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提督はBarにいる。

作者:ごません
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秋ナスがダメなら夏にナスを食べるのです!・その1

 
前書き
※注意!※

今回の話の主役となる娘の性格というかイメージが、思いっきりぶっ壊れる可能性があります。注意して読みましょう。 

 
 日本古来から『酒乱』という言葉がある。辞書によれば、酒によって性格が大きく変化して暴れる事、又はその様な性癖の人を指す言葉だ。最近だと普段は温厚なのに酒を飲むと大きく性格が様変わりする人の事を言ったりするらしい。今俺の目の前にも酔っ払って管を巻き、そのような状態にある艦娘が一人。しかしこの変わり様は幾らなんでも……

「なんやのその目?ウチは酔ってもぶりっ娘してなアカンの?なぁ?」

「い、いやぁ……そんな事は無いぞ?電」

 そう、今俺の目の前で酔っ払って管を巻き、バリバリの関西弁で喋っているのは暁型の4番艦である電(いなずま)だ。普段の少しおどおどしたような様子は一切なく、常にジト目で不機嫌そうに此方にメンチビームを放ってくる。酒を飲むと大きく性格が変わる人の原因の1つには、人付き合いを意識しすぎて素の自分を押し殺し、我慢を自覚せずにしている事が多いと聞く。それが酒の力でダムが決壊し、その反動で酒乱の如き言動が出てくると。

 普段の電は言われてみれば、自分を押し殺して他人に合わせ、四六時中気を遣っているようにさえ見える事がしばしばあった。普段から溜まっている不平や不満さえもぶちまけずに溜め込んでいたのなら、こういう機会に思いっきり吐き出させてやるのも手か。

「ちょっと、聞いてんのかいな!」

「あぁ、すまんな。少し考え事してて」

「はぁ……まぁエエわ。『酔鯨』のお代わりと、茄子のツマミ」

 普段は電(でん)ちゃん等とワザと間違えてからかったりしていたが、それもストレスだったのだろうか。確か電は大阪生まれのはずだから、潜在的な部分には関西弁が眠っていたのか?等々余計な事を考えつつも、俺の手は調理を進めていく。

《火を使わずに!ナスのなめろう風》※分量2人前

・ナス:1本

・茗荷:2個~

・大葉:5枚~

・生姜:1片(10gくらい)

・ネギ:適量

・味噌:大さじ1~1.5

・酢:小さじ1

・白ごま:お好みで



 さて、作っていこう。なめろうといえば魚で作るモンだが、実は野菜のみでも作れるんだ。ナスは洗ってヘタを落とし、ラップでくるんだら600wの電子レンジで1分加熱。ひっくり返して30秒、更に加熱する。

 火傷に注意しつつナスを触って、固い所がないかチェック。もしも固い所があったら、もう一度電子レンジでチンする。固い所が無ければ、ラップを剥がして冷ましておく。

 ナスが冷めるのを待つ間に、他の材料を刻んでおく。茗荷、大葉、ネギ、生姜。全てを粗みじん切りにしておく。生姜は無ければチューブのおろししょうがでも良いぞ。ナスも冷めたら粗みじんにしておく。

 さて、味噌と酢を加えて包丁で叩いていくぞ。ここからは普通のなめろう同様、具材を刻みながら全体を混ぜていく。好みの混ざり具合になったら皿に盛り付け、食べる直前に白ごまを振りかけると風味が増して美味いぞ。



「はいお待ち、『酔鯨』と『ナスのなめろう』ね」

 電はそれを受け取ると、ナスのなめろうを箸で口に運ぶ。しっかりと咀嚼して味わった所に『酔鯨』を流し込む。口の端から口内に入りきらなかった酒が溢れているが、そんなのお構い無しに飲んでいく。コップの半分程を飲み干した所で、プハーッと息を吐き出しながら袖で口の端の酒を拭う。

「流石やん、美味いわ」

「お、おぅ」

 キャラが違いすぎて褒められた気がしない。





「にしても、電ちゃんがナス好きってのが違和感を感じるな」

 俺が何気なく呟いた一言を聞いた電が、盛大に溜め息を吐いた。

「ほらな、そういう所が気に入らんねんて」

「は?」

「せやから、ウチがナス嫌いいう先入観を前提に話をされるのが気に入らん言うてるの」

「はぁ」

「そもそもな、誰が言い出したん?ウチ(電)がナス嫌いって」

 そういえば、聞いた事がない。いつの間にやら『電ちゃんはナス嫌い』という話が広まっていて、俺もそんなもんかと真偽を確かめもせずに妙に納得していた所があった。噂の出所が解らない、都市伝説のような話だった。

