水の国の王は転生者
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第三十九話 蒔かれた種
貴族の反乱軍はが鎮圧されトリステイン内乱は2ヶ月ほどで終わった。
反乱軍に組した貴族は軒並み取り潰され、領地は王領になり、財産も没収され様々な事業の資金に回された。
いわゆる、反抗勢力が全滅した為、エドゥアール王とマクシミリアンは、この期に様々な改革を断行した。
その一つが軍制改革だ。
傭兵に頼らない常備軍の編成や、王軍や諸侯軍と言った物を廃止し近代的な軍隊の編成を目指した。
新たな部隊単位として『師団』を採用し編成に入った。ついでに反乱軍に組しなかった者で、人格、能力に問題のある将軍や法衣貴族を粛清し、閑職に置いた。
貴族達は内乱では王党軍に味方したにもかかわらず、自分達に粛清の刃が振り下ろされると思わなかった。
反抗しようにも、対抗勢力だった反乱軍は粛清され、結果王宮の権勢には逆らえず、泣く泣く首を縦に振った。
これにより、中央集権化は急速に進む事になった。
マクシミリアンがカトレアらと別れ、トリスタニアに帰還後、王宮に顔を出すと母のマリアンヌ王妃が泣きながら抱きついていた。
貴族達にお墨付きを与えた事をエドゥアール王に、こっ酷く怒られたようで深く反省しているようだった。
「母上」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
すがり付くように泣くマリアンヌ。
「母上お気になさらずに、結果論ですが反乱が起こったことでトリステインの不安材料を減りました。これからは僕達の時代です」
と謝り続けるマリアンヌ王妃を慰めると、エドゥアール王の下へ向かった。
エドゥアール王と面会すると開口一番に、
「結婚式は来年にしよう」
と言われた。
一瞬、何の事か分からずに
「誰の結婚式ですか?」
と答えてしまった。
「何を言っている? お前とカトレア嬢との結婚式だろう」
「え? ああ、そうでしたね。国内の貴族が半分以上減ったので、それらの事ばかり考えてすっかり忘れていました」
「内政の事も大切だが、伴侶をほったらかしにするのも考え物だぞ」
「肝に銘じていきます」
そういう訳で、内乱で延期になったものの、来年2人は結婚する事になった。
話題はアンリエッタの事に移った。
「それと、アンリエッタの事だが、結婚するに当たって、今までの様に毎日の様に入り浸るのも良くないし、精々、週に一回が妥当だろうと思うのだが?」
「そうですね」
「もう一つ、アンリエッタも来年で七歳だ。誰か友人になれる様な、同じくらいの年代の者を誰か知っているか?」
マクシミリアンがグラモン家の三男ジョルジュと友人になったのと同じように、アンリエッタに友人を宛がいたいらしい。
「それなら、ラ・ヴァリエール家の三女ルイズ・フランソワーズなどは如何でしょう? 来年で六歳になります」
「もう、そんな歳か。しかし、あまりラ・ヴァリエール公爵に入れ込むと、よからぬ嫉妬を覚える輩も現れかねない。今回の内乱で多くの貴族を排除したとしても、な」
「そういう物ですか」
「そういう物だ。ともかく友人候補の件は保留にしよう」
「分かりました。とはいえ、結婚すればルイズは義理の妹になります。アンリエッタとは、まったく顔を合わさないようにする事は出来ませんし、子供同士、すんなりと仲良くなるかもしれません」
「我々が、どうこうするよりも、本人次第という訳か」
「そうですね」
……話題は変わり。
「父上、実は面白いものが手に入ったのです」
「面白いものとは一体なんだ?」
