恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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466部分:第三十七話 呂布、張飛から貰うのことその十二
第三十七話 呂布、張飛から貰うのことその十二
「見せるのです、早く」
「何なのだ、急に」
「むむっ、これは確かに」
陳宮がその置物を見ながら話すのだった。
「赤兎なのです」
「そっくりなのだ」
「寄越すのです!」
陳宮は急にだった。張飛にその置物を渡すように迫った。
「早く、それをねねに!」
「一体何を急に言うのだ!?」
「そうなのです、寄越すのです!」
また言う陳宮だった。
「ねねに。早く!」
「嫌なのだ、これは張飛のものなのだ!」
張飛も陳宮に対してムキになって言い返す。
「それで何で渡すのだ」
「お金はもう払ったのか?」
「払ったのだ」
こう関羽にも言うのだった。
「とっくの昔になのだ」
「ううむ、それではだ」
関羽は腕を組んで難しい顔になってだ。そうして言った。
「鈴々が正しいな」
「そうね。ここは」
「間違いなくですね」
ミナと月も話す。
「張飛ちゃんが先に見つけて先に買ったから」
「それは」
「けれどそれでもなのです!」
その言葉を聞こうとしない陳宮だった。
「ねねはそれを恋殿に!」
「いい」
だがここでだ。呂布が話した。
「恋は別にいい」
「いえ、そういう訳にはいきません」
陳宮はその呂布に顔を向けて返した。
「恋殿と赤兎の絆、それを見ればわかります」
「わかる?」
「この置物、恋殿にとって必要なのです」
陳宮は確信していた。
「ですからどうしてもなのです」
「しかしそれは」
ここで言ったのは神楽だった。
「陳宮ちゃんが間違ってるわ」
「はい、私もそう思います」
「私も」
月とミナも神楽のその言葉に同意して頷く。
「陳宮ちゃん、だから」
「ここは」
「うう、我慢するしかないですか」
「そうだな。残念だがな」
関羽も同情する顔になっていたがそれでも言うのだった。
「珍しく鈴々が正しい」
「珍しくなのは余計なのだ」
「しかし正しいことは事実だ」
それはだというのである。
「そういうことだ。陳宮殿、ここは諦めてくれ」
「諦める訳にはいかないのです」
「それでもだ。諦めるのだ」
また言う関羽だった。そうしてだった。
陳宮を諭そうとする。だがここでだ。
張飛は先程聞いた呂布と陳宮のこれまでの出会いと絆のことを思い出した。そうしてであった。
陳宮にだ。手に持っている犬の置物を差し出したのだった。そしてだ。
「ほらなのだ」
「何ですか、急に」
「やるのだ」
こう陳宮に言うのである。
「好きなようにするのだ」
「ねねにあげるのですか?」
「急にいらなくなったのだ」
憮然としたような顔で話す。
「だからだ。やるのだ」
「御前、本当に」
「さあ、気にすることはないのだ」
こうも言ってであった。
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