恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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738部分:第五十九話 張勲、袁術と郭嘉を取り合うのことその九
第五十九話 張勲、袁術と郭嘉を取り合うのことその九
「歌わせてもらうのじゃ」
「今から」
「凛、貴女もよ」
曹操は当然のように彼女にも声をかけた。
「いいわね」
「わかりました」
主に言われてもだった。彼女も頷くしかなかった。それでだ。
三人で実際に歌ってみる。するとだ。誰もが感嘆して言うのだった。
「えっ、これって」
「三人共かなり」
「上手いじゃない」
「そのまま歌手になれるっていうか」
「そこまで」
特に劉備達が驚いている。
「これはいけるな」
「いけるのだ」
関羽と張飛も認める。
「確実にな」
「あの三人に対抗できるのだ」
「当然じゃ」
歌い終わった袁術はふんぞりかえって二人に応えた。
「わらわだけでなく七乃と凛もおるのじゃ」
「それならですね」
「何かお二人が凄くて負けそうですけれど」
郭嘉は謙遜を見せている。
「この三人で」
「いきましょう」
「決まりね」
曹操も笑顔で言う。
「この三人とからくりで対抗するわよ」
「では任せるのじゃ」
「けれど。凛がねえ」
ここでだ。曹操は難しい顔も見せた。
「このままじゃ二人のうちのどっちかに取られるわね」
「あの、華琳様私は」
郭嘉は曹操の今の言葉にすぐに真剣に言う。
「華琳様の臣です。そのことは何があろうとも」
「それはわかってるわよ」
その彼女にこう返す曹操だった。
「だから。違うのよ」
「違うとは」
「褥は共にできないわね」
曹操が言うのはこのことだった。
「本当に張勲とできてないでしょうね」
「そ、そんなことは」
「すいません、曹操殿」
しかもだった。ここで張勲が満面の笑顔でわざと言うのだった。
「凛ちゃんとは末永く幸せに」
「怨むわよ、本当に」
曹操も笑顔を作って彼女に合わせる。
「凛を泣かせたら許さないからね」
「はい、わかっています」
「あ、あのですから私達はそんな」
郭嘉は顔を真っ赤にして何とか言おうとする。
「張勲さんとは別に」
「そ、そうなのじゃ!」
その郭嘉と同じ位慌てているのが袁術だった。
「凛は取るななのじゃ、七乃だろうが曹操だろうが許さんぞ!」
「すいません、美羽様」
このことについては主にも容赦ない張勲だった。
「私達もう」
「だから凛だけは駄目なのじゃ。凛とずっと一緒にいるのはわらわなのじゃ!」
「あの、美羽様私も」
郭嘉はもじもじとしてその袁術に言う。両手の人指し指の先を胸の先で合わせながら。
「美羽様と一緒にずっと」
「そうじゃ。七乃も大事じゃが凛も大事なのじゃ」
袁術は言い切った。
「だから絶対に離れるななのじゃ」
「はい、わかっています」
「この三人大丈夫なのかい?」
「どうしたのですか、宝譿」
程昱が己の頭の上の人形に問う。
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