を突きつけられてだ。曹操の前に膝をつかされていた。そうしてそのうえでだ。曹操は残忍な笑みを浮かべて声をかけるのだった。
「久し振りね、華陀」
「曹操殿だな、実はここに来たのはだ」
「ええ、理由はわかっているわ」
笑みはそのままでの言葉だった。
「私に殺されに来たのね」
「おお、これは衝撃の展開が待っているねえ」
人形がこんなことを言う。
「首をすぱっとやられちまうかい?」
「これ、そんなことを言ってはいけません」
また主が彼に突っ込みを入れる。頭上の彼を見ながらだ。
「何か事情がありそうですし」
「事情って何だい?」
「とりあえずそれを聞くのです」
こう言ってだ。それでだった。
華陀はだ。曹操に対して話をはじめるのだった。その話とは。ここで一つの話が終わりまた新しい話がはじまろうとしていた。
第五十九話 完
2011・1・21
ページ上へ戻る