魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者
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第三十四話 StrikerS
前書き
今回は短いです。
ネガティブキャンペーンのエピローグ的な感じです
ティアナside
こんなに目覚めの良い朝は久しぶりね。いろいろな不安や悩みが消えている。
アタシは朝食をスバルと済ませ、訓練着に着替える。
身体も、心も軽い。
昨日、なのはさんとアスカと仲直りができたおかげだ。
アスカには、本当に迷惑をかけちゃったな……
「じゃあ、ティア。先に行ってるね」
準備を終えたスバルが部屋を出ていく。
アタシもそろそろ行かないと。
「あっ!」
その時、ふとある事を思い出した。
クローゼットを開けて、その片隅に置いてある黄色い布を取り出す。
「これ、返し忘れていたっけ」
手に取ったのは、黄色いバンダナ。
昇格試験の時、足を挫いたアタシにアスカが応急処置をしてくれたんだ。
返さなきゃ……
「……」
でも、アタシはそこから動けなくなっていた。なんでだろう……
「……もう少しだけ、貸しといてね」
アタシはキュッとバンダナを抱きしめて、元の場所に戻した。
もうちょっと、もう少しだけ……
魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者、始まります。
outside
いつものように、早朝訓練の時間になる。
アスカは隊舎前に制服姿で立っている。スバル、エリオ、キャロは訓練着姿だ。
右腕の怪我が治りきらない為、アスカは訓練に参加せずに書類仕事をする事になる。
その旨を、迎えに来ていたフェイトに告げた。
「うん。無理しない方がいいからね」
優しく笑うフェイト。
そこに、少しだけ遅れたティアナがやってきた。
「「おはようございます!」」
ティアナに気づいたエリオとキャロが元気に挨拶をする。
「よう」
アスカも、ヒョイと右手を上げる。
「うん…おはよう」
ティアナは穏やかな笑みで答える。
そして、フェイトに目を向ける。
「おはようございます」
しっかりとした口調。もう、なんのわだかまりも無い。
「うん。よく眠れた?」
「はい」
何気ない会話が、今のティアナには心地よく感じる。
その様子を見て、アスカはもう心配はないと判断した。
「でも良かった。アスカとティアナもちゃんと仲直りできて」
柔らかにフェイトが言う。
「あれ?ケンカなんかしてましたっけ?」
あまりにも白々しくアスカがとぼけると、エリオとキャロが可笑しそうに笑った。
が、次のフェイトの言葉にアスカとティアナの顔が引き吊る事になる。
「安心したよ。昨日、二人でゴハン食べていたから」
「「えぇぇぇ!!!」」
フェイトの無自覚な爆弾発言にアスカとティアナが狼狽える。
『『み、見られていた?』』
アスカとティアナは思わず顔を見合わせた。
「そうだったんですか?」
エリオがフェイトに尋ねると、
「うん。アスカが右手を使えないから、ティアナが食べさせてあげてたんだよね?」
「「ぶっ!」」
フェイトの無自覚に容赦無い追撃に焦るアスカとティアナ。
悪気が無いだけに性質が悪い。
だが、ここにいるのはド天然達だ。
「良かった!すっかり仲直りですね!」
キャロが嬉しそうに言い、
「そうだね!アスカさんとティアさんが仲直りできて良かった!」
とエリオも嬉しそうである。
「うんうん。仲直りの仲良しさんだ」
スバルもニコニコ顔だ。
『……ハラオウン隊長も含めて、天然ズで助かったな』
『そうね……言いふらさないように後で口止めしておくわ』
とりあえず、妙な噂になる前に対処をしようとお互いに頷きあうアスカとティアナだった。
「じゃあ、訓練所に行こうか」
「「「「はい!」」」」
フェイトはその元気な4人を引き連れて、訓練所へと向かって行った。
残されたアスカは、そのままオフィスへと足を向ける。
「なんか、一人残されると寂しいな……あっ!」
ピタッと止まって声を上げるアスカ。見つからなかった最後のピースを見つけたのだ。
それは、ティアナの劣等感の根本の物。
「寂しい……そうか。ティアナの劣等感は家族のいない寂しさからきてたんだ。
他の人には家族がいる。でも自分にはいない。どうしていないのか、なんで自分がそんな目に遭わなくちゃいけないのか。
ティアナ自身が家族のいない寂しさを引け目に感じていたんだ」
そこまで考えて、アスカは振り返った。
「でも、もう大丈夫だよな。家族じゃなくても、仲間は六課にいるんだから」
フェイトside
「技術が優れてて、華麗で優秀に戦える魔導師をエースって呼ぶでしょ?その他にも、優秀な魔導師を表す呼び名があるって知ってる?」
私は訓練所に向かう途中で、そんな問題をみんなに出してみた。
「え?」「ん?」「えーと?」「…?」
4人が顔を見合わせている。答えが出てこないみたいだね。
「その人がいれば、困難な状況を打破できる。どんな厳しい状況でも突破できる。そういう信頼をもって呼ばれる名前」
私は立ち止まって、みんなの顔を一人一人みる。
「ストライカー」
「「「「あ!」」」」
やっぱり、聞いた事はあるみたいだね。
エースは象徴的な意味合いを持つけど、ストライカーはもっと現実的な感じかな?
「なのはは、訓練を始めてすぐの頃から言ってた。うちの5人は全員、一流のストライカーになれる筈だって」
訓練初日に目を輝かせてそう言ってきたなのは。凄く嬉しそうに話していた。
「だから、うんと厳しく、だけど大切に、丁寧に育てるんだって」
みんな真剣に耳を傾けている。
「なのはさん、本当にアタシ達の事を思ってくれてるんだね」
ティアナの言葉に、スバル、エリオ、キャロが頷いている。
良かった……ちゃんと伝わった。なのはの想いが。
いろいろあったけど、最後には分かってくれたんだ。
「じゃあ、私たちはストライカーズだね!」
満面の笑みでスバルがそう言う。
うん、いいね。
みんなで助け合う機動六課のフォワードにピッタリだ。
みんなも、嬉しそうに笑っている。
「よし!じゃあ元気出して行こう!」
スバルが走りだす。
「「「おう!」」」
ティアナ達も遅れまいとそれに続いた。
うん。元気いっぱいだ。でも…
「元気よくはいいけど、気をつけるんだよ!」
私は一番最後からみんなを追う。
フォワードに明るさが戻った。
大丈夫だよ、なのは。
みんな、悩みながら、迷いながら、真っ直ぐに進んでいるから。
後書き
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
あまり上達してませんが、これからも読んでいただければ幸いです。
今回はネガティブキャンペーンのエピローグ的な話です。
ティアナも吹っ切れ、これから新しい一歩を踏み出していきます。
とりあえず、今回は第二話で立てたフラグを回収しました。バンダナのくだりの部分ですね。
下書きの時は無かったシーンなのですが、本書きの時に思いつきで入れてみました。
いかがだったでしょうか?
なんと言うか、フラグ回収まで長い!危なく忘れる所だったよ!
さて、次回はオリジナルのアルトさん回です。
時系列としては、今回の続きになりますが、もうネガティブキャンペーンじゃないですから。
アルトさんフラグも回収しておかないとね。
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