「言われてみれば……確かにそうだな」

「せやろ?ウチホンマはナス大好物やねん。それを暁の奴、自分がピーマン食えへんからってナスとピーマン交換しよってからに……!」

 ギリギリと歯軋りしながら、ナスのなめろうをかっこんでいく電。それを『酔鯨』で流し込むと、

「お代わり!」

 と小鉢をカウンターに叩き付けた。イライラしてんのは解るが、カウンターも凹むし食器も欠けるかも知れないから止めてもらいたい。イライラしてる奴を待たせてもロクな事ないし、サッサと作りますかね。


《ナスの明太マヨチーズ焼き》

・ナス:2本

・明太子:3本 

・マヨネーズ:大さじ2

・ピザ用チーズ:適量

・大葉:お好みで


 さて、作っていこう。今回はオーブンを使うので先に180℃に余熱しておく。ナスはヘタを取り、厚さ1.5cm位になるように輪切りにする。あんまり薄っぺらいとナスを食ってる感じがしないからな。

 明太子は皮を取り除き、マヨネーズと混ぜ合わせておく。明太子が無ければたらこでもOKだ。

 オーブンが余熱出来たら天板にクッキングシートを敷き、ナスを並べていく。そこに明太マヨを塗り、上からピザ用チーズを乗せる。後は180℃のオーブンで10分焼けば出来上がり。仕上げにお好みで大葉を散らすとアクセントになるぞ。




「はいお待ち、『ナスの明太マヨチーズ焼き』な」

 電、無言でかぶりつく……が、焼きたて熱々のナスからジュースがジュワッと溢れ出して電の口内を蹂躙する。

「~~~~~~~っ!」

 あまりの熱さに声も上げられずに悶える電に、そっとハイボールのジョッキを差し出してやる早霜。受け取ってすかさず口に冷えたハイボールを流し込む。3/4程を飲み干した所で、

「殺す気か!」

 と怒鳴られてしまった。




「いや、別にお前を害そうとかしてた訳じゃねぇんだぞ?」

 調理行程を見ていたから、熱々なのは解りきっているだろうと思って何も言わなかっただけだ。

「どっちにしろ、や。熱いなら熱いって一言あっても良かったんちゃうの?」

「へいへい、悪かったよ」

 全く……等とぼやきながら、今度はふぅふぅと念入りに冷ましてからナスにかぶりつく電。熱いのにさえ気を付ければ、ナスの旨味たっぷりのジュースと明太子の塩気と辛味にマヨネーズとチーズの味も合わさって、十二分にメインのおかずを張れる仕上がりになっている。ご飯にも合うが当然酒の肴にも最高だ。電も気に入ったらしく、ハフハフいいながらかぶりつき、口一杯にその味を堪能してからハイボールを流し込んでいる。

「ハイボールお代わりや」

「結構飲んでるぞ?大丈夫かお前」

 俺の目算でだが、日本酒を4合は飲み干した後でハイボールである。

「大丈夫やて、明日非番やし。てなワケでツマミもお代わりや」

 まぁ、明日一日寝込んだにしても大丈夫か。



《シンプルに美味い!ナスのガーリックソテー》

・ナス:2本

・にんにく:3片

・オリーブオイル:大さじ3~4

・塩:少々



 さて、作っていこう。ナスはヘタを取ったら厚さ1cm位になるように斜め切りにしてボウルに入れ、塩を振って15分程放置して灰汁抜き。

 にんにくは包丁の腹などを使って潰し、芽を取り除いておく。

 15分経ってナスの灰汁抜きが出来たら、流水で洗って絞り、水気を拭き取る。

 ガーリックオイルを作るぞ。フライパンにオリーブオイルを引いたらにんにくを入れて弱火で炒めて香りを出していく。焦げる前に取り出したら、灰汁抜きをしたナスを入れて中火で焼いていく。両面にしっかりとした焼き色が付いたら完成だ。炒めたにんにくが勿体無いなら、細かく刻んで仕上げに振りかけるといいだろう。 
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