世界をめぐる、銀白の翼
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第六章 Perfect Breaker
朱雀日和
「よし・・・・こんなもんだ!!」
「おぉ、まとまりましたか!!」
「ようやっと肩の荷も下りるのう」
パァン!と蒔風が机を叩き、朱雀と玄武がうれしそうな声を上げる。
どうやら積もっていた仕事を終え切ったようだ。
「フロニャルドとの準備と並行してやってましたからねぇ」
「じゃから一つ一つ終わらせた方が気分は楽だと言ったのじゃよ」
「いやぁ、すまんすまん!でもこれで・・・・・」
そうして、三人の視線が別の方へと向く。
そこには―――――
「これで戦興行の方に付きっきりだーい!!」
「やってやりますよこんちくショー!!」
「バッチ来いじゃぁああああ!!」
まだ残っている書類。
もうヤケである。
「まあ本当にそれだけだから楽だけどな」
「戦興行の参加メンバーのリストです。目、通しておいてください」
「あいよー」
最後の仕事を、デスクではなくテーブルで始める三人。
応接用の机をソファに座って、のんびりと進めて行く。
「それにしても主。翼人は全員参加ではないのか?」
「んー?いや、そうはしたかったけどさ」
先にリストを見た玄武が、蒔風に聞く。
現在「EARTH」の翼人は五人だが、今回参加できるのは結局三人だけだ。
「クラウドは興味ないねって言いながらティファとどっか行っちゃうし、一刀はいろいろと調査に行っちゃってるんだよねー」
「あぁ。ここ最近、いろんな世界がいつの間にか結合していますからね」
「そうそう。まどかも火野のとこもそうだし、言っちゃえばフロニャルドだってそうだしな」
最近、一刀はいろんなところに出向いている。
蒔風の言うとおり、様々な世界が結合して行っているからだ。
確認されているだけでもオーズ等を合わせて片手の指以上。
無論、その中には様々なモノがあるのだ。
"No name"ならまだいいが、"LOND"や"フォルス"が入った世界なら特殊な力が合ったりもする。
が、それならまだマシな方だ。
"輝志"であるならばさらにもっと特殊な、"ライクル"だと科学水準がとんでもなく高い可能性もある。
「奴」の時に行ったもののような強引なものではないので、あくまでもこの最大世界に見合った水準にはなるが、それでも調査は必要となる。
「一刀の力の凡庸性は「EARTH」随一だからな。翼力を一番うまく変換して扱うので、あいつの右に出る奴はいないし」
つまり、様々な力に対しての調査には、一刀は持ってこいと言うことだ。
とはいえ、やはり前回のような事態になるのは稀である。
「まあそう言うことになっても、一刀さんなら解決できるでしょうね」
「ワルプルギスの夜ほど性悪な敵も、そう居りはしますまい」
「愛紗たちも一緒だろ?安心すぎる」
「いえ、今回は蓮華さんたちとらしいです」
「大変じゃのう」
「ま、旅行もできていいだろ。あいつも楽しそうだし・・・・時に」
「「?」」
書類に目を通し、地形図や向こうで大丈夫なもの、行けないものなどのリストから目を通していた蒔風が、特に目をそらさずに口だけを動かして聞く。
「お前らと会って長いわけだけど、前の持ち主とかっていたの?」
「・・・・歴任の十五天帝所持者、と言うことですか?」
「そ」
「そうさのう・・・・・実はこれが良く覚えておらんのじゃよ」
「そうなの?」
十五天帝は、蒔風舜を主とする十五本一対の剣群だ。
そしてそれは、歴代の所有者の元へと向かい、その手に担われてきていた。
「そも、主がいたのは"No name"でしたからな。我らは入る余地がなかったのですよ」
「あー、そういやな。えっと・・・・もしあのまま「the days」のままだったら、世界の外で張り付いてたんだっけ?」
「ですね。で、舜が死んだら次の、どこかの世界の所有者の元へと向かっていたのでしょう」
「はー、じゃあ覚えてないってのは?」
「うーん」
「儂らは世界四剣の中でも唯一、意思を持つ剣じゃ」
世界四剣にはそれぞれ特性があり、それは太古の伝説に基づいている。
一人の王が聖剣を以って敵に勝利し
一人の王が神剣を以ってすべてを癒し
一人の王が開剣を以って人々の心を開き
一人の王が天剣を以ってその全てを統べた