「これをご覧ください」
マクシミリアンは数枚の羊皮紙をエドゥアール王に渡した。
「……これは」
「クルデンホルフ大公が反乱軍に献金していた動かぬ証拠ですよ」
「良く見つける事ができたな」
「先日逮捕した、魔法研究所のゴンドランが責め立てたら、そいつの場所を吐きました」
「拷問したのか?」
「痛覚を消しダルマになった姿を鏡で見せたら、狂ったように吐きましたよ。後でちゃんと複製で手足を元に戻しましたがね」
「……悪趣味だな」
「僕も一時は危なかったんです。『おあいこ』ですよ」
敵には一切容赦しない。
エドゥアール王は、息子にその片鱗を見て、少し心配になった。
とはいえ、その気質のお陰で、有力諸侯の弱みを見つけることが出来て、マクシミリアンに強いことが言えなかった。
「それで、クルデンホルフ大公は取り潰すのか」
「それも一時は考えましたが。相手は一代で大公まで登り詰めた男です。取り潰して諸外国に流出させるより、潰さずに完全な従属国とし、徹底的に絞り尽くすのが妥当でしょう」
「具体的には?」
「年に数千万エキューの上納金。まぁ、上納金の正確な額はクルデンホルフ大公国の帳簿などを拝見して決めるとして、他に空中装甲騎士団など軍隊を解体させ、代わりにトリステイン軍の駐留させます。駐留しているトリステイン軍の維持費はクルデンホルフ大公国に支払わせます。万が一大公が不穏な動きを起こせばそれを口実に攻め滅ぼしましょう」
「それは……やりすぎではないか?」
エドゥアール王は呆れたように言った。
「動かぬ証拠はこちらが掴んでいますし、『敵』には一切の容赦も必要ないでしょう、問題ありません。話は戻りますが、大公に誰か縁者を人質として要求しますか?」
「……」
後日、クルデンホルフ大公はマクシミリアンの要求を泣く泣く受け入れた。代わりに反乱軍への献金は決して表に出る事はなかった。
今までは独立国の色が強く形式上の属国だったクルデンホルフ大公国だったが、多額の上納金と軍隊の解体と廃止で事実上トリステイン王国の完全な属国へと成り下がった。
☆ ☆ ☆
とある日、マクシミリアンが新宮殿の執務室で政務を行っているとノックの音が聞こえた。
「誰だ」
「クーペでございます」
「おお、お帰り。入ってくれ」
入室を許可すると、旅装姿の青年に変身したクーペが入ってきた。
「ご苦労様。首尾はどうかな?」
「上々でございます」
「そうか」
反乱中、マクシミリアンはクーペにゲルマニア介入を妨害する為の工作を命じていた。
その甲斐あってか、ゲルマニアは介入してこなかった。
それともう一つ、クーペに命じた事があった。
それはゲルマニアの内部分裂を引き起こす事だった。
将来的にロレーヌ地方の統一と、巨大国家ゲルマニアと陸続きでいるという事は安全保障上看過できない問題で分裂が無理なら、せめて力を削ぎたいと思っていた。
工作内容を説明する前に、帝政ゲルマニアのルーツを辿らなければならない。
元々、ゲルマニア人はゲルマニア地方を含めたの広大な土地に、非ブリミル教の大小様々な部族が分布していた。
だが、数千年前に東方から騎馬民族が流入し、東ゲルマニアは荒らされ、そこに住んでいた東ゲルマニア諸部族は西へ西へと逃げていった。
これを、ゲルマニア民族の大移動という。
危機感を募らせた、ゲルマニア西部の部族の族長らは、ガリアやトリステインといったブリミル教国家にブリミル教への帰依を条件に援軍を要請した。
大量の帰依者を出す事からロマリアからの強い後押しもあり、ガリア王国・トリステイン王国は渋々快諾、かくしてブリミル教国家とゲルマン諸部族の連合軍と騎馬民族との会戦で騎馬民族を撃退することに成功した。
