世界をめぐる、銀白の翼
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第六章 Perfect Breaker
天馬日和
「EARTH」本部 敷地内の芝生。
一本の大きな木の下に、四角いテーブルに、長椅子が二つ。
そこに、一人の男が空を仰いで座っている。
「あが~・・・」
そう、まさに本人が発している通り、そんな感じでだらけている。
「どうしたんですか?天馬さん」
「お?誰かと思えば」
「ども~」
そんな天馬のもとに、偶然通りかかったのかこなたとつかさが話しかけた。
服装を見るに、どうやらバイトの休憩中のようだ。
「休憩?」
「そそ。で、とおりすがったってわけ」
「とーりすがりの柊つかさ!覚えておいてね!」
「こりゃ、そりゃちゃうだろーがい」
「あた」
つかさのギャグに、力なくチョップで応える天馬。
二人はそのまま、天馬の正面に座る。
「なに・・・してたんですか?」
「暇つぶしだ。白虎のやろーがいねーとな、書類仕事がはかどっちまってよ、これが」
シシシ、と笑いながら、天馬が脇に置いてあったクーラーボックスからコーラを取り出す。
ペットボトルとかではなく、ちゃんとしたビンの物だ。
空になっている机の上の二本を降ろし、「いる?」と聞きながら新たに三本取り出した。
慣れた手つきで、一気に栓を開ける。
「冷えてておいし~い」
「つめたい!てんまんはいつもここでグダってんのかい?」
「そうだなぁ~。な~んも予定のないときはここだなぁ」
聞きながらつかさが机の上を見ると、そこにはラジオが一台置いてある。
四角い長方形。そしてカセットテープの入る横長のである。
CDだとかMDだとか、そんなものを入れる隙間はありはしない。
「これ・・・・」
「ん?ああ、暇なとき聞いてんだ。テレビよか面白いこと言ってたりするんだな、これが」
「曲も聞いたりするん?カセットで?」
「う~んにゃ。ラジオから勝手に流れてくるのを聞き流してるよ。それに・・・」
クルッ
「ほれ、これ実はMP3対応」
「なんとー」
古そうなのは見た目だけ。
実はハイテクなのでした。
「でもやっぱこうさあ、キャンプ場みたいなこーいう木製の机に、同じく木製の長椅子が合ったらこれだろ?」
「ですねー」
「いい絵でしたよ~、お兄さん!!」
「ど~も」
聞く?と言いながら、特に返事も聞かずに天馬がスイッチを入れる。
適当な番号に合わせ、スピーカーからの音が、その場に流れ始める。
「どこのきいてるんですか?」
「てきとーに。特に決めてねーなぁ」
『―――今週のリクエストはRN:真夏のかぼちゃさんから、現在人気絶好調の765プロオールスターズの―――――』
曲の紹介がされ、それがラジオから流れだす。
それをBGMに、二人の天馬との会話は弾んでいく。
「いつも一人なのかなぁ?」
「いやぁ?わりと人来るよ。今日はお前らだったけど、こないだはリズベス来てたしな」
「?」
「だれ?」
聞かない名前に、二人が首をかしげる。
そんな二人を見て楽しみ、天馬が意地悪そうに笑いながら答えてあげる。
「来ヶ谷だよ、来ヶ谷」
「え?来ヶ谷さん!?」
「ああ。あいつ海外生まれでミドルネーム持っててな、それが「エリザベス」なんだ」
略して愛称「リズベス」ってわけ、と天馬が笑う。
「あいつが来ると面白くってな。まあまだここじゃ片手の指くらいしか会ってないけど」
「どんなです?」
「只々おっぱい談義とか、理樹のコスプレ&女装計画とか」
「なんで来ヶ谷さん・・・・・」
「黙ってればかっこいいのにねー。でも理樹君の女装はわかる!!」
「えぇ!?こなちゃん!?・・・・あ、いいかも」
「理樹が聞いたら泣くからよせよー?」
「あとは通りすがる奴とか・・・・この前はかがみ通ったし」
「え?おねーちゃん?」
「おう。妹が朝起きないからどうしよう、って嘆いてた」