エクスカリバーが高出力の光線を撃つのも、ヴァルクヴェインが治癒の力を持つのも、Χブレードが人の心を開くのも、十五天帝に従者がいるのもそう言うことだ。
「で、恐らくわしらは数人の主に使われたのじゃろうが、次の所有者のもとに行くまでの意思は全くないのじゃよ」
「それどころか、ある程度の人格とを残して、記憶はリセットされます」
「完全にか?」
「とまではいきません。ほら、昔の記憶と言うのはどうしても薄れるでしょう」
「そんな感じに、靄がかかる感じになるのじゃよ」
「じゃあ、お前らの口調がちょいちょい違うのは?」
「ああ、そうですね。私はこの通りですし」
「ワシはこの通りじゃし。おかげで全然青年姿なのに、白虎にはじいちゃん呼ばわりだのぅ」
「獅子は・・・厳ついと言うか、ゴツイと言うか」
「白虎はあの通りお気楽ですね」
「天馬は口の悪いアンちゃんだよなぁ」
「青龍は無口風にしゃべるしのぅ」
「麒麟は?」
「「・・・・・・無個s」」
「わかった、言うな」
二人の発言に掌をだし、やめてあげてと止める蒔風。
が、お決まりなのか二人は笑って、話を戻す。
「恐らくこれも、今までの経験や記憶が元で構築された個性、なのでしょう」
「完全に消えるわけではない、と言うのも、こういうことがあるからじゃ」
「へぇ~。でもさ、うろ覚えでも前の人憶えてないの?」
なんとなく納得する蒔風。
だが、それでも前任者のことは気になるらしい。
が、それには応えられない二人。
「なにぶん、前任者からの空きが大きかったからの」
「連続で所有者が"No name"だったのか?」
「いえ、そんな感じではなかった気が」
「意識はなくとも、世界の外で粘った時間ならわかるんじゃが・・・・」
「ドンくらいだったん?」
聞かれて、玄武が顎に手を当てて考え込む。
そして
「ざっと2500年ほど前じゃったかの?」
「・・・・・は?」
「まあ意識はなかったんで、時間の長さは感じなかったですよ」
「いやいや、そう言うことじゃなくて」
フルフルと手を振って、蒔風が唖然としながら二人に聞く。
蒔風が"No name"の人間なため、彼等は入ってこれなかった。
本来なら、蒔風は手にすることなく寿命を迎え、十五天帝は次の所有者がいるであろう地へと向かうはずだ。
だから、どんなに長くても蒔風が手にしたときの年齢よりも上の数になるわけがない。
「連続して同じ世界にいたってことか?」
「十五天帝所有者の決定は、決して血筋だけでは選ばれないはずですがね」
「そうじゃのう。今になってみると不思議じゃの」
「ま、そのころからすでに舜が主になるのが決まっていた、と言うことですかね?」
「おぉ、2500年前からの絆かの!そう考えると、悪くないのぅ!」
バシバシと蒔風の背中を叩き、痛いって!というお決まりのやり取りをする。
そして空気が一瞬止まり「どうすんだよこの空気」という、やはりお決まりの流れを汲んで、書類に戻る三人。
「で、翼人が三人に?」
「まどかたちはみんな参加するってさ。あとは・・・・・」
「雛見沢の部活メンバーは参加する気満々じゃったよ」
「リトルバスターズの皆さんもやる気ですね。最近すごいですよ、あそこ」
「あぁ・・・・ロリロリバスターズとか言い出した時は逮捕しようかと思ったぜ・・・・」
その時の首謀者(21)は語る。
「ああああああぁぁぁあああ!!貴様らはそんなにも、そんなにも勝ちたいか。そうまでして俺を逮捕したいか!この俺がたった一つ抱いた祈りさえ踏みにじって・・・・貴様らは!何一つ恥じることはないのか!!許さん、断じて貴様らを許さん!!欲に憑かれ、ロリの誇りを貶めた亡者ども・・・・その夢を我が血で穢すがいい!逮捕者に呪いあれ!その願望に災いあれ!いつか地獄の窯に落ちながら、この棗恭介の怒りを思い出せェッ!!ハレホリャゥマウー・・・・」
二分後
「あ、すんません調子乗りました許してください。地獄とか言ってごめんなさい、警察は正義の味方です!痛っ!!引っ張らないで!!理樹!!たすけ・・・・やめろ!!鈴もそろって、俺をそんな目で見るなァァアアア!!」
帰ってきた時の彼の一言
「若さゆえの過ち」
「まあ逮捕じゃなくて注意で止めといたからよかったな」
「照井に任せて正解だったな」
「容赦なかったのぅ」
閑話休題
「で・・・・・火野と五代さんも来るのか」
「仮面ライダー勢はそれだけでしたね。珍しい」