魔法の威力をその目に焼き付けたゲルマニア諸部族は、魔法を得る為に貴族や元貴族との婚姻を奨励し、永い時間をかけて魔法を使えるようになりゲルマニア貴族が誕生した。部族はやがて都市国家になり、それら都市国家が集まることで現在の帝政ゲルマニアになった。
この時の形振り構わない婚姻政策で、後に『ゲルマニア人は好色で多情』と言われる原因にもなった。
撃退から千年後、帝政ゲルマニアは騎馬民族によって奪われた東ゲルマニアの奪還を目指したが、かつての自分達の土地には別の民族が住んでいた。
彼らはスラヴ人といって、北方から流入してきた非ゲルマン民族で、騎馬民族が去り空白地帯となった東ゲルマニアを始め様々な土地に移り住み自分達の土地としていた。
帝政ゲルマニアは彼らを征服しブリミル教徒化を行い、そしてかつて自分達が行ったようにスラヴ族の族長らに婚姻させゲルマニア化を図った。
現在、スラヴ人はゲルマニア人として今を生きている。
マクシミリアンは多民族国家であるゲルマニアの分裂を図る為、かつてのスラヴ人たちに民族主義を植え付けようとクーペを送り込んだ次第だった。
「今にもゲルマニアからの分離独立を図ろうとする者達ですが……」
「うん、どういった連中なのかな?」
「まず、現ゲルマニアの帝都が置かれます。帝都プラーカのスラヴ系チェック人」
「帝都が置かれている位だから、いい生活が出来ていると思っていたが」
「むしろ逆で、皇帝のお膝元だからこそ、ゲルマニア化してもスラヴ系とゲルマニア系で区別されているようです」
「なるほど」
「次にポラン地方のスラヴ系ポラン人」
「ヒポグリフの名産地で、軍事的にはヒポグリフを駆ったポラン騎兵が有名だな」
スラヴ人と一言に言っても様々な部族があり、それぞれの部族は独立独歩の精神が強い。
「御意……続きまして、パンノニア及びダルマチア方面のスラヴ人も良い返答が頂けました」
「拡張主義も困ったものだな」
パンノニア及びダルマチア方面は地球でいうバルカン半島辺りを指す。
「と言うより、彼らスラヴ人事態は同族同士が対立しあう気性が激しい部分があります。そんな彼らがいつまでもゲルマニアの支配に黙っているはずも無く、度々反乱を起こしては鎮圧される、といった事をここ数百年続けていたようです」
「そうか……また彼らが爆発しても僕達は動くことはできないし、さっきの話の様に爆発は小規模ですぐに鎮圧されると予想される。時間をかけて確実に、連鎖的に大爆発するように仕向けてくれ」
「スラヴ人たちの支援をなさいますか?」
「資金の援助のみね、武器は足がつくから駄目だ。ゲルマニア人とスラヴ人がお互い憎しみ合ってくれればトリステインの益になる」
「御意」
「言わずもがな、撲たちが工作した証拠は絶対に残さないように。資金もよく洗浄してトリステインから流れてきた証拠を掴ませない様にね」
「御意、お任せ下さい」
「国内の分離主義者は排除するが、外国の分離主義者は大いに支援する。でも、僕達自身は彼らスラヴ人とは関わりあいたくないのが本音だ。その辺は上手くやってくれ」
「フフフ……では失礼します」
クーペはニヤリと笑い退室した。
これらの蒔かれた種は数年後芽吹き、ゲルマニア分裂へと繋がる。
マクシミリアンはクーペが退室した後、政務を行いながら、
「これは地獄行きだな」
と呟いた。
だが同時に
『為政者として正しい事だ』
と自信を持って言えた。
マクシミリアンは、世界平和なんて見えない物の為に、陰謀や軍備を怠り自国民を犠牲にするぐらいなら、陰謀を駆使して他国民を犠牲にし、自国民の利益に繋げる腹積もりだった。