「うぅ」
「だから下敷きの縦チョップが効くってアドバイスしといたけどな」
「あれてんまんのせい!?」
「あ、そう言えばこないだこなちゃんやられてたね・・・・」
大学は違うのに、勉強を見てもらっていた時のこと。
つい寝てしまったこなたに叩き込まれたらしい。
「つかさのとばっちり受けた~」
「私悪いの!?」
「こなたがわるい」
「∑(;=ω=.)」
指摘されて「はうぅ」と胸を打たれたリアクションをして机に伏せるこなた。
それからピクリとも動かない。
「だ、大丈夫?」
「ポーションくだせ~」
「はいはい、コーラな」
「やたー♪」
そうして、二本目のコーラをゲットする二人。
「んで・・・・あと会った奴だっけ?真人が走り込みしてたりしてたし、川神の姉が手合わせに来たときにも会ったな」
「ここで座って話した人は?」
「・・・・・話したってのとは違うが、ランサーとかだな」
「どしたんです?」
「あいつ釣りすんだろ?釣ってきた魚捌いて食った」
「うわぁ、それはいいなぁ~」
「ま、カレンに小ギルも来てたんで退屈はしなかったな」
「うわぁ・・・それはいいなぁ・・・・」
同伴者の名前を聞いて、まったく同じような言葉でも意味合いを変える二人。
日本語って不思議。
『お聞きいただいたのは765プロオールスターズ「READY!!」でした』
『最近も大きなコンサートがあって、大反響でしたね?』
『そうですね~。でも次のリクエストも人気急上昇中のグループですよ~!』
『はい!では次のリクエストはRN:YANYOさんから、Girls Dead Monsterの―――――』
ラジオから別の曲が流れ始め、少し風が出てきた。
と、そこで天馬が時計を気にしてから
「休憩中だったか?時間大丈夫か?」
「まだダイジョブダイジョブ~」
「でもこのバイトも結構続いてるよな?」
「ん~、もうこのまま就職でもいい気がするんだよね~」
「マジか・・・・まあその方が楽か?」
「知ってる人が上だとね~」
「上って感じじゃないけどね」
「まあな。舜はそんな感じじゃないな」
「そういや、そっちは食堂だろ?こっちよか面白い組み合わせとかあんだろ」
「う~ん、でも忙しいときはあんまり気にしてられないかな」
「うんうん、そうだよねぇ~。あいさつ返すので精いっぱい」
「そんなに盛況なのか」
「食堂は外からの人もこれるようになってるからね」
「EARTH」のAGITΩ食堂は、職員は同然ながら普通に外からの人も食べにくる。
この食堂は、厨房を挟んで食堂利用だけの人の「外来」と「EARTH」にいる人達の利用する「食堂」の二つに分かれている。
扉はアリスが少し手を加えているので、街中の扉をくぐれば「そこは何とAGITΩ食堂だったのです」状態になっているのだ。
「だからお昼時とかすごくって」
「そういやラジオでもそんなん言ってたな」
「そこまで有名になってたとは・・・・」
「自分が働いてる店だろーが」
AGITΩ食堂とは言っても、アーチャーだったり士郎だったりも厨房に立つことがあるし、暇なときには料理好きのはやてや天道もくる。さらに気が向くと海東がやってくるのだ。
そういう時は完全に前情報なしのゲリラメニューなので、ツイッターなどで通知される。
「天道さんとかが来るときはヤバいよねー」
「やばいやばい~」
「フェイトさんが来たときとか祭りだったよね」
「フェイトさん怖がってた・・・・」
「おい何があったその時」
「はやてさんの時は一緒に祭してたけど」
「ああ、あのタヌキならな」
「は・・・くしっ!!」
「どうしたの?はやてちゃん」
「う~ん、どっかで私の噂されとるんかなぁ?」
「で?楽しいか?」
「十分だね!」
「それに、一人でもっとちゃんとできるようにならないと!」
「ほう?」
「お姉ちゃんに迷惑かけないように、頑張るんだ~」
「そうだな・・・・朝寝てて下敷きチョップ喰らわないようにな。ックック・・・」
