Re:童話姫たちの殺し合いゲーム
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Яお菓子な塔の物語 (終)
―コワイ
「ハッハァッハッ」
長い 長い 階段を駆け上がるの
―コワイ
『待って マッテください。どうして逃げるのですか?
せっかく一発で殺してあげようとしているのに』
―コワイ
赤い頭巾の子の声がするの
―逃げないとなの
早く 早く 逃げないとなの
遠く 遠くへ逃げないとなの
―カラダが重たいの
ずっと玉座に寝転び続けたカラダはタプタプのおニクのようなの
タプタプは重くて 動きづらいの
「ハッハァッハッ!」
少し走っただけで すぐに息があがってしまうの 重いの
こんな邪魔なおニク 棄ててしまおうなの♪
ザクッザググ…
まずは お腹
次は 太もも
邪魔なおニクは全部 ゼンブ棄ててしまおうなの♪
おニクを斬り棄てると赤い 真っ赤なイチゴジャムがカラダから溢れ出るの
嗚呼― なんて甘くて美味しいそうな匂いなの
ペロリ
―美味しい
今まで食べた どのお菓子よりもずっと美味しいの
「ハグハグハグッ!!」
餓死寸前だったの アタチは目の前にあるおニクを食べるの
嗚呼― 甘い 甘くて美味しいの
『ナニがそんなに美味しいんですか♪』
「ッ!?」
美味しいおニクのせいで忘れてたの あの子のことをなの
『アハハハッ♪ 今度は外しませんよ?』
赤い頭巾の子は また拳を強く握りしめるの
―コワイ
コワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ
死の?
死んじゃうの?
イヤなの
まだ 死にたくないの
赤い頭巾の子 逃げるの
赤い頭巾の子 頂上へ逃げるの
赤い頭巾の子 捕まったらダメなの
―でも 動けば 動くほど お腹が空くの
邪魔なおニクを棄てたはずなのに まだ 走りづらいの
「ハッハァッハッ!」
カラダから流れる落ちる イチゴジャムが止まらないの
チクチクと焼ける ように イタイの
―コワイ
パタッンッ
頂上に辿り着いたところで 躓き転げてしまったの
『あ~あ、大丈夫ですか? そのまま貫きましょうか♪』
赤い頭巾の子 声がすぐ後ろから聞こえるの
追いつかれた コロされてしまうの
―コワイ
「お腹が……空いたの…」
『死ねばそんなの感じなくなりますよ♪』
「お菓子……食べたいの…」
『もう食事もいらなくなりますよ♪』
赤い頭巾の子 近づいてくる足音がするの 一歩ずつゆっくりとなの
―コワイ
「お腹……空いた…の」
『這いつくばってもダメですよ♪ アハッ』
地面を這いながら、赤い頭巾の子から逃げるの 少しでも
お菓子
お菓子 を 食べれば
お菓子 を 食べれば 逃げられるの
お菓子 を
『死んでくださいな♪』
トンッと蹴り飛ばされたの ふわっとカラダが飛び上がるの
そのまま落ちて行くの
塔の上から 落ちてゆくの
『アハハハハハハハッハハハハハハハハハハッ♪』
頂上から聞こえるのは 狂った笑い声
赤い頭巾の子 狂気の笑顔
「お腹…空いたの…
ダレか
ダレでもいいの ダレか
アタチにお菓子を
お菓子を ちょうだいなの…」
―ラプンツェルはゆっくりと 静かに雫のついたその瞼を閉じた
―ヒューーーーーウ ヂュビチャァァ
―これは 末の妹の物語
―ラプンツェルの物語
―食に狂い 食に支配され 溺れた ラプンツェルの物語
―暴食の最期の物語
<Яの最期END>
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