誰の言葉だったか忘れたが、為政者が天国へ行きたがって陰謀や軍備を怠れば、代わりにに国民が地獄を見る事になる。逆に為政者が地獄に落ちる覚悟で、事に及べば国民は天国を見ることがが出来る。
例外もあるだろうが、マクシミリアンはこの言葉が頭から離れなかった。
政務も粗方終わり、一息入れようとベランダに出ると、珍しいものを見た。
新宮殿の敷地内をアニエスと養父のミランが並んで歩いていたからだ。
「……仲直りしたようだな」
ウンウンと頷き、メイドに紅茶とワインを頼んでワインの紅茶割りを楽しむことにした。
☆ ☆ ☆
帝政ゲルマニアの帝都プラーカは、チェック人と呼ばれるスラヴ系の部族の集落が始まりと言われている。
ゲルマニアに征服された後、選帝侯の一つ、ボヘニア王の首府としてプラーカは整備され、やがて『黄金のプラーカ』と呼ばれるまでに大都市に成長した。
現ゲルマニア皇帝が風邪を拗らせ一時危篤状態に陥ったと聞き、皇帝の居城であるプラーカ城には珍しく選帝侯が勢ぞろいする事になった。
選帝侯とは『皇帝を選ぶ為に選挙権を得た諸侯』の意味で、皇帝が死んだ場合、7つの選帝侯から一人、次期皇帝として選挙で選ぶ事になっている。
元々、都市国家が集まって今のゲルマニアが出来た事情から、誰が一番偉いという訳ではなくその時その時代に最も強大な権力、国力を持つ選帝侯が大抵の場合、皇帝に選ばれていた。
プラーカ城のとある一室には、6人の選帝侯が集まっていた。
ゲルマニア皇帝でありボヘニア王を兼任するコンラート6世は今年78歳、80前の老人が風邪を引いたとなれば、ひょっとしたらひょっとするかもしれない。
コンラート6世を除く6人の選帝侯はは長机を囲み、それぞれ難しそうな顔をしていた。
オーストリ大公アルブレヒトは次期皇帝選挙の票集めの為、何より各選帝侯の出方を伺う為、プラーカにやって来た。
オーストリ大公領の首府ヴィンドボナは帝都プラーカよりも栄えているという事で次期皇帝の最有力候補を言われていた。
そのアルブレヒトの皇帝選出に待ったをかけるのは、北東部の雄ブランデルブルク辺境伯だった。
彼の領地の北部はヴィンドボナのある南部と違って寒冷地という事もあり土地は痩せていて貧しかったが、ゲルマニア最強と名高いゲルマニア騎士団を配下にし、最も強大な軍事力を有していた。
二つの選帝侯が火花を散らしていた頃、不機嫌な選帝侯も存在した。
それは、西部の雄フランケン大公だ。最も古いゲルマニア貴族で、多くの皇帝を輩出した名家だ。
領地が西部であり、ガリアやトリステインと領地が隣接している事から、戦争になったら先鋒を務めることが多く、『ゲルマニアの壁』などと呼ばれる武門の家柄と言えた。
そんな彼の機嫌が悪いのは、隣のトリステイン王国で内乱が発生した為、介入しようとした矢先に首府のオーノルツバッハで大火事が発生し都市の6割が消失した為、再建までの間フランケン大公領第二の都市フランクヴルトを仮の首府して、遷都の手続きが思いのほか手間取った事が一つ目の不機嫌の原因。
二つ目、三つ目が、トリステイン内乱で逃げ出した逃亡兵が山賊化し領内を荒らしまわっていたり、妻が突然占い師に傾倒し、訳の分からないお告げを鵜呑みにして相手をするのに手間取ったりと、様々な出来事が連続して起きて介入どころでは無かったからだ。
おかげでトリステイン内乱は鎮圧され、絶好の機会を失い面目も失った。
選帝侯の一人、ザクソン大公はゲルマニア中央部から北西部までの広大な領地を持ち、トリステイン王国の有力貴族ラ・ヴァリエール公爵の宿敵ツェツプストー辺境伯はザクソン大公の分家筋に当たり、褐色の肌と赤い燃えるような髪が印象的だった。