「そ、それは言わないで~!お姉ちゃんなんでそんな相談を・・・・」
「心配なんだろ?これからみんなひとりひとりで自立して行くんだからよ。一緒だった妹が心配なのは普通さ」
「そっか・・・・うん、でも不安だけど、私がんばるもんっ!」
「おう!じゃあとりあえずバイトだな。早く戻った方がいい。時間ないぞ」
「え?まだまだ平気だよ?」
「うんうん。だって食堂まではこっから一直線だし」
時間を見て、まだ大丈夫だと言う二人。
ここからなら、食堂まで五分もない。まだ時間はまだ十五分もある。
「お前らここまでどうやって来たん?」
「休憩中だし、散歩がてらグルッと周って」
「あぁ・・・じゃあ知らないか」
「「?」」
「お前らの言う道な?士とモモタロスがケンカして今修繕中なんだ」
「「え゛」」
ケンカ理由は、モモタロスが士の写真を爆笑したことらしい。
「だから行けるのは、回り道」
「「じゃあ・・・・・」」
「だから聞いたんだよ。こっからだと20分か?ダッシュすれば間に合うかもな」
「「やっばぁ!?」」
ダンッッ!!!
天馬の言葉を聞いて、その場から勢いよく立ち上がり、二人がダッシュして行く。
手を引かれるつかさはもつれながらも「ま、待ってェ~~~」と引っ張られている。
そして、角を曲がって行ってしまった。
「がんば~・・・・と」
「・・・・・・」
「がんばるってさ、おねーちゃん」
「うっさい」
二人が座っていた位置からは死角になる、木の陰。
そこからひょっこりと、ツインテールの頭が出てきた。
「起きてんなら出て来りゃいいのによ」
「出るに出られなかったのよ!」
「あー、はいはい。よく寝てたしな。よだれ跡あるし」
「うそっ!?」
「ウ・ソ(パカンッ) アタッ!?」
天馬の頭を殴り、私ももう行くわ、と本をバッグに入れて立ち上がるかがみ。
そんなかがみに、天馬が聞く。
「遅れると怒るの?翔一」
「怒りはしないけど・・・・前にそれっぽいのは見たことがあるわ」
「どんな?」
「こう・・・・アギトの光?って言うのが、後光みたいに背後から光ってずっとニッコリ笑ってるのよ」
「・・・・・何それ怖い」
「でしょ?」
そう言って、かがみがその場から去っていく。
そして、また天馬がグテッ、とイスに背もたれる。
「はぁ~あ。いいねぇ、日常謳歌。常にこうありますように、っと」
そう言って、乾杯するかのようにビンを傾け、一気に飲み干す。
青空に乾杯する、とでもいうのか。
その動作は、見れば見惚れてしまうほど絵になっていて。
「・・・・げぇっふ。飲みすぎたな、こりゃ」
やっぱり何だか締まらないのだった。
to be continued
後書き
アイマスはアニメとぷちますしか知らないですよ!!の武闘鬼人でございます。
今PSPででてるゲーム買おうと思ったけど、外付けハードディスク買っちゃったからお金がない!!!
来月こそは・・・・!!
そんなこんなで天馬日和。
空を仰ぎながら「綺麗な空だ・・・・目に沁みやがるぜ」とか言わそうと思ったけど、そのまま永眠しそうなので却下。
「翼は永遠に」は名作でした。神回ですよね。
何気に結合している世界。
実は前話にも出た男が回っていた土地も、そんな結合した世界の場所です。
天馬は風情を楽しむ感じです。
多分、伝統確かな茶会とかがあっても、こっちの方がいいのでしょう。
多分そう言うのは玄武とか獅子あたりが好きそう。
一番好きそうに見える青龍は「そんなことより・・・・主です・・・・!!」とか言いそう。あの主バカは。
AGITΩ食堂の設定は今考えた後付けですwwww
でも食品企業の食堂とかもありますし、それっぽいということで。
天馬
「さて、次回は誰の日常かね?」
では、また次回
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