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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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614部分:第四十七話 顔良、仲間外れになるのことその十三


第四十七話 顔良、仲間外れになるのことその十三

「ですが何かいたようですよ」
「お化けがのう」
「巨大な。腹が膨れてそれでいて身体は痩せ細った」
「餓えておるのか?」
 何故そんな姿になるのかは袁術も知っていた。餓えの極限になればそんな姿になってしまうのである。それは知っていたのである。
「それでなのじゃな」
「どうやら。それで人を襲い食うとか」
「むむむっ、そんな化け物が実際にこの国におるのか」
「そう聞いています。ただ」
「ただとは?」
「何か退治されちゃったみたいですよ」
 張勲はここでこう主に話した。
「どうやら」
「そうか。退治されたのか」
 袁術はそれを聞いてだった。ほっとした顔になって言うのだった。実は失禁しそうになっていたがそれもせずに済んだのである。
「それは何よりじゃ」
「何か退治した方も謎みたいですけれどね」
「あれか?近頃国中をうろついておる白い髪の男か」
「違うみたいです。青い服で金色の髪をした」
「むっ?その者のことも聞いたことがあるぞ」
 袁術は己の席でいぶかしむ顔になった。張勲は彼女の前に立って話をしているのだ。
「その者もうろついておるそうじゃな」
「そうみたいですね」
「どうも近頃この国には怪しい者が多くうろついておるのう」
「はい。ですからこの州の統治も」
「わかっておるぞ。わらわとて牧じゃ」
 その自覚はある袁術だった。
「しかと治めるぞ。よいな」
「はい、それではお仕事を」
「歌の稽古もしたいのう」
「それはまた時間があれば」
「やれやれじゃ。そういえばなのじゃが」
「はい、今度は何でしょうか」
「曹操の陣営に郭嘉とかいう者がおるそうじゃな」
 奇しくも袁術も彼女の名前を口にしたのであった。
「その者に一度会いたいのう」
「あっ、それは私もです」
「七乃もか」
「どういう訳かわかりませんけれど」
 張勲は前置きしてから話す。
「それでも。機会があれば」
「そうじゃな。会ってみたいものじゃ」
「はい、一度曹操さんのところに行くことがあれば」
「会うとしようぞ」
「特に美羽様はあの人と相性がいいと思いますよ」
「わらわもそう思うぞ」
 袁術の顔がにこにことしている。実際にそう思っているのである。
「郭嘉か、いい名前じゃな」
「以前は戯志才と名乗ってたそうですけれど」
「ううむ、何かと仲良くなれそうじゃ」
「陣営は違ってもですね」
「うむ、ではその時のことをじゃ」
「楽しみにしておきましょう」
 二人で言い合うのであった。そうして袁術は大好きな蜂蜜水を飲んだ後で仕事に戻る。彼女達も楽しみにしていることがあるのであった。


第四十七話   完


                 2010・11・23
 
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