~仮面被りし幾重の使い魔~
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赤い髪の俺の未来のご主人様で少女
2
目が覚めると、そこは奇妙な空間だった。
まわりにはRPGとかで居そうな魔法使いのテンプレートな服装のひとつである、マントをつけたのが大勢いた。
何故か、そのまわりの奴らが俺に視線を向けているのが分かってしまう。
「ねえ、あなた?どこから入ってきたのかしら?平民・・・なの?」
まわりをキョロキョロ見回していると、赤く長い髪で片目を隠した健康的な褐色の肌の女の子が俺に話しかけてきた。
とりあえず、その女の子の服装を特筆しておこう。
大事なことなので。
第一ボタンと第三ボタンだったか。
それらを外しているので、なによりその下から見え隠れしているメロンサイズの胸がとてつもない効果を発揮し、元々の彼女の持つミステリアスな雰囲気を更に際立たせている。
見たところ、俺より一つ上か下と言ったくらいだろうか?
「あのキュルケが平民を召喚した!?」
「ありえねえ!さりげなくカッコいいのが腹立つ!」
「腰に差してる刀剣と雰囲気がマッチしててカッコいい!」
まわりから聞こえる不安と中傷の数々。
赤い髪の女の子は暫くの間、腕を組んで考え込んでいた。
なにやら、妙に色っぽい感じがしたけど本能的に俺はそれに飲み込まれてはいけない、という意思と飲み込まれてーと言う意思が葛藤しているような気がした。
まあ、気のせいでしかないわけなんだけれど。
そういえば、一つ違和感を感じる。
腰が少しだけ重い気がすると思うのと、“なにかパーツが足りない”気分にあった。
何故か腰が重いなー、と思ってしまった原因はすぐに分かった。
どうやら、腰から鎖で下げているカタナが原因らしい。
どこかで見たような気がするが、どこで見たんだっけ・・・。
『BLEACH』。
何故か頭に浮かんできた一つの単語。
他にたくさん欠如してるものがあるってのに、どうしてこれだけは覚えていたんだろう・・・。
どうして。
「我が名はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アルハルツ・ツェルプストー。五つの名を司るペンタゴン。我の運命に従いし“使い魔”を召喚せよ!」
長ったらしい呪文だと思われるものを彼女は唱える。
というか、最初のほうの奴ってホントに名前?
えーっと、凄いキメ顔で言ってたけど、何も起こってないですよ?
すると、教師っぽい人が彼女に話しかける。
「ミス・ツェルプストー。『サモン・サーヴァント』の次の段階である、『コントラクト・サーヴァント』をなさって下さい」
「!でも、彼は平民ですよ!?もう一度、『サモン・サーヴァント』をさせて下さい!」
「いいから、しなさい。もう一度、『サモン・サーヴァント』をするということはどういうことなのか。分かっていますか?」
「・・・」
赤毛の女の子は暫く黙り込んだ。
すると、こちらのほうまで歩いてきて、なんということだろうか。
俺にキスしたのだった!?
わりと短めのキスなので早く終わったが、周囲の男子諸君から殺意の視線を感じる。
たぶん、この子はこの学校か何かのマドンナかなんかなんだろうなァ。
ううむ。
すると、何故か俺の手のひらが光りだした。
「これは・・・・なんだ?」
俺が思わず呟くと、手のひらには奇妙な形の紋章が現れていた。
カタナと仮面が交差してるものだといえばいいのだろうか?
某海賊漫画の海賊旗、みたいなものかな。
それが現れた途端、教師っぽい人は俺の手のひらをまじまじと見つめ、メモを取り出した。
「はい、少し失礼しますね。・・・ほうほう、珍しいカタチのものですね。なんでしょうね、このルーンは」
「先生、そんなに珍しいものなんですか?彼のルーンは」
女の子がその教師っぽい人に尋ねる。
うーむ、ここはホ○ワーツ魔法魔○学校?
それっぽいだけなのかもしれないけど。
「ええ。これは、ひょっとすると・・・。・・・いや、今は言うことも無いでしょう。おそらく、彼は火属性だと思われます」
教師の言葉に女の子は飛び上がった。
「先生、それは本当ですか!?彼は普通の平民にしか見えませんが・・・」
失礼な奴だ。
平民平民って。
「そういうことです、ミス・ツェルプストー。とりあえず、今日のところは彼を連れて行きなさい」
「はい、分かりました。・・・ほら、行くわよ、そこのあなた。」
俺は引き摺るようにしてその場所を後にした。
つか、ここはどこだろう。
誰か教えてくれ。
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