「ああ。あとは泉戸のおしどり夫婦と、SOS団だな」
「わりとメチャクチャになりそうですね」
「だな。まあ・・・・・俺も少しいじるし」
ニヤッ、と笑って蒔風が一枚の紙を見せる。
そこに書かれたものを見て、二人もニヤリと笑う。
「やりますな」
「だろぉ?くっくっく」
そんなこんなで、準備完了。
時計を見ると――――――
「もう夜が明けますね」
「長かったなぁ、仕事」
空が白み始めていた。
そう。実はと言うと、今現在深夜、と言うか、早朝の5時30分。
夜通し仕事をしていたことになる。
後はこの書類をビスコッティに持って行って、向こうでの調整と準備をするだけなのだが・・・・・
「・・・・じゃあもうこのまま行ってくるか」
そう言って、蒔風がシャワーを浴び、見出しを整え、一応しっかりとした恰好をしてゲートを開く。
出かける準備で、時間は7時になっている。
思った以上に時間かかったのは、蒔風が「もう甚平でいいよな!あとビーサン!!日差し強くなるなぁ、グラサンしてくか」とか言って、その通りの格好をしたのを、朱雀が全力で止めたからである。
玄武は寝た。
もう限界だそうだ。
「あんな恰好で行ったら間違いなく警備兵に捕まりますよ!?」
「そんなもんに捕まる俺じゃない!!」
「暴れたら余計にダメじゃないですか!!!」
徹夜を越え、蒔風のテンションがおかしい。
このまま行かせて本当に大丈夫かと頭を悩ませる朱雀。
そして
「はぁ・・・・私も行きます」
「ついてくるのか!?」
「なんで驚いてんですか。てか、その顔何かする気だったんですか!?」
「・・・・・てへ」
「ダメだ・・・・絶対について行きますよ」
そんなこんなで、フロニャルドへと向かう二人。
玄武は剣の状態で朱雀に持って行かれた。
「主ー、と言っても寝てる?まあ、一応一刀さんからの報告がまた来てるので、置いときますよ・・・・ん?」
誰もいない部屋に、麒麟が入ってくる。
報告書を置こうとすると、目の前にメモが飛び込んできた。
それは「うろ覚え」だとか「2500年?」だとか、さっきの会話の断片が書かれていた。
そして、その中に
「なにこれ」
「麒麟、無個性」と書かれたメモを見つけてしまう。
「え・・・・なにこれ?」
大事なことなのでもう一度言った。
その夜
麒麟は白蓮と飲んだ。
白蓮誰かって?公孫賛だよ!!
公孫さんじゃないからな!!
無個性とか普通とか馬鹿にしちゃダメだよ?凄く貴重なんだから!!
どういう風に?
こういういじりに必要です。
「「バカヤローーーー!!!」」
to be continued
後書き
日和、と言うよりは少し違う感じは違いますが、雀武日和です。
今回は二人一緒に。
でも最後を持っていくのは麒麟さん。
こう改めて考えると、麒麟さん個性ねーや
麒麟さん日和はどうなる!?
こうして書いてみると七獣って面白い。
蒔風
「今更かよ。でもまぁ、いきなり隣に青龍と獅子が現れた時とかマジビビったわ」
いい思い出。だな
蒔風
「麒麟は獅子と天馬に比べて防御高いから結構使いやすいんだけどな」
麒麟?
麒麟「さん」だろうが。さんを付けろよ凸助野郎!!
でも・・・・だから裏方に回って影薄いのかな?
七獣って、最初は適当に考えたんですよ。
龍虎雀武の四体は普通に東西南北の守護獣。
残り三体はどうしようかな・・・・って悩んだ時期もありました。
そこで作者大好きダイレンジャー。
青龍
「リュウレンジャ―・・・・天火星、赤龍拳・・・・!!!」
獅子
「シシレンジャー!天幻星、獅子拳!!」
天馬
「テンマレンジャー!!天重星、天馬拳!!!」
麒麟
「キリンレンジャー!天時星、麒麟拳!!」
朱雀
「ホウオウレンジャー!天風星、鳳凰拳!」
朱雀と鳳凰ちがくね?
朱雀
「うるさいですよ」
白虎
「おっと!!星はもう一つあるよ!!」
獅子
「白虎!!」
白虎
「吼新星、キバレンジャー!!」
玄武
「ワシは?」
ダイムゲン
七人
「天空気殿!大圧殺!!!」
そんなんで残りの三体も決まったという経緯が。
青龍
「私は・・・・青いです・・・・」
白虎
「あぁ!!青龍が落ち込んじゃったよ!?」
獅子
「変なとこで落ち込む奴だなお前は!!」
朱雀
「さて、次回はだれでしょうかね?」
ではまた次回
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