ザクソン大公は皇帝には興味は無く、オーストリ大公とブランデルブルク辺境泊のどちらに付くべきか品定めの真っ最中だった。
選帝侯の一人、バウァリア大公は隣のオーストリ大公の繁栄のお零れに預かる事で繁栄してきた経緯から、オーストリ大公に頭が上がらず、いざ選挙となればオーストリ大公に票を手筈になっていた
バウァリア大公は、プライドを捨ててまで繁栄させた首府ミュンヘを、いかにして戦火から守るかそればかり考えていた。
最後、6人目の選帝侯、メインツ大司教はゲルマニア貴族ではなくロマリアから派遣された大司教で、大司教区と呼ばれる土地の裁治権および統治権を有していた。メインツ大司教はゲルマニアにおける最高位の聖職者でロマリア教皇の代理人とされていた。
ゲルマニア国内でロマリア教の影響力を保持する為に、ロマリアがマインツ大司教を無理矢理選帝侯に捻じ込んだ経緯があった。
ゲルマニア貴族は、その決定を受け入れるしかなかった。強大な権力を持つロマリアを蔑ろにする事は出来なかったからだ。
だが、ロマリア教の腐敗は年を重ねるほどに酷くなり、もっとも多くの『お布施』をした選帝侯に票を入れるのが通例になっていた。今ではロマリアの顔を立てるために設けられた接待用の席でしかない。
この場には無く、城の奥で生死の境を彷徨っている7人目の選帝侯。
ゲルマニア皇帝兼ボヘニア国王のコンラート6世を入れて7人がゲルマニア選帝侯だった。
……
久しぶりに6人の選帝侯が集まったが、室内は重苦しい雰囲気に包まれていた。
「皇帝陛下はご無事だろうか……
「もしものときの事も考えておなければならない。これから我らは、どうするべきか……」
皇帝の安否を心配しているのは、オーストリ大公とブランデルブルク辺境伯だった。
表面上は深刻そうに心配している様に見えるが、本当は皇帝死後、次の皇帝選挙の際の腹の探りあいをしている事は他の選帝侯は知っていた。
「ったく、白々しい」
吐き捨てたのはザクソン大公で、褐色の肌と燃え上がるような赤い髪が特徴の偉丈夫だった。
「皇帝陛下のご回復を我々で祈りましょう」
でっぷり肥えた腹を揺らしメインツ大司教は言った。
「売僧も、いちいち五月蝿い」
聞こえないようにザクソン大公は呟いた。
バウァリア大公はヘラヘラと愛想を振りまいていた。彼は彼で頑張っているが印象が薄かった。
一方、我関せずで、ブツブツと不機嫌に独り言を言いながら貧乏ゆすりをしている2メイルの大男はフランケン大公。
戦場に出れば勇猛果敢で、かの烈風カリンと互角に渡り合ったという猛者だったが、戦場以外だとパッとせず、しかも恐妻家で知られていた。
彼は、領内で起きた大火事や山賊被害に妻の事等々で事で頭が一杯で、選挙どころではなかった。
コンラート6世の治世は60年以上で、息子の皇太子も子供を残すことなく親より先に死んでしまい、ボヘニア王家は断絶の危機にあった。
野心家達にとって、これ以上無い好機だった。
「申し上げます!」
家臣が部屋に駆け込んできた。
「どうした!」
とうとう死んだか……とは言わない。
「典医殿のお話では、皇帝陛下は峠と超えたとの事」
「おおそうか、それは良かった」
いい加減しぶとい……とは思っても言わない。
「ともかく、皇帝陛下のご回復を祝って一杯飲ろうではないか」
『おおーっ!』
次期皇帝の駆け引きを続ける選帝侯の中で、マクシミリアンが内乱の種を蒔いた事に気付く者は誰も居なかった。
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